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スキャンダル【映画】

2020/02/27


 FOXニュース・チャンネルの元人気キャスター グレッチェン・カールソンが、CEOロジャー・エイルズをセクハラ訴えます。ロジャーは、数多くのニュース・キャスターを育てながら、歴代の大統領のブレーンを務め、2016年当時もトランプの選挙参謀として活躍していました。
 現役の売れっ子キャスター メーガン・ケリーは、自身の暗い過去も露顕するのではと慄然とします。そんな折り、新人キャスターのケイラ・ポスピシルが、ロジャーの部屋に個人的に呼ばれます。

 2016年に実際に起きたセクハラ事件を題材にした映画で、登場人物も実名で描かれています。ロジャー・エイルズは言わば政界財界の顔役で、テレビ局の社員なら誰もが恐れる権力者であるわけですが、彼の方針に敢然と立ち向かい、クビになったグレッチェン・カールソンがアレをセクハラで告発します。弁護士のナンシー・E・スミス、ニール・マリンは、この告発によって彼女の前途が閉ざされてしまうことを警告しています。クビになったら怖いものなしとは行かないところが業界の恐ろしさなんですね。
 グレッチェンは1歩も引かず、ナンシーらも彼女を全面的に支持します。当然のことながら業界に激震が走り、メディアは騒然とします。当時売れっ子キャスターを務めていたメーガン・ケリーもロジャーのセクハラには覚えがありましたが、現在の地位を失いたくはありません。しかし裁判でロジャーの過去が明らかにされてゆけば、自分の過去についても露呈されることになるでしょう。
 そうした折り、新人キャスターで野心家のケイラ・ポスピシルがロジャーの部屋に呼び出されます。

 ロジャーは、FOXニュース・チャンネルを設立に携わり、ケーブルテレビ局でトップの視聴率を誇るまでに育ててきた実力者です。業界の帝王には誰も逆らえません。彼に盾突くことは業界では生きて行けないことを意味します。
 セクハラ、パワハラの問題がことさらに取りざたされる昨今、大手テレビ局で大勢の女性キャスターが成功の裏でセクハラを受けていたというのはひじょうにショッキングな事件でしたが、映画の中では、ロジャーがどのように違反行為に及んだかが自然に違和感なく描かれていて、“あり得ること”として見ることができます。

 彼は、見せるということである意味敏腕でした。女性キャスターを抜擢する際には個人面談をして足を見せろ、ターンして見せろと、ショービジネスのディレクターのような視線で値踏みします。番組収録現場でも、デスクを透明にしろとか、キャスターの足を映せとか、現場が眉をひそめる指示を当然のように出してきます。
 そしてこの“彼琉”が成功の秘訣でもあると、彼のみならず多くの人間が信じて来たようです。
 劇中で、ロジャー以外の業界の重鎮たちも、女性に対して、君をスターにするためには見返りが必要であるとか、どのように誠意を示すか、といったセクハラ発言をしています。

 かつてはテレビのニュースキャスターは、理知的な風貌で、明朗な解りやすい発音でニュースを読み上げるのが仕事でした。しかしながらメディア同士の競争が激しくなって以降は、ニュースは主役ではなくなり、アイドル化したキャスターが番組を作る、そんな風潮が蔓延するようになりました。報道内容をきちんと理解し、責任ある報道をしているという印象はどうでもよく、美人キャスターが笑顔を振りまくことに重点が置かれるようになりました。
 日本でも美人アナウンサー、アイドルアナウンサーといった言葉が常識化して久しく、ニュースよりも彼女たちのアイドル化やバラエティ枠への進出が重要になってますよね。
 業界の過当競争の中で、起きるべくして起きた、そんな性質の事件のような気もします。

 筆者は、古い人間ですが、女性キャスターのアイドル化をとくに不快であるとは思いません。アイドルになるための手段として、歌を歌うか、アナウンサーを目指すか、そんな選択もありだとも思います。本末転倒もいいとこですけど、メディアとはそうしたものでしょう。エンターテイメントでしょう。
 ただ、そうした目線で人材を選抜あるいは育成するシーンでセクハラが物差しとして利用されるのは改善してゆかねばなりませんね。
 メディア報道とは、ニュースを伝えるだけのものなのか、看板商品としての女性キャスターが必要なのか、それは経営が一方的に決めることではなく、視聴者をも含めたそれに携わる者が議論してゆくべき性格のものなのでしょう。そしてその議論は結論が出ません。議論が続いてゆかねばならないのです。
 セクハラに限らず、あらゆるハラスメント被害の根底にあるものは、考え方やルール、価値判断の一方的な押し付けです。とどまるところなく推移してゆく人間社会において、ハラスメント被害を少しでも減らしてゆくには、一方的でないコミュニケーションを途絶えさせることなく続けるしかありません。そしてそれは、なかなか容易なことではありません。

原題:Bombshell。
2019年アメリカ、109分、翌年日本公開。
監督:ジェイ・ローチ。
脚本:チャールズ・ランドルフ。
出演:シャーリーズ・セロン、ニコール・キッドマン、マーゴット・ロビー、ジョン・リスゴー、コニー・ブリットン、ケイト・マッキノン、マーク・デュプラス、マルコム・マクダウェル、アリソン・ジャネイ、アリス・イヴ、ブリジット・ランディ=パイン、リヴ・ヒューソン、アラナ・ユーバック、エリザベス・ローム、スペンサー・ギャレット、アシュリー・グリーン、ブルック・スミス、マイケル・バイー、ナザニン・ボニアディ、ブリー・コンドン、アーナ・オライリー、スティーヴン・ルート、マデリーン・ジーマ、P・J・バーン、ベン・ローソン、ジョシュ・ローソン、ドク・ファロー、マーク・エヴァン・ジャクソンほか。

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