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ウエストワールド【映画】

2020/03/04


 デロスは、今は失われた過去の世界を体験できる大規模アミューズメント・パークです。そこには古代ローマ、中世ヨーロッパ、アメリカの西部開拓時代の3つの世界が用意され、緻密に再現されたそれらの世界で、客は本物そっくりの疑似体験を経験できます。古代ローマでは、帝政ローマ時代のポンペイが再現され、官能的な世界が楽しめます。中世ヨーロッパでは、王政時代の騎士や王様、女王を体験できます。アメリカ西部開拓時代では、荒廃した西部の街でガンマンに扮し、ならず者と決闘したり、保安官を演じたり、時として銀行強盗を体験したりできます。
 デロスの各ワールドで客の相手をするのは精巧に作られたロボットで、その立ち居振る舞いは人間とまったく区別がつきません。ただ、手を見れば指紋がなく、指の関節に違和感があります。
 西部開拓時代すなわちウエストワールドを訪れたピーター・ブレインとマーチン・マーティンは、無法者の街でガンマン気分を満喫していましたが、ピーターがホテルに進入してきた賊を射殺したことで逮捕されてしまいます。マーチンはピーターの脱獄を手引きし、2人は砂漠に逃れますが、そこでマーチンがガラガラヘビに咬まれます。この世界では客にそのような危険が及ぶことはないはずです。
 2人が街に帰ると、ホテルで2人を襲ったガンマンが待ち受けており、マーチンは決闘で彼を倒そうとします。しかし倒されたのはマーチンの方でした。からくも難を逃れたピーターは、冷徹なガンマンはどこまでも執拗に追ってくるのでした。

 疑似体験と言えば今ならCGの3D技術を駆使したバーチャル・リアリティを思い浮かべますが、この映画が作られた頃にはまだコンピューターは一般社会に普及しておらずCGの概念はありませんでした。この映画に登場する疑似体験は、精巧に再現された過去の都市にその当時の服装をした客が実際に赴き、別世界の住人になりきるという、言わば究極のコスプレごっこです。ただし、コスプレと決定的にちがうのは、施設や衣装の精密さよりも客の相手をするロボットです。ロボットたちは容姿も行動も言動も人間とまったく見分けがつかず、しかも客の意のままの相手を演じてくれます。
 人間相手ではけっして叶わない一方的な欲求、セックスや暴力をロボットは完璧に受け入れてくれます。客は相手を欲しいままに扱い、欲望を満たすことができます。時には決闘で殺すこともできます。

 客の欲求を充足させるために、舞台裏では大勢のスタッフが万全の監視体制で臨み、随時アトラクションを仕掛けます。
 舞台裏はさながら大きな病院の様相を呈しており、メンテナンスや修理のために搬入された大勢のロボットがベッドに横たわっています。
 ロボットは、人間の他にも各種の動物がいて各ワールドのリアリティを盛り上げてくれるわけですが、スタッフたちは随所で小さな障害が起こっていることに頭を痛めていました。
 やがてそれは、自律行動型ロボットたちの反乱という恐ろしい事態に発展してしまいます。システムの電源を落としても各ロボットたちは内臓の予備電源で数時間稼働し、その間彼らを止める手立てはありません。

 筆者がこの作品を観たのは中学生の時でした。デロスのアトラクションの中のウエストワールドでの物語が中心になっており、ピーターとマーチンを襲うロボット・ガンマンは、西部劇の名作「荒野の七人(1960)」の主人公クリス・アダムスにそっくりでした。しかもクリスを演じたユル・ブリンナーがガンマンを演じています。
 荒野の七人で農民たちを助け悪党を撃退するヒーローが、悪漢として蘇ったわけです。彼の印象は主役の2人よりもはるかに強烈でした。クリス・アダムスじゃなかったガンマン406号は、3度ピーターたちを襲撃しています。最初は酒場で、次がホテルで、そして3度目は街角で。最初の2回はピーターが射殺していますが、3度目は事情がちがっていました。ピーターはこのクールでかっこいいガンマンに命を狙われ、執拗に追跡されることになります。

 40年以上の時を経てこの作品を観てみると、ガンマン406号が元祖ターミネーターに見えました。ターゲットを徹底的に追い詰める寡黙なロボット、もしかしたら「ターミネーター」の T-800 は406号をイメージして作られたのではないか、そんな気がしました。
 科学技術の進歩は人々の暮らしを便利で快適に、そして豊かにしてくれますが、もしもその制御が狂ったらどうなるか、この作品はそうした恐怖をテーマにしています。
 この作品では、単に制御が崩壊するという恐怖ですが、「ターミネーター」になると機械が意思を持ち、人類は抹殺すべき存在であると判断するという意思と秩序を持った恐怖へと発展するわけですね。

 この作品が公開された当時、人類を月に送ったアポロ計画が推進中で、ご家庭にはカラーテレビがお目見えし、IC(集積回路)が開発されるという、科学技術がどんどん加速する時代でした。技術の進歩に対する期待と不安が急速に高まる時代に生まれるべくして生まれた、そんな作品だったと思います。

原題:Westworld。
1973年アメリカ、88分、同年日本公開。
監督、脚本:マイケル・クライトン。
出演:ユル・ブリンナー、リチャード・ベンジャミン、ジェームズ・ブローリン、ノーマン・バートールド、アラン・オッペンハイマー、ヴィクトリア・ショウ、スティーヴ・フランケン、ディック・ヴァン・パタン、メイジェル・バレットほか。

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