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ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語【映画】

2020/07/08


 南北戦争下のマサチューセッツ州コンコード。マーチ家の4姉妹は、出兵している父の帰りを待ちわびながら母と共にたくましく生きていました。暮らしはけっして豊かではありませんでしたが、姉妹にはそれぞれ夢がありました。長女のメグは女優になることが夢で、次女のジョーは小説家を目指して物語を書き続けていました。三女のエリザベスはピアノが得意でしたが生まれつき体が弱く、社交的なことは苦手でした。四女のエイミーは画家志望でした。
 そうした姉妹の夢とは裏腹に、祖母は女性が仕事で身を立てることには否定的で、良縁に恵まれて結婚することが女の幸せだと主張して譲りませんでした。
 やがてメグは女優をあきらめで貧しい教師との結婚を決意します。彼女が女優になって上流社会の暮らしを夢見ていたことを知るジョーはひじょうに悲しみますが、メグの決意は固いものでした。
 ジョーにはローリーという恋人がいましたが、彼女は作家を目指し、彼の求婚を断ってニューヨークに行きます。苦心の末、初めての本を出版しますが、あとが続きません。そうした折り、エリザベスが病床に伏したことを知らされ、彼女は故郷に戻ります。
 故郷ではエイミーが画家の道を捨てて結婚し、ローリーはいまやジョーの恋人ではありませんでした。

 うっそうと草が茂る草原の中に、ポツンポツンと家が建っています。そんな牧歌的な風景の中に少女たちの笑い声が響きます。姉妹みんなで夕飯の支度をして母の帰りを待っていますと、帰宅した母は悲しそうにお隣では幼い赤ん坊がいるのに食べるものさえないとつぶやきます。姉妹たちは食事をバスケットに詰め、隣家へと赴きます。その様子がまるでピクニックのようです。帰宅してみると、テーブルには豪華なご馳走が並んでいます。貧しい家庭に施しをする姉妹を見ていたローレンス氏がこっそりと用意してくれたのだと家政婦が言います。
 姉妹はさっそくローレンス家にお礼に赴き、そこでエリザベスは今は使われていないピアノを弾かせてもらいます。

 オルコットの名作「若草物語」は、1868年に出版された著者の自伝的小説として知られています。マーチ家の4姉妹のその後を描いた続編が4作まで出版されました。1917年には初の映画化が成され、その後、映画、テレビドラマ、アニメ、ミュージカルとひじょうに多くの作品が生まれました。本作はその最新の映画版となります。
 和題はいささか長いものになっていますが、原題は原作小説のままです。ストーリーも原作に忠実ですが、ジョーが編集者に反駁するシーンは、原作者オルコットの真意を強調するために変更したのだそうです。
 ジョーを作家として売り出すにあたり、編集者は主人公が最後に幸せな結婚をものにする結末を断じて譲りませんでした。大衆受けするにはそれが不可欠であると言うのです。女性の自立を目指すジョーはこれに反発しますが、これが原作には描かれなかったオルコットの本当に望んだ思いであると、監督は言っています。

 小説家としてデビューを果たしたジョーの物語と、彼女とその姉妹の生きざまが絶妙にクロスオーバーする展開が素晴らしいです。

 姉妹たちはそれぞれに自らの才能を以て自立を目指しますが、世情には抗えず結婚に身をゆだねてゆきます。アメリカにおいても参政権をはじめ女性が自立を果たしたのは最近のことですから、オルコットが生きた時代には、絵空事のようなものだったのでしょう。
 それでも彼女らの父は、娘たちを少女ではなく立派な女性という意味を込めて Little Women と呼び、オルコットはそれを小説のタイトルにしています。
 長いスカートを引きずって大地を踏みしめるリトル・ウィミンの思いは、150年の時を超えて私たちの心に響きます。

 現在、職業における男女差別は改善され、女性の自立は常識的なものになりましたが、巨悪と化した資本からの市民の自立がひじょうに困難な時代となりました。企業を盛り立てる現場職員は社畜などと蔑まれ、あるいは自嘲的な表現でもそう自称し、市民は職業人としてのプライドを失ってしまいました。
 経済は、物の価値を代用するものであって、それが社会をリードするべきではありません。我々の心にマーチ家の姉妹の思いが痛烈に届くには、たがいに自立に餓えた人間同士であるでしょうね。
 でも、そうした世情に反感や不満を抱くのではなく、逆境を糧にして闘ってみてください。ここもみずみずしい草原のように輝きだします。

原題:Little Women。
2019年アメリカ、135分、翌年日本公開。
原作:ルイーザ・メイ・オルコット。
監督、脚本:グレタ・ガーウィグ。
出演:シアーシャ・ローナン、フローレンス・ピュー、エリザ・スカンレン、エマ・ワトソン、ローラ・ダーン、メリル・ストリープ、ティモシー・シャラメ、クリス・クーパー、ジェームズ・ノートン、ルイ・ガレル、トレイシー・レッツ、ボブ・オデンカーク、ジェイン・ハウディシェル、アビー・クインほか。

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