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天気の子【映画】

2019/08/16


 2021年夏、異常気象に見舞われた関東地方は降り止まぬ雨が続いていました。家出少年の森嶋帆高は、バイトもままならずワラをもつかむ思いで行きずりの男から手渡された名刺を頼りに、K&Aプラニングを訪ねます。オーナーの須賀圭介は寝食の保障だけでタダ同然で帆高を雇い、ミステリー記事の記者として起用します。取材に奔走するうちに帆高は、100%晴れ女の天野陽菜(ひな)と出会います。
 雨天続きの東京で、狭いエリアであれば祈れば必ず晴天を呼び寄せることができる不思議な能力を持つ陽菜。帆高と陽菜はこの能力を利用して商売を始めます。ネットで依頼を受け、晴天を希望する人のところへ行って祈るという怪しい仕事ですが、100%の的中率が話題を呼び、神宮外苑花火大会を晴れにする仕事が飛び込み、それがテレビ報道されて話題になります。
 結婚式を晴れにして欲しい新婦、夫の初盆を晴れにして欲しい老女、晴天を希望する人は大勢いました。帆高と陽菜と彼女の弟凪(なぎ)と3人で各地を巡りました。ところがある時から3人は警察に追われることになります。
 帆高が陽菜と出会うことになったきっかけ、彼女が水商売の仕事を強要されようとしているところを助ける際に、帆高は偶然拾った拳銃を使い、それに実弾が入っていたからです。

 前作「君の名は。」が世界的ヒット作となった天海誠の監督作品です。自ら原作を手がける作品作りに徹してきた彼の新作ファンタジーは、天気を自在に操ることができる巫女のお話し。
 陽菜はとある廃ビルの屋上にある小さな神社の鳥居をくぐったことから晴れ女の能力を得るのですが、その力は様々な人を幸せにするものの、彼女自身は1年前に母を失って小学生の弟と2人で貧困をしのいでいます。年齢を偽って続けていたファーストフード店のバイトも年がばれてクビになり、チンピラに水商売を強要されようとしているところを帆高に助けられます。
 お互いに身寄りのない貧困暮らし同士でしたが、晴れ女の仕事が軌道に乗り未来が開けます。世の中にはこんなにたくさん晴れを欲している人がいる、天気ひとつでこんなにも人が幸せになる。それは陽菜にとっても幸せなことでした。しかし、その能力を行使することはそれと引き換えに身を削ることでもあったのです。それが巫女に選ばれたものの宿命でした。

 止むことを知らない長期的な雨、まるで生き物のように踊る雲、時折大きな水のかたまりが落ちてくる不思議な現象。日本は謎の現象に覆われているようでした。その雨だけの世界に束の間の晴天をもたらすことができる晴れ女、そういうお話しです。
 日本がどうしてそのような不可解な天候に覆われるようになったのか、洪水をもたらしても止まぬ雨はどこから来るのか、そうしたことは明らかにされません。東京はどんどん水没してゆきます。
 そこへ忽然と現れた天気を操る巫女。彼女は人々に束の間も幸せをもたらしますが、雨の中に沈んだ世界を救うことはできません。天海誠がなぜこのような世界を描こうと思ったのか、筆者には想像もつきません。人類への警鐘なのか、もっと深遠な意図があるのか。
 陽菜が巫女になった動機も釈然としないままです。その役割も。そして彼女を宿命から解き放とうともがく帆高。いったいどうやったら彼女を救うことができるのでしょう。前作の“解決”は素晴らしいものでしたが、今回はいろんなことが不明のままでした。

 夫の初盆を晴れて欲しいと仕事を依頼してきた立花冨美は言います。おおむかし、関東平野は広く海に沈んでいた。地球の長い歴史からすればまたむかしに帰っただけ、長雨もべつに異常でも不思議でもない。年々激しさを増す異常気象について識者たちは様々な説を弄していますが、立花冨美の言葉が深海誠の今の風潮に対する答えなのかもしれませんね。
 地球温暖化と異常気象、それは人類の破壊と浪費の弊害だと多くの識者が訴えていますが、人類が存在するずっとむかしから、地球は氷河期と間氷期を繰り返してきましたし、もっと古く中生代にはもっともっと気温が高く、海洋も今よりも陸を飲み込んでいたことでしょう。海外線が海に浸かると広大な大陸棚が形成され、生物の進化と繁栄が促され、中生代は巨大生物の世界でした。そんなふうにはならないとしても、地球は間氷期に向かって気温が上昇中、それだけのことかもしれません。
 日本もかつてのような穏やかな気候はあまり期待できず、しばしば災害に見舞われる過酷な環境になりつつある。それが一時的なものなのか、将来に渡って悪化してゆくのか、人間が環境破壊を止めたら収まるのか、そんなことは解らないということです。

 雨に沈んだ街の描写があまりにも緻密で鮮やかで、恐ろしいほどでした。街全体を見下ろす鳥瞰図と、微細なものをクローズアップするマクロ図により、独特のリアリズムが演出されています。これはセンスと技術のたまものでもあり、気の遠くなるような労力の成果でもあります。そしてこれは日本アニメのさらなる可能性を示唆しています。
 今回はストーリー性よりもシチュエーションに重点が置かれた、そんな気がします。ストーリー的にはちょっとすっきりしないところがありましたし、斬新さもありませんでした。それよりも長期的な雨の中に沈む街の描写が観る者を圧倒し飲み込みます。
 この作品を観て、今後がますます楽しみだ、そんなことを感じました。

2019年、112分。
原作、監督、脚本:新海誠。
声の出演:醍醐虎汰朗、森七菜、小栗旬、本田翼、倍賞千恵子、吉柳咲良、平泉成、梶裕貴、神木隆之介、上白石萌音、花澤香菜、市ノ瀬加那、木村良平、成田凌、悠木碧、谷花音ほか。

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