けぽっぷスジン 2024-03-28T17:12:36+09:00 JUGEM 変な家【映画】 http://nyan.momo.punyu.jp/?eid=1715 2024-03-28T05:56:00+09:00 2024-03-22T05:53:37Z 2024-03-27T20:56:00Z 2024/03/28
オカルトや超常現象の動画で活躍する雨男こと雨宮トオルは、マネージャーから彼が購入予定である家の間取りについて相談を受けます。その家の間取りには、侵入不可能な小さな空間があったり、子供部屋に窓がなく周りから隔絶されていたりと、不審な点が目立... 筆者 番外編 2024/03/28
オカルトや超常現象の動画で活躍する雨男こと雨宮トオルは、マネージャーから彼が購入予定である家の間取りについて相談を受けます。その家の間取りには、侵入不可能な小さな空間があったり、子供部屋に窓がなく周りから隔絶されていたりと、不審な点が目立ちます。雨宮はディレクターの許可を得てミステリーに詳しい設計士の栗原文宣に間取り図を見てもらうことにします。
栗原は図面を見ていくつかの違和感に気づき、それを指摘します。2階にある子供部屋は2枚の扉によって隔離され、専用のトイレがある。そして1階にある侵入不可能な空間には、子供部屋に隠し扉があればそこへ降りることができる。その先は浴室に通じている。栗原によるとそれは、子供を誰にも見られずに入浴させるための隠し通路というよりも、世間から隔絶された子供に殺しをさせるための仕掛けである可能性があると言うのです。ネット上には殺人を請け負うサイトがいくらでもあって、この家はそうした殺人稼業を営む者の仕事場なのかもしれない。
雨宮は、現在は空き家になっているその家を訪れ、実況動画を撮ることにします。果たして2階の子供部屋から1階の通路へ降りる隠し扉は実在しました。
その動画を配信して間もなく、宮江柚希と名乗る女性が雨宮を訪ねてきます。家は所在地が解らないように配慮して公開したのに、柚希はその家に心当たりがあると言うのです。そして自分の夫がその家の住人に殺されたかも知れないと加えました。
雨宮はマネージャーにあの家を買うのは辞めた方が良いと伝えますが、マネージャーの方が先に購入を中止していました。というのもその家のすぐ近くで死体遺棄事件があったことが報道されたからでした。
柚希は、同じように違和感のある家の図面を見せたあと、さらに自らの記憶を頼りに自分で起こした、むかし住んでいたことのある家の間取り図を提示しました。それは長い廊下を挟んで部屋が左右対称に並ぶシンプルで奇妙な間取りで、廊下の突き当りには大きな仏壇が設えられていました。
雨宮と柚希は、その旧家に行ってみることにします。片淵家本家とそ称するその家は、糸座と離れた山の中にひっそりと建っていました。
先日読んだ同名小説の映画化です。映画化に当たっていくつか変更点もありました。原作ではミステリー系ジャーナリスト主人公が、映画版では雨男と名乗る Youtuber で、動画上では白い虫のような表情をした仮面を着けています。
マネージャーが購入を迷っている家の間取り図にも多少の変更点があったように思います。第2第3の間取り図については、原作と同じだったようです。
雨宮たちが片淵家本家を訪ね、同家にかけられた呪いと、それを信じて左手供養を続けているという猟奇的な風習は、映像にするとひじょうに化け物じみてきますね。
多数の犠牲を伴った呪いとその儀式は、このあと雨宮によって会談として動画にアップされるのかと思いましたが、事件が発覚して呪いと伝統は哀れな末路を迎えるという王道的な顛末に至ります。
家を呪いから守るために、人の命と引き換えに儀式を続け継承するというカルト集団のような所業が、もしかしたら日本のどこかに実在するのかもしれませんね。
2024年、110分。
原作:雨穴。
監督:石川淳一。
脚本:丑尾健太郎。
出演:間宮祥太朗、佐藤二朗、川栄李奈、長田成哉、DJ松永、瀧本美織、根岸季衣、高嶋政伸、斉藤由貴、石坂浩二ほか。
]]> 必ず捕まえる【映画】 http://nyan.momo.punyu.jp/?eid=1714 2024-03-27T05:40:00+09:00 2024-03-20T06:34:43Z 2024-03-26T20:40:00Z 2024/03/27
アリ・アパートの大家シム・トクスの朝は、家賃滞納者への督促から始まります。取り立ての厳しいドケチ大家と近所でもウワサが流れています。元刑事のチェ宅に押しかけたトクスは、老人福祉サービスのスタッフがいるのもかまわず、家賃を払わねば追い出すとま... 筆者 韓流映画 2024/03/27
アリ・アパートの大家シム・トクスの朝は、家賃滞納者への督促から始まります。取り立ての厳しいドケチ大家と近所でもウワサが流れています。元刑事のチェ宅に押しかけたトクスは、老人福祉サービスのスタッフがいるのもかまわず、家賃を払わねば追い出すとまくしたてます。
別に鍵屋の本業を持つトクスが、呼ばれて現場に向かう途中に河原に差しかかったところ、大勢の人だかりがあり、警察も来ていて騒然としています。聞けばイ・マンソク老人が橋から落ちたとのこと。その人だかりの中にアリ・アパートに住むキム・ジウンの姿が。貧しい彼女も家賃を滞納しがちなので、トクスは明日が期日であることを念を押します。
鍵の交換の仕事を終えると、今度は食堂「たんぽぽトースト」に寄ります。女主人のヨンスクもトスクから店舗を借りていますが、彼女の店は繁盛していて賃貸料の支払いもきちんとしています。
イ巡査からの電話で、トスクは独り暮らしの老人ソ・ジャンスの部屋に赴き、マスターキーでドアを開けると、中でジャンスが死んでいました。
その夜、トクスはチェ元刑事を訪ねます。チェは亡くなった老人2人は事故死や孤独死ではなく、殺された可能性があると言います。トクスは冗談半分に、たまには俺の部屋も覗きに来てくれと言い残します。そして翌朝、壊れていたチェ宅の鍵を直しに訪ねてみると、チェはトイレのドアノブに縄をかけて首を吊っていました。
近所の人たちは、トクスの強引な家賃取り立てが、チェを自殺に追いやったと責め立てます。そこへ、元刑事パク・ピョンダルと名乗る男が近づいてきます。30年前、現役刑事だったピョンダルは、連続殺人鬼を追っていましたが、寸でのところで取り逃がしてしまいます。その際に彼は犯人に切り付けられますが、男の目を今もはっきり覚えていると言います。
殺人鬼は、無抵抗な老人で殺しの練習をしたあと、本命である若い女性を狙い、何日も監禁したあと殺す、今回も同じ手口だ、ピョンダルはそう主張します。彼とここの地理に詳しいトクスがタッグを組めば必ず犯人を挙げることができる。とは言え老境に達した2人に、凶悪犯を捕まえることができるのでしょうか。トクスが戸惑っていると、ピョンダルの話しを裏づけるように、キム・ジウンが行方不明になります。
韓国にも高齢化の波が押し寄せているのでしょうか、2人の老人が連続殺人鬼に挑むお話しです。原チャリを乗り回し、家賃の催促をして回るシム・トクスは、ご近所で評判の辛辣でがめつい大家です。でも彼と人々のやり取りを聞くうちに、じつはなかなかの人情家であることが判ってきます。彼が205号室と呼んでいるキム・ジウンは働き者で親思いの優しい女性です。元刑事パク・ピョンダルの予測通り、3人の老人が殺されたあと彼女が行方不明になります。
警察を無視した自分たちだけの捜査に乗り気ではなかったトクスも、ジウンを助けたい一心で協力することにします。そしてピョンダルが30年間忘れたことがないという目を持つ男についに迫るのですが、ここで思いもよらないハプニングが勃発し、ピョンダルが病院送りになってしまいます。その理由をしったトクスは愕然として体の力が抜けてしまいますが、映画を観ている観客の方もほんと愕然となりました。
コメディタッチで描かれていますが、基本的には本格ミステリーで、意外な真犯人、刑事の執念、アクションと見せ場はそろっています。最初の雰囲気で、ほんわかしたホームドラマなんて思っていると、度肝を抜かれることになります。クライマックスはかなり壮絶です。
今はほんと高年齢の方の活躍が目立ちますね。現代社会を反映しているのでしょうが。我々年代の者にとっては励みになると言うか、置いてきぼり感がないというか。若い人たちはどんなふうに受け止めているのでしょう。
長く生きた人間には、その人生経験を活かして人情劇でいい味を出すような、そんな活躍を期待したいですね。
英題:The Chase。
2017年、110分、Netflix。
監督:キム・ホンソン。
脚本:ユ・ガビョル、キム・ミンソン、イ・チャンヨン。
出演:ペク・ユンシク、ソン・ドンイル、ペ・ジョンオク、チョ・ダルファン、ソン・ジョンハク、イ・カンヒ、パク・ヒョンス、パク・ジヒョン、ウィ・ハジュンほか。
]]> オーメン【映画】 http://nyan.momo.punyu.jp/?eid=1716 2024-03-26T05:51:00+09:00 2024-03-22T05:52:03Z 2024-03-25T20:51:00Z 2024/03/26
アメリカの外交官ロバート・ソーンは、ローマの産院で妻キャサリンの死産を知らされます。神父は同時刻6月6日午前6時に生まれた男の子を引き取るように勧めます。その子は母親が亡くなり孤児になってしまったのです。ロバートはキャサリンに死産を知らせ... 筆者 番外編 2024/03/26
アメリカの外交官ロバート・ソーンは、ローマの産院で妻キャサリンの死産を知らされます。神父は同時刻6月6日午前6時に生まれた男の子を引き取るように勧めます。その子は母親が亡くなり孤児になってしまったのです。ロバートはキャサリンに死産を知らせずにその子を自分たちの子にし、ダミアンと名づけて育てることにします。
それから彼は英国駐在大使に任ぜられ、公邸で優雅な暮らしを送ることになるのですが、ダミアンが5歳の誕生日、乳母が誕生日パーティに集まった人々の目の前で首吊り自殺を遂げます。ロープを首に巻いてバルコニーから飛び降りる瞬間、乳母は「見て、あなたのためにするのよ」そう叫びます。その言葉はダミアンに向けられていました。
しばらくしてロバートを訪ねて来たブレナン神父が、恐ろしい警告を告げます。彼はダミアンの誕生に立ち会い、その母親を見たというのです。母親は山犬で、あの子はあなたから全てを奪う、恐怖に脅える目で神父はそう訴えます。ロバートはその警告を相手にしませんでした。
そして今度は、新しい乳母が公邸にやって来ますが、ロバートにもキャサリンにも覚えがありません。乳母は斡旋所から来たのだと当然のことのように言い、屋敷に住み着いてしまいます。
追い返したはずのブレナン神父から執拗に連絡があり、ロバートはとりあえず2人で会うことにします。神父はダミアンが悪魔の子であると言い、殺すように警告します。もちろんロバートはそれに応じませんが、神父は別れ際にブーゲンハーゲンに会えという言葉を残します。そのすぐあと、ブレナン神父は突然の嵐に遭遇して協会に逃げ込もうとしますが、避雷針が落ちてきて串刺しになって命を落とします。
一方屋敷では、キャサリンが吹き抜けの2階から転落して大怪我をします。
身辺の人間が次々に不幸に見舞われるなか、今度はカメラマンのジェニングスから連絡があり、ロバートが会いにゆくと、亡くなった乳母と神父の写真を見せられます。写真には生前の2人を貫く大きな線のような影が写っていました。ジェニングスはこれは死の予兆であると主張します。ロバートは、これは私の問題だとジェニングスを遠ざけようとしますが、ジェニングスは1枚の写真を見せ、もうすでに関わっているとつぶやきます。彼の手には死の予兆である
線に貫かれた彼自身が写っていました。そこでロバートは、ダミアンが実の子ではないことをジェニングスに話します。
ロバートとジェニングスはローマに飛び、ダミアンが生まれた産院に向かいますが、そこは火事で焼け落ちており、かつてダミアンを紹介した神父が瀕死の状態で車椅子に座っていました。神父はロバートを認めると、不自由な手でチェルベットと書き記します。それは近くの墓地を示すもので、2人はさっそくそこへ赴きます。そして6月6日に没した死者の2つの墓を見つけます。2人はその2つを暴きます。すると1つには小さな赤ん坊の骨が、もう1つには山犬の骨が横たわっていました。
ロバートは入院中のキャサリンにロンドンを離れるように連絡し、ブレナン神父に言われたブーゲンハーゲンに会いにゆきます。老人はロバートに数本のダガーを託し、悪魔の子を殺す方法を教えます。
筆者が高校生の頃、悪魔の子に狙われた男の首が飛ぶシーンが壮絶で話題になったホラー映画です。「エクソシスト(1974)」ほどの恐ろしさはありませんが、子供の出生に秘密を抱える家族が、じわじわと迫りくる恐怖にさいなまれる様子、周りの人々が次々と怪死してい行く不気味さが、冷え冷えとした恐怖を醸しています。
最初は我が子を疑おうとしないロバート・ソーンですが、周りに次々と死が訪れ、妻のキャサリンにも危険が及ぶと、ブレナン神父の言葉を次第に信じるようになります。かねてより面識があった写真家のジェニングスは、不可解な写真で悪魔の存在をロバートに知らせ、2人は協力して真相解明に向かいます。
5年前、ダミアンをロバートに託した神父が示したチェルベット墓地で、2人は人の子と山犬の入った墓を見つけますが、それはダミアンを産んで亡くなったのが山犬だったことを示しています。人の子の骨はロバートの実子のものです。それでブレナン神父が言っていたダミアンは山犬の子という言葉が証明されたわけですが、恐るべきは、この子供取り換え事件は、悪魔の子を上流社会の人間に託すために行なわれた陰謀だったということです。そのためにロバートとキャサリンの実子は利用された、すなわり犠牲になったのです。哀れな赤子は悪魔の子を世に出すための生贄として殺されたのかも知れません。
次々と起きる怪死事件もさりながら、最も恐ろしいのはダミアンがこの世にもたらされた経緯です。
ダミアンはローマ教会の産院で生まれました。そして聖職者によって世にもたらされたということなのでしょうか。彼が生まれるところを見たというブレナン神父は、ロバートを助けることで自分も救われると言っています。そしてロバートに悪魔の子を滅ぼすことを拒否されると、覚悟を決め、共に地獄に落ちようとつぶやいています。いかなる呪いによって聖職者たちが悪魔の子誕生に加担したのでしょうか。
上流社会に潜り込んだ悪魔の子は、やがて成長して力を蓄え、人類に滅びをもたらします。
原題:The Omen。
1976年イギリス/アメリカ、111分、同年日本公開。
監督:リチャード・ドナー。
脚本:デヴィッド・セルツァー。
出演:グレゴリー・ペック、リー・レミック、デビッド・ワーナー、ビリー・ホワイトロー、ハーヴェイ・スペンサー・スティーヴンス、パトリック・トラウトン、マーティン・ベンソン、アンソニー・ニコルズ、ロバート・リエッティ、レオ・マッカーンほか。
]]> ガールズ・リベンジ【映画】 http://nyan.momo.punyu.jp/?eid=1713 2024-03-25T05:46:00+09:00 2024-03-20T05:18:08Z 2024-03-24T20:46:00Z 2024/03/25
転校生のユンホンにクラスメイトのリージャとヤーチーはすぐに心を開いてくれ、3人はたちまち大の仲良しになります。クラスの中心的存在のコーチェンがそこへ割って入ろうとしますが、3人の結束は固く入り込む隙がありません。コーチェンはクラスの代表と... 筆者 番外編 2024/03/25
転校生のユンホンにクラスメイトのリージャとヤーチーはすぐに心を開いてくれ、3人はたちまち大の仲良しになります。クラスの中心的存在のコーチェンがそこへ割って入ろうとしますが、3人の結束は固く入り込む隙がありません。コーチェンはクラスの代表としてユンホンと LINE でつながろうとしますが、ユンホンはスマホを持っていない振りをします。
コーチェンは、ホームパーティを開いてクラスメイトを招待しますが、そこでリージャが陥れられてしまいます。ユーチェンの仕組んだいかさま王様ゲームで、リージャは男子生徒に犯され、それを動画に撮られてネット上に公開されてしまいます。
リージャはショックで学校を休み、学校側もリージャの休校を校内に発表します。
ユンホンは学校に抗議し、ちゃんと調べるよう要求しますが、学校側は事を荒立てたくありません。校長もあれはレイプではなく同意の上での行為だったと言い張ります。
今回の事件は、リージャを陥れるためのコーチェンの罠だと確信しているユンホンは、独りでコーチェンを追跡し、やがて服屋で働く男とコーチェンが付き合っていることを突き止めます。
肌が浅黒く、前髪パッツンのユンホンは、いかにも田舎の高校から都会へ転校してきたという風情の少女です。スクール・カースト最上位のコーチェンがさっそく言い寄ってきますが、それより前にユンホンは、真っ先に声をかけてくれたリージャとヤーチーと親しくなっていて、コーチェンになびきません。とくにリージャはコーチェンを毛嫌いしている様子で、ユンホンもコーチェンと関わろうとは思いませんでした。プライドを傷つけられたコーチェンは、リージャを罠にかけようとホームパーティに誘います。
台湾ドラマと言えば「流星花園〜花より男子〜」のようになかなか華やかなものが日本でも一頃ファンを集めましたが、それに比べると本作はよりリアルな高校生活を描いているように思えます。ただ飲酒や喫煙、そして性行為に関しては日本よりずいぶんゆるそうですね。
シンプルな復讐劇ではありますが、ユンホンがなぜ転校してくることになったのか、彼女の暗い過去が追いかけてくる場面もあって、先の展開が読めなくなりそうでしたが、とりあえずリベンジは成功します。しかし人に正義の鉄槌を食らわせておいて、自分の過去にフタをしたままではいられないので、そこに葛藤が生じます。この辺りをもう少し掘り下げれば深みのあるドラマになったのでしょうが、課題は未消化のまま残ってしまいます。
ユンホンはこの先も同じ学校で学園生活を続けてゆくことができるのでしょうか。
英題:GIRL'S REVENGE、13+。
2020年台湾、81分、Netflix。
監督:ワンウェイシャン。
脚本:ブランシュ・チャン。
出演:ワン・ユーピン、ユリ・チェン、シャイニー・ヤオ、ピー・リウ、マイク・リン、エディソン・ソン、シア・タンホン、ムーン・リーほか。リージャとヤーチー
]]> RED SHOES/レッド・シューズ【映画】 http://nyan.momo.punyu.jp/?eid=1712 2024-03-22T05:45:00+09:00 2024-03-20T03:26:09Z 2024-03-21T20:45:00Z 2024/03/22
名門バレエスクールで、プリマドンナとして「赤い靴」を踊ることになったサマンサですが、公演の直前に姉のアニーと電話で会話している最中に姉が事故に遇ってしまいます。姉の死に責任を感じたサムは、バレエ学校を去り、すさんだ生活を送るようになります... 筆者 番外編 2024/03/22
名門バレエスクールで、プリマドンナとして「赤い靴」を踊ることになったサマンサですが、公演の直前に姉のアニーと電話で会話している最中に姉が事故に遇ってしまいます。姉の死に責任を感じたサムは、バレエ学校を去り、すさんだ生活を送るようになります。
ある時友人のイヴと共に万引きを働き捕まってしまった彼女は、200時間の社会奉仕を命ぜられます。サムの母親は彼女を立ち直らせようと、無理やりバレエスクールに連れてゆきます。頑なに踊ることを拒むサムは、学校の清掃係として働き始めます。
かつてのパートナーのベンやライバルだったグレイシーが「赤い靴」の再演へ向けて稽古に勤しむ様子を目の当たりにし、サムの心の中にもう1度バレエをやりたいという気持ちが膨らんで来ます。生徒たちを厳しく指導するミス・ハーロウもサムの実力は高く評価しており彼女の復帰に前向きです。しかしプリマとして練習を重ねてきたグレイシーの代わりをさせるわけにはゆかず、「赤い靴」の再演では群舞に加わることになります。
そして本番の舞台。サムの両親も娘の晴れ姿を観に来ています。1幕を終えたところでグレイシーは練習で傷めてしまった足の傷が悪化して降板せざるを得なくなります。グレイシーは自らサムに代役を依頼し、ミス・ハーロウもそれに同意します。サムは不安を抱きつつも主役のカレン役を園児つことになります。
サマンサは、姉のアニーに憧れてバレエスクールに入ります。そしてかつて姉が演じた「赤い靴」の主役カレン役に自らも抜擢され、その喜びを姉に伝える電話で、姉の事故死を知ることになります。電話口で急に沈黙するアニー、慌ただしい騒音。サムは姉の事故死の瞬間に電話を通じて立ち合ってしまいます。
そのショックから立ち直ることができず、サムはスクールを去り、ぐれてしまいます。彼女を腫れ物に触るように扱っていた両親は、サムの万引き事件をきっかけに意を決して彼女をバレエスクールに引き戻します。
それでもサムは、再びバレエをする気にはなれず、清掃係として学校で住み込みの生活を始めるのですが、ライバルのグレイシーは、それが面白くありません。「赤い靴」の再演で主役を射止めた彼女にとって、もしもサムが復帰するようなことがあればと、気が気ではありません。だからサムにつらく当たります。
かつてサムのパートナーだったベンは、今はグレイシーの相手役として稽古に励んでいます。
失意のサムにとってここは、居たくない場所なのではないか、母にここに連れてこられた時、彼女は憤然と拒んでいましたし。かつての仲間たちの姿、冷徹なミス・ハーロウ。サムにとってつらくないはずはありません。それでも彼女は淡々と床を磨き、トイレの掃除をします。グレイシーが意地悪をして床に飲み物をこぼしても、愚痴ひとつ言いません。200時間の社会奉仕に母が選んだ場所は、サムにとってつらく惨めな経験だったにちがいありません。そしてミス・ハーロウも彼女の復帰を認める気はなさそうです。
ストーリーは、ここから会心の逆転劇へと舵をとるわけですが、その経緯は本編を観て確かめてください。サムがぐれていた時に、彼女の心の支えとなったイヴですが、この後ほったらかしではありません。ちゃんとサムの許に帰ってきます。
バレエを題材にした映画と言えば、ナタリー・ポートマンの「ブラック・スワン(2010)」を思い出しますが、あの作品は愛憎劇でありミステリーでした。本作は純粋な青春ストーリーで、古い作品になりますが「フラッシュダンス(1983)」や「ヘブンリー・ボディーズ(1984)」の方が本作寄りですかね。
原題:The Red Shoes: Next Step。
2023年オーストラリア、111分、翌年日本公開。
監督:ジェシー・エイハーン、ジョアンヌ・サミュエル。
脚本:ザカリー・レイナー、ジョン・バナス、ピーター・マクロード。
出演:ジュリエット・ドハーティ、ローレン・エスポジート、ジョエル・バーク、キャロリン・ボック、プリムローズ・カーン、ニコラス・アンドリアナコス、ミエッタ・ホワイト、アシュリー・ロスほか。
]]> ジャスティス・ブロンド【映画】 http://nyan.momo.punyu.jp/?eid=1711 2024-03-21T05:42:00+09:00 2024-03-19T23:33:12Z 2024-03-20T20:42:00Z 2024/03/21
CIAのエージェントだった父に育てられたアーニャは、高度な戦闘技術を会得し、それを活かして世界を巡りながら、法をかいくぐってのさばる悪人に制裁を加えていました。そんな彼女にモロッコに旅行中だった2人の友人が殺されるというニュースが飛び込ん... 筆者 番外編 2024/03/21
CIAのエージェントだった父に育てられたアーニャは、高度な戦闘技術を会得し、それを活かして世界を巡りながら、法をかいくぐってのさばる悪人に制裁を加えていました。そんな彼女にモロッコに旅行中だった2人の友人が殺されるというニュースが飛び込んできます。犯人たちは2人に暴行を加え惨殺するシーンを動画にして配信していました。
ミアという偽名でモロッコ入りした彼女は、裏社会のつてを頼って犯人を追い詰めてゆきます。やがて首謀者と目するヴァンスという男にたどり着きますが、彼女は地元警察にマークされ追われることになります。
事実に基づく物語とのことでしたが、世界を股にかけて法で裁けぬ悪漢どもに制裁を加えてまわるアサシンなんて実在するのでしょうか。アーニャには強力な後ろ盾が存在するのでしょうか。1国内の悪を相手にするだけでも容易じゃないと思いますが。それに活動資金や武器の調達、情報の収集はどうしているのでしょう。
そんな彼女が、今回は殺された友人の敵討ちという私情で悪人退治を行ないます。観光客の女性を襲って殺害し、そのシーンを動画で配信して儲ける行為が闇稼業であるにせよ成り立っているという事実に戦慄させられます。
アーニャは黒幕のヴァンスという男を追い詰めますが、敏腕の女性刑事に手こずります。ラストのクライマックスで女性同士の戦いと駆け引きがあり、ここが一番の見どころだったように思います。
原題:The Moderator。
2022年アメリカ/モロッコ、82分、日本劇場未公開。
監督:ゾーア・ファッシ=フィリ。
脚本:ヒシャム・ハッジ、ジョナサン・マコーネル。
出演:イルマ・レイク、ゲイリー・ドゥーダン、ロバート・ネッパー、マイケル・パトリック・レイン、ブライス・バクスターほか。
]]> 変な家【小説】 http://nyan.momo.punyu.jp/?eid=1710 2024-03-20T05:44:00+09:00 2024-03-13T06:18:13Z 2024-03-19T20:44:00Z 2024/03/20
オカルト系フリーライターの私は、知人の柳岡氏が購入しようとしている家屋の間取りに奇妙な違和感を覚えると言って相談を受けます。間取りの図面を見てみると、1階には2枚の壁の間に入ることのできない空間があり、2階には中央に窓のない子供部屋があり... 筆者 番外編 2024/03/20
オカルト系フリーライターの私は、知人の柳岡氏が購入しようとしている家屋の間取りに奇妙な違和感を覚えると言って相談を受けます。間取りの図面を見てみると、1階には2枚の壁の間に入ることのできない空間があり、2階には中央に窓のない子供部屋があります。
私はオカルトやミステリーに造詣のある会計士栗原氏に、図面を見せ意見を求めます。すると子供部屋に入るには1つしか入口がなく、そこには身近い廊下を挟んで2枚の扉があること、子供部屋専用のトイレがあることを指摘し、かつてこの家では子供が監禁されており、そのことが家族の一部の人間以外には秘密にされてきたのではないかという推理が返ってきます。栗原はさらにベッドのある寝室が2つあり、それにも違和感を感じると言います。
その後私は、ネットニュースの殺人事件を見つけ、この家との関係を疑うようになります。私は具体的な住所を伏せてこの家のことを記事にしてネット上で公開します。すると宮江柚希と名乗る女性から連絡があり、この家に心当たりがあると言ってきます。柚希はこの家で夫が殺されたかも知れないと言うのです。
一見して普通の家の間取り、しかしよくよく見てみると奇妙な違和感を感じる、そしてそれが恐ろしい殺人事件へとつながってゆく、そんなミステリーです。1階にあるどこからも入ることのできない細長い部屋、クローゼットか何かを作ろうとして途中から計画変更になって壁で埋めてしまった、そう片づけてしまうと、それ以上疑問は浮かばないのですが、図面を2階のものと重ねてみると、謎のスペースが閉塞的な子供部屋に一部重なっています。もしもそこに隠し蓋のようなものがあれば、子供部屋から誰にも見られずに謎のスペースに降りることができ、さらにスペースのもう一方の端は浴室に通じているのです。
2重扉によって隔離された子供部屋には、専用トイレがあり、隠し通路を通って浴室に行くことができる。子供部屋に住んでいる子供は、誰にも見とがめられずにトイレと浴室に出入りできるわけです。そして子供部屋は周りを他の部屋に囲まれていて窓がない。ここの住人以外は、この家に子供が隔離されていることに気づかないわけです。
子供を外界から隔離するというと、むかし実在した座敷牢を思い浮かべてしまいますが、会計士の栗原は、それだけではないという推理を働かせます。子供を外界から切り離すならば、ここまでする必要はない。子供部屋へ通じる唯一の通路が2重扉になっているのは、この家の住人の一部の人間にも子供が目に触れないようにしているためだ、そう考えたのです。そして栗原が出した結論が、この家は殺人を実行するために建てられた、というものでした。
そこへ、夫を殺されたという女性が訪ねてきます。
家の間取り図の違和感から恐ろしい事件が浮き彫りになる、これはひじょうに斬新な発想ですね。でも筆者がさらに感じた違和感は、この家がなぜそのままの状態で売りに出されたのか、寝室と表記された部屋にわざわざベッドまで描く必要はあったのか、ということでした。ここに住んでいた家族は夫婦と子供1人となっており、Wベッドのある寝室とは別にもう1つ寝室があること自体が不思議です。買い手に不信感を与えたくなければベッドを描いて、寝室だと表記しなくてもただ単に部屋とすればいいはずです。筆者が家を買う時もどこにベッドを置くかは買い手の自由で、そんな間取り図にそんな表記はありませんでした。それともベッドはひじょうに重厚なもので動かせないのでしょうか。
筆者が感じているもうひとつの違和感は、本作の著者が覆面作家と言われていることです。ネット社会ではそう珍しいことではないのかも知れませんが、ミステリアスですよね。
筆者の感じた違和感はともかく、夫が殺された女性の出現で、住んでいた住人の素性や、それ以前に住んでいた家というのも浮き彫りになります。そして新たな殺人事件の犠牲者が発覚。
ここに住んでいた住人は、殺人請負業でもやっていたのでしょうか。まさか隔離された子供が殺人に加担していた? 人としての情が欠落していて、何の感情も抱かずに殺人を繰り返す、そんな人物が登場するミステリーは他にもありましたが、隠し部屋の子供がそうした異常者だったのでしょうか。
あれこれ想像は広がりますが、本作に登場する殺人は、もっと根の深い闇を抱えていたのです。その片鱗を伺わせるのが、見つかった遺体にはいずれも左手がなかったということです。恐ろしいですね。
2021年、飛鳥新社。
著者:雨穴。
]]> ドアーズ【映画】 http://nyan.momo.punyu.jp/?eid=1709 2024-03-19T05:47:00+09:00 2024-03-13T00:18:03Z 2024-03-18T20:47:00Z 2024/03/19
アッシュ、リジ―、ジェイク、ロリーの4人は、放課後教室に残って補修を受けていました。教師にスマホを没収され、作文を書かされていると、教師のスマホにメールが届きます。彼は焦った表情をし、生徒たちにそのまま続けるよう厳命して教室を出てゆきます... 筆者 番外編 2024/03/19
アッシュ、リジ―、ジェイク、ロリーの4人は、放課後教室に残って補修を受けていました。教師にスマホを没収され、作文を書かされていると、教師のスマホにメールが届きます。彼は焦った表情をし、生徒たちにそのまま続けるよう厳命して教室を出てゆきます。やがて没収され収納庫に入れられた生徒たちのスマホが一斉に鳴り出し、外の様子が慌ただしくなります。緊急車両や戦闘機の飛び交う音が聞こえてきます。4人は意を決して教室を出ますが、廊下に黒い壁が立ちふさがり行く手を阻んでいます。その表面は生き物のように蠢いていて、アッシュは自分を呼ぶ声が聞こえた気がします。こころ通り抜けてみると言うアッシュにみんなが反対し、アッシュとジェイクが小競り合いになるのですが、その拍子にジェイクが壁の中に吸い込まれてしまいます。
黒い壁は世界中に出現し、数百万人の人々がその中に吸い込まれました。中には帰還できた者もいましたが、別人のようになってしまうこともありました。黒い壁はドアと名づけられ、人々はその解明に挑もうとしましたが、なかなか上手くゆきません。そうしたなか、ドアを通り抜けて向う側を観測する計画が各国で進められ、被験者が募られました。被験者はノッカーと呼称され、宇宙飛行士の装備を着用し、ドアの向こう側に挑みます。
カップルのベッキー、ビンス、それにパットの3人の青年が、山小屋の中に出現したドアに挑みます。制限時間は12分、先の実験では15分の探査を試みるもそのまま行方不明になっていました。
ドアに吸い込まれてその向こう側にたどり着いた3人は、今来た部屋とあまり変わらない場所に出ますが、そこには3つの扉がありました。そこで3人は手分けしてそれぞれの扉の向うを探査することにするのですが、向う側には思いもよらない奇妙な出会いが待っているのでした。
山深い森の中に暮らすジャマール博士は、秘密裏にドアを1つ所有していました。これは国のドア対策に関する法規に抵触する行為でした。博士はモジュラー・シンセサイザーを用いて、ドアとコミュニケーションをとる実験を続けていました。そしてある時、博士の問いにドアが答えたのでした。シャーマルは知人の科学者キャシーを呼び寄せ、成果を見てもらおうとしますが、彼女がレオという恋人を伴って来、レオはシャーマルの違法行為を見逃すわけにはゆかず、警察に通報してしまいます。
オカルトや超常現象を得意とする動画に呼ばれた科学者は、不気味な笑みを湛えながら、ホスト役の男性の問いに答え続け、彼らは観察者である、間もなく世界は更新される、臆せず彼らを受け入れよう、そうしたことを語ります。ホスト役は、博士を異常だと罵倒しながらも、気づけば自らが奇行に走っているのでした。
世界中に唐突に出現した未知の物体ドア。それを巡る4つのオムニバス・ストーリーです。最初の高校生がドアと遭遇するエピソードは、言わば序章で、地球に異変が起こり始めていることを、高校という身近な環境で紹介します。
2番目のエピソードでは、それが世界規模に発展しており、ドアは人類に対する脅威と見なされ、各国の政府は謎を解明しようとしています。そしてドアを通り抜けて向う側を観測する計画が実行に移されます。
3番目のエピソードは、森の中で極秘裏にドアを研究している博士のお話し。このエピソードで、ドアが観察者であること、地球を更新しようとしていることが明らかになります。
第4のエピソードに登場する科学者は、ドアとの接触を経験した者の証言のようです。彼はドアが寛大であること、間もなく始まる更新を受け入れるべきであることなどを、不気味な笑みを浮かべながら発言します。
それぞれ別々のエピソードでありながら、全体として起承転結になっています。ただ、この種のSFでよく見られる、結果がないという消化不良を、この作品でも体験させられます。ドアの目的は何なのか、更新とはどういう出来事なのか、一切が謎のままです。
最後のエピソードで、ホスト役の男性が服を脱ぎ、退出してしまうシーンは、冒頭の1カットにつうじているようです。おもしろい構成です。
原題:Doors。
2021年アメリカ、84分、日本劇場未公開。
監督、脚本:サマン・ケッシュ、ジェフ・デソム、デュガン・オニール。
脚本:クリス・ホワイト。
出演:ジョシュ・ペック、リナ・エスコ、ウィルソン・ベゼル、キップ・マローン、ジュリアン・コリンズほか。
]]> グッド・キャスティング〜彼女はエリートスパイ〜【TVドラマ】 http://nyan.momo.punyu.jp/?eid=1708 2024-03-18T05:37:00+09:00 2024-03-11T03:18:18Z 2024-03-17T20:37:00Z 2024/03/18
国家情報院の要員が、産業スパイの容疑者マイケル・リーを追い詰めるも取り逃がしてしまいます。その際にクォン・ミンソクが撃たれ命を落とします。マイケルを最後まで負ったペク・チャンミは、ミンソクの死は自分の勝手な行動なせいだと悔います。3年後、チ... 筆者 韓流映画 2024/03/18
国家情報院の要員が、産業スパイの容疑者マイケル・リーを追い詰めるも取り逃がしてしまいます。その際にクォン・ミンソクが撃たれ命を落とします。マイケルを最後まで負ったペク・チャンミは、ミンソクの死は自分の勝手な行動なせいだと悔います。3年後、チャンミに再びマイケルを捕まえるチャンスが訪れます。イルグァンハイテック社とマイケルが裏取引しているとの情報をつかんだ情報院は、作戦チームを結成しマイケル逮捕に挑みます。トン・グァンスをチーム長とし、ペク・チャンミ、熟練のファン・ミンス、現場はこれが初めてのイム・イェウンの3人の女性エージェントが選抜されます。
チャンミは、社長秘書としてイルグァンハイテック社に潜入しますが、社長のユン・ソクホは彼が学生時代に家庭教師をした相手でした。ソクホは今もチャンミに思いを抱いています。彼女は偽名を使い別人に成りすましますが、ソクホは内心疑っています。
ミンスは、清掃員に扮して潜入し、技術主任のオク・チョルの部屋に隠しカメラを仕込みます。
イェウンは、コマーシャル契約しているアイドルのカン・ウウォンとの契約交渉を任され、彼の許に赴きますが、付き人のピ・チョルンが突然失踪してしまうと、強引にその後任をやらされてしまいます。じつはチョルンは産業スパイによって裏取引情報の入ったメディアの運び屋をさせられ、情報院にマークされ拿捕されたのでした。
イェウンは3年前に恋人のミンソクを失っており、その時に生まれた女の子を育てるシングルマザーです。チャンミは彼女が自分の失態で死なせたミンソクとイェウンが結婚の約束をしていたことを知り、愕然とします。
巨悪に挑むスパイストーリーですが、ラブコメにしてホームドラマでもあります。お茶の間のお母さん方も楽しめる内容ですね。
主人公ペク・チャンミとユン・ソクホ社長は、ソクホが学生時代から続く恋愛関係ですが、チャンミの方は危険と隣り合わせの自らの仕事のことを考えるとソクホの思いを手放しには受け入れられません。
シングルマザーのイム・イェウンは、わがまま放題のアイドル カン・ウウォンに最初は困り果てていましたが、なぜか放っておけず、辛抱強く付き合っている内にウウォンから求愛されてしまいます。自分の仕事、そして幼い娘がいることを考えれば、彼の求愛を受け入れることはできません。しかしウウォンの決意は固く、イェウンのすべての事情を知ったうえでなおも彼女をあきらめません。
ベテランエージェントのファン・ミンスは、ぐうたら親父と反抗期の娘を抱えていますが、娘が学校でイジメられているのを知り、自分が仕事にかまけて何も気づいてやれなかったことを思い知ります。
ホームドラマであったとしても、スパイアクションと銘打てば荒事シーンにも手を抜かない韓国ですが、いささか緊張感が足りませんでした。潜入中に騒いではいけません、動揺したり大声をあげてもいけません。ためらってるうちに敵を逃がしてしまいますから、さっさと行動してください。敵にバレてもピカピカクリーニングのカモフラージュ車を使い続けるのもどうかと思います。作戦行動においては突っ込みどころ満載でしたが、コメディとしてはそこが良いのかもしれませんね。
ハードボイルドをお望みの方よりも、ラビューでハッピーで感動のホームドラマを好まれる方に愛される作品化もしれません。
2020年、TV32話、放送16話。
演出:チェ・ヨンフン。
脚本:パク・ジハ。
出演:チェ・ガンヒ、イ・サンヨプ、ユ・イニョン、キム・ジヨン、イ・ジュニョン、チョン・インギ、イ・ジョンヒョク、ソンヒョク、チャ・スヨン、ウ・ヒョン、ホ・ジェホ、イ・サンフン、ペ・ジヌン、キム・ヨンヒほか。
]]> RRR【映画】 http://nyan.momo.punyu.jp/?eid=1704 2024-03-15T05:41:00+09:00 2024-03-06T07:31:55Z 2024-03-14T20:41:00Z 2024/03/15
1920年、イギリス領インド帝国は、スコット・バクストン総督の圧政に苦しんでいました。森の中にあるゴーンド族の村を訪れた提督の部隊は、そこで美声の持ち主の少女マッリを見つけます。総督夫人のキャサリン・バクストンが彼女を気に入ったため、部隊はマッ... 筆者 番外編 2024/03/15
1920年、イギリス領インド帝国は、スコット・バクストン総督の圧政に苦しんでいました。森の中にあるゴーンド族の村を訪れた提督の部隊は、そこで美声の持ち主の少女マッリを見つけます。総督夫人のキャサリン・バクストンが彼女を気に入ったため、部隊はマッリを連れ帰ってしまいます。
ニザーム藩王国の特使ヴェンカット・アヴァダニは総統府を訪ねた際、マッリをゴーント族に返すよう警告します。族の守護者が必ず娘を取り戻しに来る、そしてイギリス人に災いをもたらす。しかし総督の側近エドワードはそれを無視します。
マッリが拉致されたことを知ったゴーント族の守護者コムラム・ビームは、仲間と共にデリーに向かい、別人に扮してマッリを探します。
デリー近郊の警察署で警察官をしていたインド人アッルーリシータ・ラーマ・ラージュは、独立運動家の釈放を求めるデモを鎮圧しますが、署長は彼を昇進させません。ラーマは、総統府がゴーンド族の守護者に対する対策を議論していることを知ると、担当捜査官に名乗りをあげます。
列車事故に巻き込まれた少年を助けようとしている男を発見したラーマは、躊躇うことなく彼に協力し、無事に少年を救出します。そのことで彼は男と親しくなりますが、その男がゴーント族の守護者のビームだとは気づいていませんでした。
ビームは、インド人にも分け隔てなく接する女性ジェニーと出会い、好意を寄せるようになります。ラーマは、新しくできた友人の恋路を後押ししようと手を尽くします。ジェニーが総督の姪tぽいこともあって、やがてビームは総督公邸に招かれます。そこで彼はマッリと再会します。ビームは必ず助け出すと約束して公邸を後にします。
ビームは仲間と共に総督公邸に乗り込むことにしますが、そこへ毒ヘビに咬まれて瀕死のラーマが現れます。ビームは彼を助けようと解毒処置を施しますが、その際にビームはビームはラーマは自らの正体を明かし、マッリを救い出すために総督公邸に突入することを告げます。
パーティでにぎわう総督公邸に乗り込んだビームたちは、獰猛な猛獣を放って混乱を招き、それに乗じてマッリを奪還しようとしますが、そこに現れたラーマが現れ、彼の使命を全うします。ビームはラーマに逮捕されてしまいます。
ゴーント族の守護者を逮捕した功績を認められたラーマは、特別捜査官に昇進します。ラーマが警察官になって昇進を目指したのは、故郷の人々に武器を手渡すためでした。大勢の仲間が銃器を手にすれば、イギリスの圧政からインド人を解放するための力を得ることができます。特別捜査官になり、武器庫の管理を任された彼は目標に大きく近づいたのでした。
彼の父ヴェンカタ・ラーマ・ラージュもまた警察官でしたが、バクストン総督の非道な独裁政治に反旗を翻し、村人たちを訓練して総督に対抗しようとしていました。しかしイギリス軍の奇襲に遇い、多くの犠牲を出してしまいます。彼の妻すなわちラーマの母サロージニと弟チンマも犠牲になります。重傷を負ったヴェンカタは、爆弾をまとってイギリス軍に突入し、自らをラーマに狙撃させます。
家族をすべて失ったラーマは、やがて成人すると、故郷に婚約者のシータを残してデリーに向かい、警察官になったのでした。
父の遺志を継いだ革命の時は、目前に迫っていましたが、そのためにビームを犠牲にしなければならなかったことにラーマは心を痛めていました。しかしここでこれまでの計画を台無しにしてしまうわけにはゆきませんでした。
コムラム・ビーム、アッルーリ・シータラーマ・ラージュは、20世紀初頭に実在した革命家だそうです。イギリスによる植民地支配に抵抗し戦いを先導した英雄です。映画では超常的なパワーを発揮し、圧政を敷くバクストン総督を妥当します。
ビームはゴーント族の守護者として少女マッリを取り戻すことに専念し、ラーマが警察官だと知り彼に逮捕されると、自分は騙された、裏切られた、友情は偽りだったのだと落胆するわけですが、ラーマはたとえ親友を犠牲にしてでも大義を実現する、そんな遠大な理想を貫こうとしています。これはまた婚約者のシータや故郷の人々と約束したことでもありました。
しかしラーマは勇猛なビームに心打たれ、彼を逃がそうと裏工作をしてしまい、それがばれて捕まってしまいます。彼の大義が潰えてしまうわけですが、彼がやろうとしていたことを知らされたビームは、感動に打ち震えます。おれは間違っていた、おれはマッリを助けるために命をかけたが、ラーマはインドを救うために命をかけていたのだ。
ビームは危険を冒してラーマを助け出し、ここから2人の華麗な共同戦線が展開します。
CGを多用し、破格のアクションを駆使した現代のインド映画は世界的に高い評価をされるようになりましたが、本作はその中でも最もスケールの大きな超大作です。製作費も最高額だったそうです。日本でもずいぶんロングラン上映されていました。
あり得ないファンタジーなアクションも熱くてセンスがあればOKです。そんなバカな、と言って見入ってしまうのです。これがインド映画だと知れば、もうそれをバカにしたりできません。すっかり心を奪われてしまいます。
そしてやはり踊ります。インド映画はどんなジャンルであろうと踊るのです。壮麗な群舞に命かけているのです。
最近のことは存じませんが、インドでは劇場上映の際には観客は大騒ぎして観るそうなので、客席でも乱舞するんでしょうね。
実在した革命家をヒーローにしていますが、政治色はそれほど強くなく、少女を救う物語、巨悪をぎゃふんと言わせる物語、熱い友情の物語として楽しめます。想像していたよりずっとすごかった。
原題:RRR。
2022年インド、182分、同年日本公開。
監督、脚本:S・S・ラージャマウリ。
脚本:サーイ・マーダヴ・ブッラー(。
出演:N・T・ラーマ・ラオ・ジュニア、ラーム・チャラン、アジャイ・デーヴガン、アーリヤー・バット、シュリヤ・サラン、サムドラカニ、レイ・スティーヴンソン、アリソン・ドゥーディ、オリヴィア・モリスほか。
]]> ARGYLLE/アーガイル【映画】 http://nyan.momo.punyu.jp/?eid=1707 2024-03-13T05:41:00+09:00 2024-03-08T05:12:41Z 2024-03-12T20:41:00Z 2024/03/13
華麗なスパイの活躍を描いた小説「アーガイル」シリーズで一躍有名になった小説家エリー・コンウェイが、列車で移動中に向かいの席に怪しげな男が腰を降ろし、彼女の顔を見るなり熱烈なファンであることを告げます。エリーは一瞬彼が小説の主人公アーガイル... 筆者 番外編 2024/03/13
華麗なスパイの活躍を描いた小説「アーガイル」シリーズで一躍有名になった小説家エリー・コンウェイが、列車で移動中に向かいの席に怪しげな男が腰を降ろし、彼女の顔を見るなり熱烈なファンであることを告げます。エリーは一瞬彼が小説の主人公アーガイルとダブって見え、思わず目を凝らしてしまいます。すると次の瞬間べつの男が襲ってきて、向かいの席の男が彼を撃退します。驚く間もなく次々と暴漢が現れ、向かいの席の男はそれらをことごとく撃退してゆきます。しかし敵は次々と際限なく現れ、最後には彼はエリート共にパラシュートで列車から脱出します。
悲鳴を上げ気を失ってしまうエリー。気づけば車の助手席にいて、運転席には霊の男が。彼はエイダン・ワイルドと名乗り、スパイであることを明かします。
エイダンは飛行機が苦手なエリーをプライベートジェットに乗せ、2人はそのまま大空へ。向かった先は人跡の耐えた田舎でした。そこで2人を待ち受けていたのは、巧妙にカモフラージュされた秘密基地と、元CIA局長アルフレッド・ソロモンでした。
さながらエリーが書いている小説みたいなことが次々と起こります。ソロモンは、悪の組織がエリーを狙っていることを告げます。彼女が書く小説が、スパイの暗躍をことごとく予測しているからだというのです。
エリーに予知能力があって、小説の中に現実に起こる諜報活動を描き出してしまうというと、ファンタジーめいた内容になってしまいますが、じつはこれには歴とした理由があったのです。エリーは記憶を失っていますが、彼女は正真正銘の敏腕エージェントでした。潜在意識に残るその時の記憶が、彼女に小説を書かせていたのです。
「キングスマン」のマシュー・ヴォーン監督お得意の痛快スパイアクションですが、作家が書いた小説が現実とクロスオーバーしてしまうというので、ほんと最初はファンタジー路線かと思いましたが、じつはそうじゃなかった。このストーリートリックはなかなか巧妙です。飛行機が苦手で、目の前の荒事に脅え膜ていたエリーが、真の自分に目覚めると。強いのなんの。サンドラ・ブロック主演の「ザ・ロストシティ(2022)」を思い出しました。
原題:Argylle。
2024年アメリカ、139分、同年日本公開。
監督:マシュー・ヴォーン。
脚本:ジェイソン・フックス。
出演:ブライス・ダラス・ハワード、サム・ロックウェル、ブライアン・クランストン、キャサリン・オハラ、ヘンリー・カヴィル、ルイス・パートリッジ、ュア・リパ、アリアナ・デボーズ、ジョン・シナ、サミュエル・L・ジャクソン、ソフィア・ブテラ、リチャード・E・グラント、チップ、ロブ・ディレイニー、ジン・ルージ、ベン・ダニエルズほか。
]]> 落下の解剖学【映画】 http://nyan.momo.punyu.jp/?eid=1706 2024-03-11T05:37:00+09:00 2024-03-08T03:18:37Z 2024-03-10T20:37:00Z 2024/03/11
作家のサンドラは、フランスの雪深い山荘で夫のサミュエル、息子のダニエルと3人で暮らしていました。サンドラが大学生のインタビューを受けていたところ、夫が大音響で音楽をかけ始めたため、インタビューを打ち切らざるを得なくなってしまいます。その直... 筆者 番外編 2024/03/11
作家のサンドラは、フランスの雪深い山荘で夫のサミュエル、息子のダニエルと3人で暮らしていました。サンドラが大学生のインタビューを受けていたところ、夫が大音響で音楽をかけ始めたため、インタビューを打ち切らざるを得なくなってしまいます。その直後、愛犬と散歩に出ていたダニエルの悲鳴を聞き、サンドラは窓から顔を出します。するとそこに血を流して倒れている夫の姿がありました。
サミュエルは自室から転落して死んだのですが、自殺、事故死、それとも他殺、いずれとも判断しがたい状況でした。検事はサンドラを殺人の疑いで起訴し、裁判になります。サンドラは親しくしているヴァンサンに弁護を依頼します。
公判では様々な人物が証人台に立ち、その中には息子のダニエルも含まれていました。物証もいろいろ提示され、サンドラとサミュエルの夫婦生活が浮き彫りにされてゆきます。事件の前日、夫婦が争うところを録音したメディアも公開されます。それはサミュエルがしばしば日常を録っていたものでした。
サミュエルも作家を目指していましたが、作家デビューはサンドラに先を越されていました。サミュエルはまたサンドラの作品が自分のアイディアを盗んだものだと主張し、サンドラは彼が捨てたアイディアを使っただけだと返しています。彼はまた家の修理やサンドラの学校の送り迎えで自分に執筆の時間がないのは不公平だと訴えますが、この山荘に越してきたのは、執筆に専念するためとサミュエルが希望したからでした。
ダニエルには視覚障害がありました。用事でサミュエルがダニエルの迎えにゆけなかった時に起こった事故のせいでした。
夫婦の間に様々な確執があったことが次第に明らかになり、サンドラは窮地に立たされます。そしてまだ子供のダニエルも自ら進んで証言台に立つのでした。
カンヌ国際映画祭パルムドール(最高賞)を受賞し、ハリウッドのアカデミー賞にも作品賞ほか5部門にノミネートされている話題作です。
サスペンスとしては、どんでん返しも特になく淡々としたストーリーになっていますが、裁判を通じて夫婦や親子の関係が生々しく浮き彫りにされれゆくさまがひじょうに印象的です。
筆者的には、そんなにすごい作品かなぁと首をひねりたいところでしたが、家族が亡くなり、それが事件性があるとして刑事裁判になる、そのことが展開が淡々としているだけにリアルに感じられました。
原題:Anatomie d'une chute。
2023年フランス、152分、翌年日本公開。
監督、脚本:ジュスティーヌ・トリエ。
脚本:アルチュール・アラリ。
出演:ザンドラ・ヒュラー、スワン・アルロー、ミロ・マシャド・グラネール、アントワーヌ・レナルツ、サミュエル・タイス、ジェニー・ベス、カミーユ・ラザフォード、ソフィ・フィリエールほか。
]]> あらすじでわかる中国古典「超」入門【随筆】 http://nyan.momo.punyu.jp/?eid=1703 2024-03-08T05:47:00+09:00 2024-03-06T07:36:47Z 2024-03-07T20:47:00Z 2024/03/08
中国では、政治、社会、文化においても歴史上の故事や文学からの引用が多用される、ゆえに中国人と話すにしても、中国の映画やドラマを観るにしても、ショッピングや食事においても、そうした知識があるとないとでは大違いになってくる。もしも中国の故事や... 筆者 番外編 2024/03/08
中国では、政治、社会、文化においても歴史上の故事や文学からの引用が多用される、ゆえに中国人と話すにしても、中国の映画やドラマを観るにしても、ショッピングや食事においても、そうした知識があるとないとでは大違いになってくる。もしも中国の故事や文学が簡単に解る本があったら、そうした思いから著者が自ら筆を執ることになった中国文学早わかりガイドブックです。
春秋・戦国時代に始まり、近代の著名な文学について、登場人物やあらすじ、著者の経歴を解りやすく紹介しています。
紀元前に生きた孔子、孟子、老子、荘子らの時代には漢詩が盛んに作られ、人の道を説き、またある時には世を憂い足り、人生をはかなんだりしています。戦乱の世にあって王政を批判し世を正そうとした思想が多立し、種々の文学が残されてきたことに驚かされます。
秦・漢・魏晋南北朝時代になると、司馬遷が中国初の正史を著し、また高名な武人である曹操、曹丕、曹植が詩人としても活躍しています。隠遁生活を送りながら詩を書いた陶淵明は田園詩人の異名でも知られています。また世界最古の地誌「山海経」には西王母、四つ足の天狗、九尾の狐、天馬や人魚が登場します。
随・唐・宋時代には、李白や杜甫、白居易(白楽天)といった詩人が活躍し、日本の平安貴族にもその漢詩は愛されました。詩作のみならず散文家、政治家としても名高い蘇軾は「赤壁の賦」を著した人です。
元・明の時代になると、私たちもよく知る戯曲や小説が登場します。「西廂記」「三国志演義」、「水滸伝」は江戸時代に日本に輸入され「南総里見八犬伝」の原型となりました。「西遊記」はあまりにも有名ですよね。児童書から舞台劇、映画やドラマまで日本でも数々の作品の原作となりました。「封神演義」も西遊記と合わせ評せられる名作ファンタジーです。日本ではエロチックノベルとして知る人ぞ知る「金瓶梅」は中国本国でもしばしば禁書となったそうですが、多くのファンに愛されてきた古典小説だそうです。同名映画が日本でも上映され話題になりました。日本の女優も出ています。
「西遊記」「三国志演義」「水滸伝」「金瓶梅」は中国四大奇書としても知られていますね。
清の時代になるといわゆる近代文学になってくるのですが、キョンシーの元ネタが登場する「聊斎志異」やリアルな人間模様を描いた「樹林外史」が登場するのですが、これらのタイトルは、日本ではあまり馴染みないものですね。ただ、多くの映像作品にキャラや題材を提供しているようです。「紅楼夢」は12人の美少女美少年が繰り広げる人生絵巻だそうです。筆者は存じ上げませんでした。「児女英雄伝」戦う美少女が若様を守って……中国に日本のアニメがウケる理由が解った気がします。「三侠五義」は武俠小説すなわち武術に長け義を重んじる人々が活躍する物語の産みの親だそうです。
かつて中国は、欧州をもしのぐ文明大国でした。偉大な思想家が現れ、数々の発明の偉業で世界を変え、たいへん大きな影響力を持つ国でした。その文化が日本にももたらされ、その後の日本文化の礎を築きました。歴史的にはごくごく最近になって日本は欧米の影響を受け、科学技術大国にのし上がり、一頃は中国を見下すまでになりましたが、中国の長い歴史から見ると、日本はまだまだ新人のような気がします。
人類の歴史を知るうえで、教科書では政治が物語の中心になりますが、本著は文化を主として歴史を描いたところがユニークですし、ちがったアプローチから歴史を知る斬新な手段のように思えました。
文化を主体に語るということは、社会を上から俯瞰するのではなく、人間目線で仰望することではないでしょうか。言わば我々庶民により近しい視点で歴史を知る手段だと思われます。
現在の日本にも通じる、漢詩や故事成語の起源を尋ねる旅は、素晴らしく、楽しいのでしょうね。筆者のような不勉強な者には気が遠くなるような話ですけど。
歴史に興味のある方は、必読です。新たな視点が得られます。
2006年、講談社+α新書。
著者:川合章子。
]]> バッドランド・ハンターズ【映画】 http://nyan.momo.punyu.jp/?eid=1701 2024-03-07T05:42:00+09:00 2024-03-04T06:53:41Z 2024-03-06T20:42:00Z 2024/03/07
未曽有の大災害により世界は崩壊し、人々は瓦礫と化した都市やその周辺でテント暮らしを送っていました。水や食料を手に入れるのも容易ではなく、過酷な生活を強いられていました。そうした中、略奪を繰り返す武装集団も出現し、人々を脅かしていました。
... 筆者 韓流映画 2024/03/07
未曽有の大災害により世界は崩壊し、人々は瓦礫と化した都市やその周辺でテント暮らしを送っていました。水や食料を手に入れるのも容易ではなく、過酷な生活を強いられていました。そうした中、略奪を繰り返す武装集団も出現し、人々を脅かしていました。
辺境の地で野生動物を狩って暮らしているナムサンとジワンは、採った獲物を物々交換で周りの人々に分け与え、生計を立てています。近くに祖母と一緒に住む少女ハン・スナは、自分で描いた絵を持って来ては、ナムサンに肉と換えてもらっていました。ナムサンとジワンの住む小屋には、彼女の絵がたくさん飾ってあります。
ある時、先生と名乗る女性が屈強な男たちを連れて現れ、未来ある若い少年少女たちの救済活動をしていると言います。しっかりとしたマンションで暮らせるうえ、水や食事も困らない、ただし住めるのは子供たちとその家族だけと伝えます。スナは老いた祖母のためにもこのチャンスを活かしたいと思い、ナムサンもここよりはマシだろうと賛成します。
旅立ってゆくスナをジワンは肩を落として見送ります。徒歩での道中、2人の老人が歩けなくなってしまいます。先生は2人を近くにある救護施設で預かってもらうと言い、残りのものを急き立てて先へ進みます。警備の男たちとその場に残った老人のうち1人はスナの祖母でした。じつは救護施設などは存在せず、2人は抹殺されてしまいます。
たまたま狩りで遠征していたナムサンとジワンは、老人たちを抹殺する現場を目撃してしまいます。これに気づいた警備の男たちが襲ってきますが、ナムサンは強力なパンチを繰り出してこれを撃退してしまいます。しかし相手はどんなにダメージを受けても蘇るゾンビのような存在です。そこへ戦術に長けた女性が現れ、不死身の男たちを倒すには、頭をつぶせと教えてくれます。
女性はイ・ウンホ軍曹と名乗り、ナムサンを探していたと言います。彼の腕っぷしの強さを風の便りで聞き、助けを求めに来たというのです。子供たちを擁護しているマンションはヤン・ギス博士というマッドサイエンティストの独裁下にあり、そこではおかしな実験が行われているというのです。不死身の男たちも実験台になった結果でした。
ヤン・ギスは、亡くなった娘を生き返らせるために禁断の研究に手を染め、そのために多くの人間を犠牲にしていました。不審に思った警察が彼の研究所を強制捜査した矢先、大きな地震が発生して街は崩壊し、ヤン・ギスは姿をくらましたのでした。
倒壊をまぬがれたマンションを見つけた彼は、地下水を浄化して良質な水を得る方法を編み出し、人々の信頼を勝ち取りました。また新たな時代を生き残るためと称して人体実験を繰り返し、人々に不死身の体を与え、軍隊を構築して建国しました。
少年少女たちは、英才教育を施すために親と話して8回の施設に収容し、優秀な成績を残した子の家族には、水と食料をふんだんに与えました。
マンションに到着してしばらく経っても祖母が現れないことを不審に思ったスナが大人たちに尋ねますが、誰も答えません。やがて彼女は教育のために8回に収容されます。そこではうつろな表情の生徒たちが机に向かっていました。新入生のスナを紹介しても、みんな無反応です。生徒たちはペットボトルの水をあてがわれ、それをしっかり飲むように言いつけられていましたが、スナはそれを不審に思い飲みませんでした。夜になってみんなが寝静まると、スナは寝床を抜け出して辺りを探索し、実験設備の中でひとりの少女が眠ったまま器機につながれているのを目撃します。
スナに気づいたヤン・ギスは、彼女を捕らえると実験台に固定してしまいます。
一方、ナムサン、ジワン、ウンホの3人は、近くの武装集団を襲撃し、そのボスを脅して兵力と車両を整え、ヤン・ギスの独裁国に攻め入る準備を進めていました。
世界を飲み込む大災害によって崩壊した世界、生き残った人々は水と食料を求めて細々と暮らしています。多くの人々が掘っ立て小屋かテントで暮らすありさま。そんな中で1棟のマンションだけが倒壊をまぬがれて立っており、そこは厳格な法が整備された国家体制が敷かれていました。昨年公開され、日本でも今年の1月に劇場公開された「コンクリート・ユートピア」の続編だと評する声もあるようです。世界が唐突に崩壊を迎えたのも同じですし、マンションが1棟奇跡的に残ったのも同じです。前作のエピソードで住民の統治が失敗した同じマンションに、今度は人類の明日を担う研究に取り組んでいると称する科学者がやって来て支配権をものにするというわけです。
しかし彼の非道な実験は、薬で肉体を維持しなければ死んでしまうゾンビ人間を産み出し、少年少女の脳下垂体は、自らの亡くなった娘の復活のために使用されています。娘はガラスタンクの保存液の中で、胸像の状態となって眠っています。
マ・ドンソクは先日「犯罪都市 NO WAY OUT」が公開になったばかりですが、同じ時期にこうした体当たり演技の過酷な映画を作っていたんですね。彼の映画に対する情熱はあまりにもすさまじいです。エレベーターのないマンションの階段を上がりながら、腰が痛いともらし拾った銃を杖にして苦笑するシーンは、演技ではなく彼の生の声と表情を捉えているように見えます。
唐突な大災害によって崩壊した世界、無法地帯と化した大地で水と食料を求めてサバイバル生活を送る人々。そうした世界で、武装蜂起して資源を独占しようとする者、科学の力で人々を洗脳し独裁政権を得る科学者、そうした勢力図が展開します。考えてみれば平時である現在も本質的には変わらないですよね。権力を欲する者はチャンスを見つけると支配力を身に着けようとし、それに盲従する者と反駁する者が現れ、争いが生じます。
「コンクリート・ユートピア」では、一介の市民が権力者にのし上がり、マッド・サイエンティストが支配力を得る本作に比べてリアルです。対する本作はSF要素が強くなっています。いずれにしても支配力の許に人々が集まり、反駁する者がこれをつぶしにかかります。「マッドマックス」的であり、マ・ドンソクも出演した「新感染 ファイナル・エクスプレス(2016)」的でもあります。そしてマ・ドンソクのファンたちには「犯罪都市」の近未来版に見えるかもしれません。マ・ソクト刑事が活躍する世界が突然大災害で崩壊し、彼が巨悪相手に戦うヒーローに変じたとしたら、シチュエーション的にまんまマッドマックスですね。
英題:Badland Hunters。
2024年、108分、Netflix、16+。
監督:ホ・ミョンヘン。
脚本:キム・ボトン、クァク・ジェミン。
出演:マ・ドンソク、イ・ヒジュン、イ・ジュニョン、ノ・ジョンウィ、アン・ジヘ、パク・ジフン、チャン・ヨンナム、パク・ヒョジュン、ソン・ビョスク、チョン・ヨンジュほか。
]]> マッチング【映画】 http://nyan.momo.punyu.jp/?eid=1700 2024-03-06T05:44:00+09:00 2024-03-04T03:45:01Z 2024-03-05T20:44:00Z 2024/03/06
唯島輪花は、ウェディングプランナーという仕事に就いていながら自らは恋愛に疎く異性との付き合いがありませんでした。それを見かねた同僚の伊藤尚美になかば強引にマッチングアプリ wilwil を勧められ、会員登録をしたところ、ひとりの男性と相性ピッタリ... 筆者 番外編 2024/03/06
唯島輪花は、ウェディングプランナーという仕事に就いていながら自らは恋愛に疎く異性との付き合いがありませんでした。それを見かねた同僚の伊藤尚美になかば強引にマッチングアプリ wilwil を勧められ、会員登録をしたところ、ひとりの男性と相性ピッタリということになり、何回かスマホ上で会話を交わし、実際に会ってみることにします。
永山吐夢と名乗る相手の男性は、アプリのプロフィールからは想像できない暗くて不気味な雰囲気で、ゴム長靴を履いていました。輪花は交際を断ろうとしますが、その後も執拗にメッセージを送り続けてきます。
世間ではカップルが犠牲になる猟奇殺人が相次いでいて、犠牲者が wilwil を通じて出会ったということで、wilwil は急速に顧客を減らしていました。その打開策として wilwil は輪花の勤めるブライダルサービスとタイアップ企画を持ちかけてきます。
輪花は、wilwil のプログラマー影山剛に、アプリで知り合った男に付きまとわれていることを相談します。影山は彼女の悩みを聞き入れ、積極的に協力してくれるのですが、そんな折り、また新たな犠牲者が発生します。しかも殺されたカップルは、wilwil で出会ってアプリ婚し、輪花が勤める式場で結婚式を挙げていました。
父の芳樹と2人暮らしの輪花は、最近父の様子がおかしいことに気づきます。そして家に不審な電話があり、輪花は父から思いがけない打ち明け話を聞かされることになります。彼は美知子という妻がありながら節子という女性と浮気し、別れようとしても執拗に付きまとわれるようになっていたのです。
輪花の脳裏に幼い頃の記憶が蘇ります。自分を置いて去ってゆく母、その後に現れた赤い服の女。女は4つ葉のクローバーを幼い輪花に手渡します。輪花は母が自分を置いていなくなってしまったと思っていましたが、じつはその赤い服の女に呼び出され、連れ去られてしまったのかもしれない、そう気づきます。
最近、出会い系アプリやサイトを通じて良縁に恵まれる半面、ストーカー被害に遇ったり、もっと危険な事件に巻き込まれたりするケースが増えていると耳にしますが、本作はそうした出会い系アプリの裏に潜む恐怖を題材にしています。
主人公の輪花がアプリを通じて出会った永山吐夢は、見るからに不気味な男で、輪花は彼に恐怖を感じます。彼自身ストーカーを自称し、でも誠意あるストーカーなのだとさらに不安を煽るような言動をしています。職業はクリーンサービスのスタッフで、自殺や殺人のあった場所の片づけと掃除という、彼のイメージを象徴するような仕事です。
いかにも怪しい永山ですが、警察も彼をマークしますが、観ていてほどなく真犯人が判ってしまいました。こういういかにも怪しげな人物は実は真犯人ではないんですよね。多くの観客の方々もそれに気づいたと思います。
犯人が筆者が想定した通りの人物で……実際そうだったのですが……永山がじつは輪花を助けてくれる、そんなシナリオだったら陳腐すぎるな、そんなふうに思っていたのですが、真犯人も永山も想像を越える過去を持っていました。また、輪花の父芳樹の浮気も、長い時間をかけて現在輪花が巻き込まれている事件に関連していました。
全体的に単調な感じで進むので、ハズレかなとも思われましたが、クライマックスからラストへの怒涛の展開に驚愕させられます。輪花が経験する恐怖は、ストーカーや隣人の死を経てさらに驚くべき真実へとつながってゆきます。
アプリを悪用した連続猟奇殺人、そんな一片通りの内容から、長い時間を経て構築された血も凍るようなサスペンスへと発展してゆく様は、本当にすごいです、怖いです。
2024年、110分。
原作、監督、脚本:内田英治。
脚本:宍戸英紀。
出演:土屋太鳳、佐久間大介、金子ノブアキ、真飛聖、後藤剛範、片山萌美、片岡礼子、杉本哲太、斉藤由貴ほか。
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