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デイ・アフター【映画】

2020/05/20


 製薬会社に勤めるリヴと恋人のレックス、2人は開発した新薬の発売が決まり、祝賀パーティに参加していました。しかし翌朝2人は見知らぬ部屋に監禁された状態で目を覚まします。2人とも怪我をしておりレックスは腹部の傷が重篤で包帯が巻かれ、昏睡状態です。
 やがてひとりの男が部屋に入って来て、外の世界は細菌兵器で汚染された、リヴとレックスはマンションのエレベーターの中で爆発の振動で気を失い、男が救出してここへ連れてきたと言います。
 男はこの生物兵器テロを事前に予測しており、それに備えて準備しており、男の住居は外の世界と完全に隔絶されていました。3人でここで2〜3週間しのげば、生物汚染はなくなり救助されるだろう、男はそう見込んでいました。
 しかしリヴは男の話しが信じられませんでした。男の顔には見覚えがあり、昨夜のパーティ会場でもリヴたちを離れたところから見ていました。リヴはこれが計画的な誘拐だと思います。重症のレックスも早く病院に連れてゆきたいし、彼女は釈放してくれたらこのことは口外しないと男を説得しますが、男は聞き入れません。
 レックスが目を覚ましすと、リヴは彼に状況を説明し、脱出を図ります。

 脱出は男に阻まれ、リヴは拘束されてしまいます。そして男は彼女の目の前でレックスに暴力を揮い、新薬の情報をテロリストにリークしたことを白状させようとします。男は前々から2人を監視していたのでした。そして彼らが開発した新薬のデータが生物兵器開発に悪用されたと言うのです。
 男がレックスを拷問し続けると、やがてリヴが情報をリークしたのは自分だと言い出します。新薬は未完成で人によっては命の危険が伴う、この問題が解決されないまま同様にそそのかされて発売を急ぐのを止めたかった、そのために情報をリークしたのだが、相手がテロリストだとは知らなかったのです。

 生物兵器テロの情報を事前につかんでいた男はいったい何者なのでしょう。政府や警察の関係者なのでしょうか。彼はリヴの部屋を盗撮しており、そこで交わされたレックスや彼の同僚の会話も記録しています。その盗撮趣味から着想した終末ごっこ、あるいは誇大妄想……。男の隙を突いて、出口の電子ロックを解除する手がかりを探すために部屋を物色すると、男がサイコパスであるという診断書が見つかります。
 果たして、生物兵器テロは実際にあったのか、それとも男の妄想なのか。

 DVDのジャケットは、荒廃した町に炎上する車、軍用ヘリ、その背景に描かれたドクロ、そしてリヴとはまったく服装がちがう傷ついた女性、終末は明日かも知れないというロゴ、そんな感じになっています。男の住居という閉塞空間で完結する本編とはまったく異なる内容を描いた詐欺ジャケットです。ドイツ映画ですが、英語に吹き替えられており、このジャケットはアメリカ(たぶん)で発売されるときに作られたものでしょうか。あるいは日本で作られたものでしょうか。偽った内容のジャケットには違法性を感じますが、B級作品の販売ではよくある話しで、野放しになったままです。まぁ、仕方ないですね。本当は仕方ないで済ますべきではないのかもですけど。

 シチュエーションも内容も、まんま「10クローバーフィールド・レーン」です。脅威が細菌兵器か宇宙人の襲来かのちがいだけ。細菌兵器とうことで本作の方が設定的にはリアルなのですが、新薬のデータがテロリストに漏れ、たちどころに人類を滅亡させる細菌兵器に応用され、すぐさま実行に移されるというのがあまりにもリアリティに欠け、これはやっぱ男の妄想なんだとリヴならずとも思ってしまいます。そもそも新薬はワクチンということで、抗ウイルス剤ではあるものの、ウイルスに転化できるような生物由来のものではありません。なにをどうまちがえたら薬がウイルスになり、世界に滅亡をもたらすような猛威を発揮できるのか。それともウイルスにこのワクチンを振りかけたら、抗ウイルス効果どころか毒性の高い殺人ウイルスに変身してしまうのでしょうか。

 偶然にも現在世界は新型コロナウイルス(COVID-19 あるいは SARS-CoV2)のパンデミックで、ウイルスによる終末を描いた作品は、笑えないものになっています。錯綜する情報の中には某国の生物兵器の可能性を主張するものもあります。
 筆者が子供の頃には、細菌兵器の恐怖を描いたパニック映画やSF作品がよくありましたが、シリンダーを開封したとたんに人がバタバタと倒れ即死する、そんな細菌は現実にはあり得なくて、パンデミックにより経済的なダメージを与える、あるいは局地的な感染被害をもたらすというのが実際のところなのでしょう。
 現実のパンデミックは、人々の長距離移動を容易にした技術がもたらした災害ですし、経済維持と防疫との葛藤が感染拡大を防げなかった要因です。ウイルスを根絶することは不可能で、人類は今後もウイルスと共存してゆくしかありません。

 生物兵器として現在ホラー映画の主流を占めるのは、何んと言っても感染者がゾンビ化するというものですね。感染者は知性や理性を失い、ウイルスにコントロールされるがままに次の宿主を求めてさまよいます。ゾンビはじつは新鮮な肉に飢えているのではなく、次の宿主を求めているのです。
 この作品は内容的にあまりお勧めできるものではありませんでしたが、現在実際に起こっているパンデミック、あるいは映画や小説に登場するウイルスについて、いろいろ思いを馳せるきっかけになったということで、見るべくして見る作品だった、そんな気がしています。映画の紹介よりも、これを観たという出来事を紹介したい、そんな奇妙な思いに憑かれている次第です。

2017年ドイツ、80分、OV。
監督、脚本:ボグダナ・ヴェラ・ローレンツ。
出演:アリス・ドワイヤー、ジェフ・ウィルブッシュ、ゲッツ・シュルテ、マクシミリアン・メイヤー・ブレッジナイダーほか。

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