kepopput.jpg

高校事変【小説】

2019/11/01


 高校2年の優莉結衣は、7つの半グレ集団を束ね、大規模テロによる大量殺人事件を起こし死刑になった犯罪者優莉匡太の娘で、幼い頃から父と同行し凶悪な人間たちと親交があったとされ、公安警察からマークされていました。放課後の単独行動は許されず、まっすぐに施設に直行します。
 あるとき彼女の通う武蔵小杉高校を矢幡内閣総理大臣が来訪することになり、結衣の存在は総理には知らされず来訪中は地下の特別教室に身を隠すことになりました。総理の来訪目的は、バトミントンで全国優勝を果たし国民栄誉賞の候補にもなった田代勇次と面談するためでした。矢幡総理の訪問はマスコミを遠ざけるために極秘扱いになり、事後一般に公表される予定でした。
 そして総理が学校を訪れて間もなく、突如銃声が鳴り響き、武装集団が進撃して来ます。ゴミ収集車に偽装して学校に近づいた彼らは、大勢の人員と大量の火器を校内に持ち込み、生徒や教師たちを次々と射殺してゆきます。
 賊に殺され半数に減らされた生徒や職員は、校内の方々に分散して人質となり、警察もうかつには手が出せない状態になります。さらに賊は女子生徒から慰安婦を募り、校内に慰安所を設けて兵士たちの慰みものにします。
 矢幡総理は彼を警護するSPの錦織と共に教室を逃れて倉庫に身を隠しますが、やがて賊は総理の身柄を要求して来ます。
 地下教室に隔離されていた結衣は、幼い頃から培われた兵争技術を駆使し、手近なものを武器に変え、単身で反撃を開始します。

 黒髪のロングヘアに色白の小顔、大きな瞳、抜群のプロポーションの優莉結衣は、芸能事務所から度々スカウトされるほどの美貌の持ち主でしたが、彼が平成の怪物優莉匡太の娘であることを知ると、誰もが尻尾を巻いて逃げ出してしまいます。
 優莉匡太が世間を震撼させる殺戮テロを起こした時、結衣はまだ9歳で、犯罪に関わった証拠はないとされていましたが、彼女は殺伐とした世界で育ち、格闘術や銃器、あらゆる兵器に精通していました。
 松岡圭祐の小説に登場するヒロインたちは、いずれも才色兼備で単独で凶悪な敵に立ち向かいます。千里眼シリーズの岬美由紀や、万能鑑定士Qシリーズの凜田莉子。彼女たちの手にかかれば屈強な戦士も赤ん坊と化し、天才的な戦術家も舌を巻きます。そしてここに新シリーズ高校事変の優莉結衣の登場です。若干17歳高校2年生にしてあらゆる兵器と戦術に通じ、敵の裏をかきこれを殲滅します。この3人が手を組めば世界を征服できると思います。

 優莉結衣が理科室に入れば、たちどころに高い威力の爆弾を作成してしまいますし、電子レンジを与えればEMP爆弾に変えて敵の電装を無力化してしまいます。銃器に触れただけで特徴や状態を把握してしまいます。
 さながらスーパーウーマンですが、物語の政治背景や結衣の戦術に関する知識がひじょうにリアルで、あらゆるアクション映画がにせものに見えてしまうほどです。とは言え、小学生の頃に武装集団を率いる父やその仲間と一緒だったというだけで、すさまじい戦闘能力を身に着けてしまったというのも現実的ではないんですけどね。

 とにもかくにも、総理が訪れた高校にたまたまスーパーガール結衣が在籍していたということで、重火器を用いた武装テロは粉砕されてしまうことになります。
 首謀者のジンと名乗る男は、いったいどうやって大規模な軍隊と重火器を用意したのでしょう。女子高校生を慰安婦にしてしまうなど、現在の韓国の慰安婦問題を彷彿させますが、韓国の軍人崩れなのでしょうか。また、矢幡総理の任期どうこうというくだりから、現阿部総理がモデルになっているようにも思えます。時代背景も本著が書かれた当時つまり現代で、現実の日本の政情と地続きです。優莉匡太が率いる集団が、オウム真理教事件を思わせるような教団を離脱した人間を雇いVXガス兵器を製造していた、そんな描写もありました。
 舞台はリアルタイムな今で、政治的にひじょうに生々しく、人々の敏感なところをビシビシ突いてきます。

 ところが、犯人たちがこの大規模テロに意図したことは、読者の想像を超えています。ネットや通販サイトの紹介に、国家の闇を暴き出すといったことが書かれていたりしますが、政治が抱えている闇というものがどんなものなのか、想像できます? それが政治は国民を裏切っている、なんて内容だったら、時代と政情があまりにもリアルタイムであるだけに発禁になってしまうんじゃないのか、そう思えました。

 松岡圭祐はひじょうに多産な作家ではありますが、2019年に本著を出したあと「高校事変供廖峭盥算変掘廚硲殴月スタンスで出しています。これほど緻密な内容の長編をそんなにホイホイ書けるものなのでしょうか。松岡圭祐って本当にひとりの作家なのですか? 彼の執筆能力は、超人優莉結衣のそれを上回っています。

2019年、角川文庫。
著者:松岡圭祐。

コメント
コメントする








   
この記事のトラックバックURL
トラックバック

目 次
能書き

思うこと全般

けぽっぷ体験

アイドルのこと

韓流映画

番外編


索引 韓流映画&番外編





     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
<< November 2019 >>

サイト内検索

NEW ENTRIES










recent comment

links

プロフィール

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM