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高校事変供攵説】

2019/11/13


 武蔵小杉高校テロ事件から2ヶ月、優莉結衣は葛飾東高校に転校し、柴又の児童養護施設に入っていました。凶悪なテロリストとして死刑になった優莉匡太の娘ということで、公安警察は相変わらず彼女の動向を見張っています。そうしたなか、同じ施設の中学生 嘉島理恵が結衣に助けを求めてきます。姉の奈々未が何日も帰って来ないのです。理恵は知りませんでしたが、奈々未はだらしない父親からの仕送りが滞り、施設の滞在費を捻出するために風俗業のアルバイトをしていました。
 JKデリヘルを営む城山譲二は、タカダと名乗る客に売り物の女子高生たちを取られて頭を痛めていました。タカダのもとに女子高生を派遣する度にその子は帰らなくなり、別のところで働いている等の情報が舞い込みました。ある時彼は嘉島奈々未に頭頂マイクを持たせをタカダのいるラブホテルに派遣しました。そうしてタカダが風呂を使っているすきに奈々未に部屋を開けさせ、そこに踏み込んでタカダを締め上げるという手はずでした。
 しかしながら奈々未が呼ばれた部屋には他人がいて、彼女とタカダはすでに姿を消していました。

 公安の厳重な監視下にある結衣は思うように動くことができません。そこで彼女は理恵に英会話を教えるのをパソコンで偽装して2人で部屋を抜け出し、警察から登頂した奈々未を乗せた黒いRVの監視映像を確認しに、屋根伝いに問題のコンビニに向かいます。翌日、理恵は結衣を真似て部屋を抜け出し、ろくに手がかりがないまま姉を探そうとしますが、その先で城山に捕まります。城山はタカダに関する手がかりをつかんでおり姉を探す好意的な大人を演じて理恵を車に乗せ、暴力団の秘密パーティに売り払ってしまいます。
 理恵が施設を抜け出したことを知った結衣は、プリペイ式の携帯を使ってネットカフェで過ごしているアリバイを偽装し、行動を開始します。彼女が向かった先は、精肉チェーン・ツジタテの研修施設で、そこにはツジタテの創業者 辻館啓壱と城山譲二とその手下がいました。タカダが辻館啓壱の息子の槌狩(てがり)であることを突き止めた城山は、最近の女子高生失踪事件に槌狩が関与している証拠を突き付け、啓壱をゆすり大金をせしめようとしているのでした。
 そこは研修施設とは名ばかりで、腐乱した肉がぶら下がる荒廃した廃墟でした。そしていなくなった31人もの女子高生が槌狩によってここで暴行され惨殺された痕跡が残っていました。

 卓越した身体能力を持ち、あらゆる武器や通信システム等に精通し、瞬時の判断でも超人的な能力を見せるスーパー高校生 優莉結衣。2ヶ月前、大勢の人質をとって学校を占拠した大規模武装集団を一網打尽にして事件を解決し、しかも事件との関与を世間に気づかせずに学校を去った彼女が、今度は暴力団と、特権階級の御曹司の凶悪犯罪を相手にします。
 肉のツジタテの創業者 辻館啓壱は2年前に交通事故を起こして子供を死なせていますが、世間では特権階級ということで罪が不問に伏されたともっぱらのうわさでした。その内情を探ってみると、啓壱はすでに運転免許を返上しており、息子の槌狩が運転していたということになっていますが、槌狩も刑罰を免れています。
 似たような事件は現実にあり、私たちの記憶にも新しいのですが、その事件でも事故を起こした者が高齢で特権階級のため罪が不問となった、そんな報道があった気がします。金持ちだから犯罪を犯しても許されるということはあり得ないのでしょうが、金の力で被害者や裁判所を丸め込んでしまうことは不可能ではないのかもしれませんね。
 本著にそうしたことへの批判を感じました。JKビジネスこと女子高生を闇で風俗業に就かせる闇営業も、我々が聞こえ知るほどに横行しており、本著はそれも問題にしています。女子高生にいかにして客を取らせるか、その実態が克明に描かれます。先の武蔵小杉高校事変で、女子高生が慰安婦に供されたことが問題になり、JKビジネスはやりづらくなったとしていますが、優莉結衣のようなスーパー女子高生がいれば、闇営業もそれを利用する女子高生も減るかもしれませんね。

 優莉結衣は、ヒロインとしては異例中の異例です。現役女子高生でありながら、誰も及ばない特殊能力を持つこと、それが凶悪テロリストの父とその仲間に叩き込まれたものであること。ひじょうに正義感が強いけれど、人を殺めることをまったくためらわない、相手が罪人であればそれを殺害することに何の抵抗も感じず、殺傷能力を発揮できることに喜びさえ感じている。
 先の武蔵小杉高校事変で彼女の正義感は証明され、総理も彼女を信頼し尊敬すると断じていますが、それでも彼女がいるところに凄惨な大事件が起きることに公安は疑問を抱いています。それは彼女を疑うということよりも、テロリストの娘をしっかりとマークし、新たなテロリストが育つことを阻止する、それで世間に安心を与えることができる、そんな思いがあるようです。

 今回も優莉結衣は、まったく危なげなく悪漢どもを蹴散らします。20人の暴力団員相手にサクサクっと。そして少女を助け出します。すぐに上部組織から50人ばかりの増援が駆け付けますが、彼女の敵ではありません。さすがにその時は絶体絶命のピンチに陥りますが、彼女は絶対にあきらめず、会心の一撃を編み出します。
 彼女にとって不利なのは、武装した屈強な男たちでもなければまともな武器がないことでもありません。救出する少女を守らなければならないことですね。暴力団の秘密パーティの餌食にされた理恵を救出したものの、辻館槌狩に連れ去られた奈々未を助け出さねばなりません。警察も槌狩が怪しいとにらんで奇襲をかけるのですが、槌狩はまんまと逃げおおせ、行方をくらましています。奈々未も間もなく32人目の犠牲者になってしまいます。もう時間がありません。優衣は、自分ひとりで槌狩を見つけ出し、誰にも気づかれず、痕跡も残さずに男の手から奈々未を助け出さなければなりません。

 優莉結衣はゲリラ戦だけでなく捜索能力にも長けていますし、自分の行動の痕跡を残さないように巧妙にアリバイを工作することもぬかりありません。公安たちは、武蔵小杉高校事変でも今回の少女大量殺人事件でも彼女が関与していることを疑いますが、証拠が見つかりません。
 総理は彼女に絶大な信頼を置いているわけですから、彼女を極秘裏にエージェントとして起用すべきです。あるいは彼女の仕事を妨げないよう公安にも厳命し、場合によっては彼女を守り協力するように通達すべきです。
 警察組織は、公安と刑事、所轄といった問題で優秀であるにも関わらず仕事が後手に回ってしまうことも多く、彼女のようなスーパー少女の活躍は大きな力になるでしょう。少女を戦いの場に送り込むなんてひどい話ですが、彼女自身そうした場所で能力を発揮できることに喜びを感じるという側面も持っているので問題ないと思います。

 前作からわずか2ヶ月で発行に至った本作ですが、さらに2ヶ月後に3作目が出ており、今月4作目が出る予定です。優莉結衣も超人ですが、作家松岡圭祐も並みの人間ではありませんね。

2019年、角川文庫。
著者:松岡圭祐。

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