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ラストレター【映画】

2020/02/03


 裕里は姉の未咲の葬儀の時に、姉宛ての同窓会の招待状が実家に届いていることを知ります。裕里は姉の代わりに同窓会に出席しますが、周りから未咲と勘違いされたまま本当のことを言い出せずに早々に会場を去ります。帰りのバス停で彼女は、姉の同窓生の乙坂鏡史郎に声をかけられます。そこでも裕里は未咲になりすまし、メアドを交換してしまいます。
 彼女のスマホを偶然目にした夫の宗二郎に勘違いされ、裕里はスマホでの鏡史郎への連絡をあきらめ、同窓会でもらった名刺宛てに手紙を書くことにします。それは返事を望まない一方通行の手紙のはずでした。

 裕里の娘の颯香は、母を亡くした鮎美を元気づけるために夏休みの間実家に泊まると言い出し、裕里もそれを許可します。するとそこへ、未咲になりすました裕里が書いた手紙の返事が、鏡史郎から届くことになります。颯香と鮎美は未咲になりすまし、鏡史郎に返事を書くことにします。
 以下はネタバレになります。

 やがて裕里は、夫の母の知人の住所を借りて鏡史郎に手紙を書くようになると、そこへ鏡史郎が訪ねてきます。彼は裕里が未咲ではなくその妹であることに気づいていました。裕里は未咲が亡くなったことを告げ、彼女がどんな人生を送ってきたのかを語ります。未咲は大学時代に鏡史郎と付き合ったものの、別れて鏡史郎の先輩の阿藤陽市と結婚し、鮎美を出産しました。しかしぐうたらで暴力的な陽市のおかげで、母子は幸せに離れませんでした。
 鏡史郎は、裕里に廃校になった母校の写真を送ります。そこには2人の少女の姿がありました。鮎美と颯香です。2人は高校時代の切ない思い出の中の未咲と裕里そのままでした。

 ひじょうに切ないラブストーリーです。恋愛劇ではあるけれど、恋は成就せずラブシーンもありません。
 高校時代、転校生の乙坂鏡史郎は生物部に入部し、1つ後輩の遠野裕里と出会います。そして裕里の姉の遠野未咲を知り、一目ぼれしてしまいます。鏡史郎の思いに気づいた裕里は、未咲へのラブレターの仲介役を引き受けますが、たくさん書いた手紙が未咲に届くことはありませんでした。なぜなら裕里は鏡史郎が好きだったからです。
 月日は流れ、それぞれの恋は成就せず、裕里と未咲は結婚しそれぞれに娘が生まれます。鏡史郎は相変わらず独身で、未咲のことを書いた小説が認められて作家になります。しかし彼女への思いが経ち切れず、2作目以降が続きません。

 高校の同窓会で裕里と再会した鏡史郎は、未咲のことが忘れられず、裕里に連絡を取ります。しかし裕里から知らされたのは、未咲が亡くなったという事実でした。鏡史郎は未咲が結婚生活を送った家や、廃校になった母校を訪ね、彼女が自分と別れたあとどんな生き方をしたのかをたどります。そして高校時代の未咲と裕里さながらの2人の少女鮎美と颯香に出会います。鮎美はすぐに鏡史郎に気づき、彼を家に招きます。「母さんは写真をほとんど撮っていなくて」そう言って鮎美が示した未咲の遺影は、鏡史郎が彼女と付き合っていた頃の写真でした。

 皆さんは高校時代の思い出はどんなですか? 甘く切ない恋のひとつも経験したのでしょうか。その恋を成就させたいともいれば、別れた人もいるでしょう。鏡史郎のように結ばれることはなかったものの今でも思いを断ち切れないでいる、そんな人もいるのでしょうか。
 スマホが普及した現在、手紙という形で思いを伝え合う鏡史郎と裕里のやりとりは、前時代の純愛ラブストーリーを見るようです。これほど清らかな恋愛劇を現在に蘇らせた作品も珍しいのではないでしょうか。
 同窓会がもう少し早くて、未咲が生きているうちに鏡史郎が彼女と再会できたら、彼は颯香の父親になることができたのでしょうか。鏡史郎が未咲への思いをつづった小説を、彼女は読んだのでしょうか。
 同窓会に現れた初恋の相手に声をかけられた裕里の胸中はどんなだったのでしょう。彼女はどんな思いで鏡史郎に手紙を書いたのでしょう。
 鏡史郎はまだ生きていると信じている未咲へ宛てた手紙に「君のことをどれくらい覚えているかと聞かれたら、昨日のことのように鮮明に覚えています」と書いています。鏡史郎は自分の思いを熱く吐露していますが、未咲の思いは語られません。高校時代の瑞々しい回想シーンでも、彼女の思いが語られることはありません。ただ、彼女が娘に残した遺書は、卒業生代表として読み上げた答辞で、それは鏡史郎に添削を手伝ってもらったものでした。そこに彼女の思いが凝集されています。
 鏡史郎にとって、あるいは裕里や鮎美にとって、未咲の思い出は清らかに輝いています。
 ラブストーリーは、悲恋であるがゆえに美しく輝くものなのでしょうか。ほんと切ないですね。

2020年、120分。
原作、監督、脚本:岩井俊二。
出演:松たか子、広瀬すず、庵野秀明、森七菜、小室等、水越けいこ、木内みどり、鈴木慶一、豊川悦司、中山美穂、神木隆之介、福山雅治ほか。

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