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母なる復讐

2019/09/18


 父と離婚した母ユリムと共に新居に越し、新しい高校に転入したウナは、同じクラスのチョハンに思いを寄せますが、彼は周りとあまり和合しないもの静かな少年で、留年していて1つ年上でした。仲良くなった女子から彼にはあまり関わらない方が良いと忠告されますが、ウナはチョハンにメールしてしまいます。
 ある時チョハンに呼び出されたウナが、指定された学校の屋上に来てみると、チョハンの他に2人の不良が待ち受けていました。ウナは3人の少年たちに性的暴行を受けることになります。
 警察はユリムに示談を勧めますが、彼女は裁判を望みます。しかし判決は少年法に守られた少年たちを罰せず、保護観察に留めるというものでした。
 しかし事件はそれで終わらず、少年たちは当時の様子を動画に撮っておりそれをネットに流すとウナを脅し、彼女を再び食い物にしようとします。

 未成年者による性犯罪を描いた韓流ドラマはひじょうに多いですが、この作品はその典型的なパターンです。純真な少女を騙して性的暴行を加える、その様子を動画に撮って少女を脅迫し、さらに暴行を重ねる。被害者が訴えても裁判で恥をかかされるだけで、少年法が加害者たちを擁護し懲罰を与えない。さらに脅迫と暴行が続き、被害者が自殺する。
 似たような内容のドラマがたくさん造られてきましたが、その中でもひときわ悲惨で後味が悪いものになっています。調子に乗った加害者たちはヘラヘラと笑って悪態を吐き、母子には地獄しかありません。

 でも、観ていて思いました。この悲惨さと類似性こそが作り手の意図なのかもしてないと。その思いを確信にしてくれたのが、エンディングロールで流された実際の未成年性犯罪の判決事例の数々です。韓国では、同じ事例同じ地獄を味わっている少女やその家族がたくさんいるということを、この映画は訴えているんですね。
 では、少年に対する量刑を重くすれば、この手の犯罪は減るのでしょうか。エンディングロールを見る限りでは、犯行に対して処罰が軽すぎるということを訴えているように見えますが、少年たちを犯罪に駆り立てているものは、刑の軽さ、少年法による擁護なのでしょうか。

 韓国に限らず、多くの国々で事情は同じですが、国家という恐ろしい怪物が、市民を競争に誘い、勝者を優遇してどんどん食い太らせ、敗者に貧困を与えるその図式を改善してゆかないと犯罪はなくならないでしょう。
 犯行に及ぶ少年は、敗者を親に持つ、すさんだ家庭で育った者とは限りません。勝者の家に生まれ、勝つこと、敗者を見下すことを叩き込まれて育った少年たちもまた、非道に走り、それを親が権力でもみ消します。
 愚者による支配とは恐ろしいものです。そもそもネット社会時代において、人が人を支配するという図式が健在であることが人間社会の致命的なところなのでしょうね。

 しかしながら社会を批判したところで犯罪が減ったりなくなったりするわけでもありませんし、犯罪のない理想社会など、甘ったれた空想なのかもしれません。私たちにできること、やるべきことは、批判ではなく自らが意識を高く持つこと、発言や行動を恐れないことなのでしょうね。
 こうした映画が繰り返し造られること、こうした映画を観て感じること、それもひじょうに重要なことです。

2012年、92分、2014年日本公開。
監督:キム・ヨンハン。
脚本:イ・サンヒョン。
出演:ユソン、ナム・ボラ、シン・ドンホ、ユ・オソン、クォン・ヒョンサンほか。

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