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ジェミニマン【映画】

2019/11/05


 政府に雇われた伝説のスナイパー ヘンリー・ブローガンは、高速で走る列車の乗客を暗殺するという仕事を無事にやり終えますが、なぜか浮かない気分です。当該の電車に乗り込み、彼の仕事をアシストした人間の話しでは、銃弾はターゲットの首に命中したとのこと。しかし彼は頭を狙っており、ターゲットのすぐ近くに幼い少女がいたことを考えると、許されない誤差でした。これを機に彼は引退を決意します。
 ところが、情報局の仲間が彼が撃ったターゲットは知らされていたマフィアのボスなどではなく、善良な科学者だったことを知らせてきます。
 釣りに行った際に貸しボートの窓口の女性係員に不審なものを感じたヘンリーは、彼女を問い詰め彼女ダニー・ザカウスキーが情報局の監視役であることを突き止めます。その直後、2人は武装集団の襲撃を受けます。
 ヘンリーは旧友のバロンに連絡をとり、彼の飛行機で逃走します。しかし追っては執拗で、凄腕の暗殺者を差し向けてきます。ダニーは暗殺者がヘンリーにそっくりだったと言います。格闘現場で暗殺者の血液を採取した彼女は、独自のコネを使ってDNA鑑定を行ない、ヘンリーと暗殺者が同一遺伝子を持つことを突き止めます。
 暗殺者すなわちジュニアは、軍部のジェミニ計画により作り出されてクローン人間で、25年前に採取されたヘンリーのDNAから培養されました。計画の首謀者クレイ・ヴァリスは、ジュニアを養子にし一流の暗殺者に育て上げたのでした。

 ジェミニ計画を指揮したクレイ・ヴァリスの思惑は、有能な人間のDNAで優れたクローン兵士を作るということよりも、感情も感覚もないクローン兵士軍団を作ることで、まともな人間が戦地で苦しむことを回避するという人道的な内容であったようです。恐怖も痛みも感じない兵士なら戦地でより有能であろうし、受傷したり死亡したりしても可哀そうじゃない、少なくともそれでまともな人間の犠牲を減らせる、そういう考え方なんですね。
 顔をマスクで隠した兵士軍団の訓練シーンがありますが、彼らがそのクローン兵士たちなのでしょう。
 ジェミニ計画と言えば、筆者ら世代はアメリカにおけるマーキュリー計画に次ぐ有人宇宙飛行計画が思い浮かびますが、宇宙飛行に続いてクローン技術も軍事利用されてしまう時代が来るのでしょうか。
 でも、クローンは人にあらず、単なる道具に過ぎないという考え方に賛同する人は少ないでしょう。エレクトロニクス文明の将来においては、電脳空間の知性体やその人格が議論されるような状況ですから、人のDNAから造られた人間の人格を否定するのは難しいでしょう。

 この映画でも、人間クローン第1号であるジュニアは、人としての感情を持ち、自分が身寄りのない子供としてクレイ・ヴァリスに引き取られ育てられたと信じています。彼には通常の人間とまったく同じ感情や個性があるのです。すなわちこの作品がクローン=モノという考え方を否定した立場で作られています。
 過去にもクローンを題材にしたSF作品がたくさん作られ、その中でクローンたちは人の身代わりであったり、臓器提供の道具にされたり、犯罪の道具にされたりしてきました。いずれの作品もクローン技術は弊害が露顕し破綻してゆきます。クローンによる明るい未来を描いた作品は見たことがないです。人道的にもクローン人間は作るべきじゃない、その点においては作家たちの意見は一致しているようです。

 ひじょうにおもしろい題材であるうえ、公開前からウィル・スミスが51歳のヘンリー・ブローガンと23歳の彼を2役で演じるということが予告編で報じられていました。大きな年齢差のある同一人物を2役で演じるのにはCG技術が駆使されたのでしょうが、話題性としてはかなり高かったと思います。もうひとりの彼がクローンであることも告知されていました。つまり観客はヘンリー本人ほどにはジュニアの出現に驚かなかったわけです。
 アメリカと中国で公開されると、興行成績は残念ながらかなり低かったそうです。皆さんほんと辛口ですね。たいへんおもしろかったけどなぁ。ヘンリーとジュニアはもとより、ルックスからは想像できないような武闘技術を発揮するダニーや、一見気のいいおじさんだけど勇敢で知性的なバロンといったキャラも好感が持てましたし、悪役クレイトンも迫力がありました。

 筆者はこの作品を予告編で観た時、「スーサイド・スクワッド(2016)」に登場したフロイド・ロートンの腿語りだと思いました。フロイドも凄腕スナイパーでしたからね。そう思ったのは筆者だけですか? 皆さんはいかがでしたか? ちなみに同じ作品に登場したハーレイ・クインが主役の物語はもうすぐ公開されますけどね。彼女は作品以上に絶大な支持を獲得していましたから。

 優れた兵器として生まれたジュニア、でも彼には人と同じ感情があります。出生が特別なだけで、彼は人そのものです。自分の悲しい運命を知ってしまった彼は、どう感じ、どう行動するのでしょう。自分のクローンを目前にしたヘンリー・ブローガンの思いは? そこをもっと生々しく掘り下げれば、いっそう感情移入できたかもしれませんね。

原題:GEMINI MAN。
2019年アメリカ、117分、同年日本公開。
監督:アン・リー。
脚本:デイヴィッド・ベニオフ、ビリー・レイ、ダーレン・レムケ。
出演:ウィル・スミス、メアリー・エリザベス・ウィンステッド、クライヴ・オーウェン、ベネディクト・ウォン、リンダ・エモンド、セオドア・ミラン、ダグラス・ホッジほか。

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