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KINBAKU 〜月の章〜【映画】

2020/05/18


 勝者の管理職として敏腕を揮う美月姫は、帰宅途中の夜道で襲われ拉致されます。目が覚めると彼女は舞台の上で緊縛されていました。傍らでは喪服姿の部下さつきが夫の遺影を抱いて立っています。遺影の男藤村も美月姫の部下で、彼が自殺したのは彼女のパワハラが原因であるとし、さつきが復讐のために縄師の安藤に仕事を依頼し、姫が凌辱されるさまを藤村の遺影に見せようというのでした。
 さつきの目の前で縛り上げられ辱められる姫、ところがやがて縄師はさつきをも縛り上げ、そこへ別の男が登場します。彼もまた姫の部下で、藤村とは同期でした。男は姫に憧れていたという自分の思いを吐露し、身動きできない彼女を犯します。そしてそれも安藤が仕掛けた演出でした。

 KINBAKU 第2弾です。前回とはストーリー的なつながりはありませんが、女性に恨みを持つものが縄師安藤に仕事を依頼するというシチュエーションは同じで、今回も例のイギリス人ジャーナリストが招かれ、舞台を鑑賞しながらマイク片手に解説を施します。
 彼は捕縄術に精通していて、同時通訳のように状況を解説し、1つ1つの縛りにどんな意味と効果がありどんな名称なのかを克明に語ります。解説のすべては緊縛への賛辞であり、彼はこの文化を心から愛しています。
 結婚適齢期かつ妊娠適齢期に大金をかけて趣味や旅行に興じ、三十路を過ぎて不妊治療にまた大金をかける、そんな現代女性を批判します。男尊女卑が崩壊し、男女平等が評価されるようになってからの社会が失ったものを彼は嘆きます。
 前編に続き本作でも彼は日本社会崩壊の危機を訴えていますが、日本は年間6万人が自殺しており、この統計はちゃんとした遺書があって自殺が確定している者に限られ、WHOの基準に当てはめると日本の自殺者はその3倍になるそうです。そして男性の自殺は女性の3倍になると言います。男女平等社会で男性は社会的たちばを追われ女性よりもずっと苦しんでいる人が多いのだそうです。
 1日に500人が自殺する自殺超大国日本は、少子化もあって労働力が急速に失われてゆき、どんどん移民を受け入れており、いずれ日本から純粋な日本人はほとんどいなくなるだろう、そして国が亡ぶ、彼はそう言います。

 緊縛によって命の危険を感じた女性は、動物としての種の保存の本能が芽生えて排卵が誘発される。データが取れないので実証できないが、緊縛には不妊治療の効果もあると彼は主張します。
 捕縄術には、体の自由を奪い、痕を残さずに苦痛を与え、見た目が美しいという条件があるそうです。日本人は江戸時代の刑罰市中引き回しで週に1度はこの捕縄術を目にしていました。そういう意味でSMはかつてはもっと身近なものだったんですね。
 緊縛は女性を戒め凌辱するばかりではなく、美を崇め神格化するものでさえあると彼は主張します。縄文時代から日本は縛ることで清め、神格化するという習慣があり、それは神社のしめ縄、祝い事の水引、相撲のしめ縄といった文化にも現れていると言います。
 この古来より親しまれてきた縄の文化を継承するSMが性行為としてどんどん取り入れられてゆくようになれば、日本は救われるとのことです。

 いささかご都合主義的でこじつけが過ぎ、ともすればユーモアさえ感じる理屈ですが、とにかくおもしろい考え方で、賛否は別にして参照する価値はあると感じました。彼は日本人よりもずっと深く緊縛や日本の古い文化を勉強されており、多くの日本人以上に日本の文化を愛しています。
 高校生の頃、現代語訳した「源氏物語」を読んで内容がよく解らなかったとき、古文の先生が英訳された「源氏物語」を日本語に再翻訳したものを読むと解りやすいと教えてもらったことがあります。外国人が客観的に見て解釈したものの方が、現代人には解りやすいと言うんですね。イギリス人ジャーナリストの日本の緊縛に対する造詣の深さを目の当たりにし、そのことを思い出しました。我々はイギリス人から日本のSMに置ける捕縄術を学び、その素晴らしさを教えられたわけです。

 映像がとっても美しいです。下品なエロエロ演出はありません。それに加えて壮麗なクラシックをBGMにしているところも高級感が増していいですね。
 筆者の助べえな知人によると、最近のAVは演出やドラマ性においてもなかなか高尚なものが少なくなく、ただ濡れ場を連発すればいいというものではなくなって来つつあるのだそうです。そうだとすると、AVに出演する女優や男優も大変ですね。この作品にもAV女優が起用されていますが、確かに演技は臭くないし一般作品の女優に遜色ないです。性文化も単に人間の性欲を充足するだけのものではだめだ、というふうになりつつあるようですね。脱帽いたします。

 KINBAKU 両作品を観ればSMにおける捕縄術について、その歴史や方法やマナーやいろんなことが解ります。緊縛中の解説は速足過ぎてマニュアルとしては役不足ですが、おおまかな方法を理解するには良いです。
 こうした作品を通じてより多くの人たちが芸術としての性倒錯に理解を深めることになればいいなと思う反面、この文化はやはり背徳性の高いものとして市民権を得ず、アングラで活躍し続ける方がよいとも思います。確かなことは、今後も進化こそすれなくなりはしないと思うので、その点は安心です。

 今回も結末がひじょうに良かった。決着の付け方もさりながら、その演出も素晴らしいものでした。

2016年、70分、OV、R15+。
監督、脚本:友松直之。
出演:真木今日子、名無しの千夜子、内山雅博、友松直之、須森隆文、原啓二郎、晴香いく、曖原ゆめ、ブライアン・ウィムセット、手塚啓行、ブレンダン、斉藤裕亮、増井孝充、皆川鈴夏、宝勝萌、米山敬子、みおり舞、有末剛ほか。

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