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AI崩壊【映画】

2020/02/10


 2020年、桐生浩介は画期的な医療AIの開発に成功し、国に実用化の認可を申請しますが、許可はおりませんでした。妻の桐生望は末期癌でしたが、AIによる症状の解析と適切な処置により救える可能性がありました。桐生の義弟で同じ研究チームの西村悟は、国の認可がなくてもAIを望の治療に活用しようと主張しますが、桐生も望もそれを受け入れませんでした。法を曲げてまで技術を使うものではない、それが桐生の信念でした。

 2030年、桐生が開発したAIは「のぞみ」と名づけられ、実用稼働していました。望の命を救えなかったAIは、現在多くの人々の健康を管理し、病苦の人を救うことに貢献していました。その半面で、医療のシステム化によって失業者が増え、AIに職を奪われたとして反対運動をする動きもありました。
 妻を亡くしたあと日本を離れていた桐生の許へ、総理大臣賞の知らせ届きます。幼いうちに母を亡くしその顔を知らない娘の心は、母が暮らしていた日本に行ったみたいと桐生を説得し、彼も重い腰を上げます。
 桐生が不在となっている間、「のぞみ」の開発に携わってきた HOPE社は、西村悟が理事長となり「のぞみ」のために新たなコアユニットを建造していました。スタッフは桐生の帰国を歓迎し、彼を「のぞみ」のコアユニットに招き入れます。そのあと桐生は田中英子総理大臣の許へ向かいますが、車中で「のぞみ」が暴走したという知らせを受けます。「のぞみ」の自己防衛システムが始動し、娘の心がコアユニットの中に閉じ込められてしまいます。
 暴走した「のぞみ」は、健康を管理している人々の中から、死んだ方が良い人間と生きるべき人間の選択を開始します。
 警視庁サイバー犯罪対策課を指揮する桜庭誠は、極秘に開発していた捜査AI「百目」を始動し、「のぞみ」を暴走させた犯人を突き止めようとします。「のぞみ」にハッキングを仕掛けたデバイスを特定した「百目」は、それを所持していた桐生を犯人と断定し、彼を追跡します。
 「のぞみ」の暴走による医療機器の誤作動により、次々と人が死んでゆきます。田中総理も心臓ペースメーカーの不具合で亡くなります。医療機関は大パニックです。そればかりかドライバーの突然死で車が急停止し、事故や渋滞がどんどん拡大してゆきます。

 定年間近の刑事合田京一は、連絡係として「百目」システムのある施設に赴きますが、個人の端末にまで侵入して捜査を行なう「百目」の違法ぶりにあきれ、その場を去ります。彼について来た新米刑事の奥瀬久未と共にアナログな捜査を開始し、桐生の行く先を突き止めます。
 警察の追及をかわした桐生は、若い頃に使っていた仙台の大学の研究施設に向かい、そこから「のぞみ」の暴走を停止させるためのプログラムを構築しようとしていました。

 AIが人々の健康を管理し、病気を未然に防ぎ、重篤な病気も適切な処理で救う、「のぞみ」はそんな夢のようなシステムですが、その半面で医療の効率化により職を失う人が増え、反対デモが起きています。オートメーションが市民層の暮らしを脅かす現代社会を色濃く反映していますね。
 今回の「のぞみ」の暴走は、そうした反対派によるものなのでしょうか。
 しかしながら、健康状態から死ぬべき人間を選別し始めるという「のぞみ」の行動は、反対派の意に反するものです。反対派は不健康でお金のかかる人間は殺してしまえなんて思ってませんよね。
 高齢化と少子化により、労働力にならず国の負担になるばかりの人間がどんどん増える、この状況から国政を立て直すには不要な人間を抹殺してしまうのが良い、そんな発想は機械化に反対する市民からは生じません。
 国の経済力と国民の健康管理の負担を天秤にかけ、要らない人間は抹殺する、それで国政は正常化することができる、こんな発想を持つのは国政をつかさどる側の人間か、あるいはAI自身でしょう。
 この時点で筆者は犯人が誰なのか解ってしまいました。大勢の観客が同じように犯人を予測できたと思います。

 疲弊した国政を立て直すために、市民を犠牲にする、その発想は様々な批判的な作品に見られます。最近では「カイジ ファイナル・ゲーム」がそうでした。生産性のない無用な市民は切り捨てる。それで国政を立て直すことができるのでしょうか。そんなわけがありません。それはもっともらしい理屈のように聞こえますが、資産家が自分たちだけを救済するための詭弁でしかありません。その代償は国家の滅亡です。
 強欲な一部の人間がどんどん金持ちになったとしても、人がいなければ経済は回りません。金持ちに野菜が育てられますか? 魚が採れますか? 金持ちが産業を興しても、生産した製品を買う人間がいなければ経済は回らないでしょう。金持ちがそれぞれ1000軒ずつ家を買い、1000台の車を持ち、1000人分飯を食らえば経済は回りますか?
 不況は国からお金がなくなった状態ではありません。誰かが金を握って放さず、経済を回さない、それだけのことです。国政を立て直すには、金持ちを抹殺して大勢の市民に富を分配する、それでたちどころに解決です。大勢の人々の力があれば国政は再建できます。

 多くの社会批判作品が、市民を犠牲にすることを強く批判しているのは、社会の将来にとって救いですね。
 でも、この手の作品を観て、国家は腐っている、資本家は汚いと義憤に駆られるのは誤りです。政治家も経営者も市民の何倍も仕事してます、努力してます、その方向性に問題があったとしても。国を疲弊させる根本の原因は、大勢の市民の無関心です。

 技術や政治に対する批判ともう1つ、この映画の面白さは、破局が目の前に迫っている状況で、主人公がいかにして事態を収拾するかという息詰まるアクションです。「のぞみ」は全人類の選別を完了し次第、大規模な殺戮を開始します。心ちゃんはコアユニットに閉じ込められたまま冷却装置により低体温症による死の危険が迫っています。暴走を止めるプログラムを構築しようとする桐生は、警察の厳重な警戒網を突破して HOPE社に近づくことは困難です。
 桐生は、犯人を突き止め、殺りく兵器と化した「のぞみ」を止めることができるのでしょうか。起死回生の奮闘が展開します。

2020年、131分。
監督、脚本:入江悠。
出演:大沢たかお、賀来賢人、広瀬アリス、岩田剛典、眦萓宏、芦名星、玉城ティナ、余貴美子、松嶋菜々子、三浦友和ほか。

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