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ぼくらの7日間戦争【劇場版アニメ】

2019/12/25


 高校2年の鈴原守は、歴史好きの内向的な男子。彼が恋している千代野綾は、幼馴染で家が隣しかもクラスメイト。守は綾のことを千代野さんと呼び、思いを伝えることもできません。そして綾が突然引っ越すことになります。地方議員の父親の野心で東京に出ることになったのです。引っ越しを間近に控え、綾は「17歳の誕生日はこの町で過ごしたかった」とこぼします。それを聞いた守は、彼女の誕生日までに1週間家出しようととっさに提案します。
 守るの提案に綾も大喜び、彼にしてみれば綾と駆け落ちごっこのつもりでしたが、綾はたくさんのクラスメイトをこの計画に呼び、高校生男女によるキャンプ生活が始まります。
 守が選んだ場所は古い炭鉱あとで、歴史に詳しい彼はそこの設備についてもよく知っていて、照明やエレベーター、トロッコといった機能を復活させます。そこは彼らにとって7日間を過ごすのに理想的な設備に思えました。しかし町を巡回していた市の職員が証明に気づき、調査を開始します。さらに、守たちの食料を強奪する何者かの影が。

 実写映画「ぼくらの七日間戦争」が公開されたのは1988年でした。そして1991年には沖縄を舞台にした「ぼくらの七日間戦争2」が公開されています。2つの実写映画は宗田理の原作小説の映画化ですが、今回最初の映画化から31年ぶりに製作されたアニメは、オリジナルストーリーで、タイトルも七から7へアラビア数字に変更されています。
 少年少女たちによる大人への反駁というテーマはこの作品でも健在で、地方議員を親に持つ千代野綾が、親の勝手で突然引っ越すことになったことに抵抗する綾と、それに同調するクラスメイトたちの立てこもり事件を描いています。

 歴史に詳しい守だけがその存在を知っていた古い炭鉱の設備は、まさに理想的な戦場で、誰にも見つからずに7日間を快適に過ごせるはずでした。しかし早々に市の職員に見つかってしまい、退去を命じられます。なんとか7日間を耐えたい彼らはそれに応じず、大人たちとの攻防戦が始まります。
 さらにそこへ食料を狙う侵入者が現れます。なんとか捕まえてみるとまだ幼い子供で、事情を聴いてみると、タイから仕事を求めてやって来た両親とはぐれてしまい、独りでここに住んでいたとのことでした。守たちにその少年マレットの両親を見つけ出すという新たな目標が生まれます。守はネット上のコネを駆使して捜索を開始します。
 一方、市の職員たちは立てこもり犯を拿捕することに燃え、警察も動員し、重機で設備を破壊してでも守たちを捕まえようとします。そこへ綾の父も秘書官を伴ってやって来ます。彼としては事件を公にせず内々に収めたいところです。

 7日間戦争に参加した生徒たちにもそれぞれ事情があるようです。綾の親友の山咲香織は、建設会社の社長の娘で、父は千代野議員に頭が上がりません。緒形壮馬は体育会系のモテ男ですが、忘れたい過去があります。阿久津紗希はひじょうにノリのいい少女、綾の誕生日を盛り上げたいとこれに参加します。本庄博人は弁護士を目指す秀才で、たまたま幼馴染の紗希に付き合わされただけで、すぐにでもここを出てゆきたいと思っています。
 みんなそれぞれに思惑にちがいがありますが、少しずつお互いの思いを吐露するようになり、友情を深めてゆきます。

 大人たちの横暴に断固として立ち向かう、そんな思いで始めた戦争ですが、それはまた本当の自分を見つけるための戦いでもあったようです。自分はこうありたいという思いからまとっていたベールを脱ぎ、自分にはできないとあきらめていた後ろ向きな自分から脱却したとき、彼らは自らの本当の姿を見つけ、それと向き合うことになります。そしてそれは、かけがえのない友情を育むことにつながってゆきます。
 綾の父は言います。目上の者には素直に従うそれが大人だ、綾には大人になってもらわねばならない。本庄博人は立身のために経歴に傷がつくことを恐れています。上には服従し、同僚とは競争し相手を打ち負かす、それが大人たちが求める人としての成長であるようです。それに応じるために、学校という社会でステータスを保つために、みんなそれぞれに本来の自分を覆い隠していました。7日間戦争はそんな彼らを丸裸にする戦いでもありました。

 大人たちの容赦ない攻撃と厳重な包囲網、彼らはそこから脱出することができるのでしょうか。
 大人たちの中にもこの戦争に理解を示す者もいますよ。秘書官の本庄博人はいつもトローンとした目つきですが、議員に何か言いたげですし、香織の父も仕事のことで議員に頭が上がらないものの娘を信じています。そしてマレットの両親の捜索に手を貸してくれた守のネット仲間の中山ひとみは、むかし同じような経験をしたことがあるようです。

 みなさんは少年少女時代に、大人たちに反駁して何か行動を起こしたことがありますか? 現役中高生のみなさん、大人や社会に反抗したこと、反抗しようと考えたことがありますか?
 それは特異なことじゃなくて、人は、大人になってからも体制に流されることを心良しとしない思いは消えないものですよね。でもいつしか、それがどうにもならない、どうかしようとするだけ虚しい、そんな思いに変わっていってしまうのでしょう。
 でもね、人はそうした心を失ったりはしないものです。人は社会に属するという形で孤立してゆきます。社会は人が集まって築くものであるはずなのに、人と人とを隔ててゆくものなんですね。そしてそれは人間性喪失という恐ろしい弊害を招き、社会そのものを魔物に変えてゆきます。
 魔物から人を守るには、人と人とのコミュニケーションが大切です。自分の親が、上司が、社会に毒され切っていると思い込む前に、その人とひざを突き合わせて話してみてください。場合によっては衝突することも一計です、この作品のように。
 現在は高度なネット社会で、人々は誰もがネットワークでつながっています。より大きなコミュニケーションが、社会を変えてゆきます。

2019年、88分。
原作:宗田理。
監督:村野佑太。
脚本:大河内一楼。
声の出演:潘めぐみ、小市眞琴、櫻井孝宏、芳根京子、北村匠海、大塚剛央、鈴木達央、道井悠、関智一、宮本充、中尾隆聖、宮沢りえほか。

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