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スキン・コレクター【映画】

2019/06/26


 知り合った男性の家で一夜を明かしたキラ・メイボンは、朝になって男性の姿が見えないアパートを出ますが、記憶が曖昧で気づくとアパートに舞い戻っているのでした。彼女はなぜか男性の部屋の鍵を持っており、中に入ってみると、そこはすっかり自分の空間でした。家具も小物も私物も長く自分が使っていたもののようなのです。しかし彼女にはここで長く暮らしていた記憶がありません。
 他にゆく当てもなくそこに身を落ち着けるしかありません。しかし新たな不安が彼女を襲います。手の指の皮膚の一部が乾いてボロボロになり、白くなってはがれ落ちそうなのです。そしてそれは徐々に拡がってゆくようでした。
 予約してある病院の情報を見つけて電話をすると、すでに受診しているとの返事、とりあえず病院に行ってみることにします。担当医だという女医のクローバーは、急速に皮膚の老化が進む奇病だと診断し、経過を観察しながら治療法を見つけると言います。
 隣室の同性愛者のソフィアと仲良くなったキラは、ある時ソフィアが割れたワイングラスで指を切った際、剥離した皮膚片を自分の傷んだ指に押し当ててみます。すると皮膚片はそこに馴染み美しい皮膚が蘇りました。
 この経験から他人の皮膚を取り込むことで自分の傷んだ皮膚が蘇ることを知ったキラは、病院のモルグに侵入し遺体から皮膚を盗みます。しかし死体からとったものでは良い効果は得られませんでした。そこで彼女はバーに行って若い女性をトイレに誘い込み、殺して皮膚を盗むという犯行に及びます。
 皮膚の再生は一時的なもので、またすぐに老化が進んでしまいます。しかもその範囲はどんどん拡がり体中に及んでゆきます。彼女は次々と殺人に手を染め、皮膚の老化と再生を繰り返すのでした。

 記憶をなくしたキラが男の家に戻ってみると、そこは長い間自分が過ごしてきた部屋になっている、これだけでも大変なミステリーなのですが、今度は皮膚が老化してはがれ落ちてゆくという奇病に見舞われます。病院に行ってみると担当医であるというクローバー女医は、なにか訳知り顔です。記憶がないもののキラはこの病院に通っていたのでしょう。クローバーは必ず治療すると自信ありげですが、セカンドオピニオンを試してみると、別の医師はまったく原因が解らないといった様子。やがて彼女は他人の皮膚を移植するおぞましい治療法を自力で見つけますが、それは殺人と治癒、再発と殺人という恐怖の連鎖を産むだけでした。

 記憶喪失という状況に置かれただけでもサスペンスとしては充分な恐怖ですが、皮膚が急速に老化してゆくという身に覚えのない奇病にさいなまれるという恐怖が彼女を襲います。そして彼女は殺人鬼と化してしまうのですが、そのことで記憶喪失という設定がうやむやになってしまうと残念だなとふと思ったのですが、ひじょうによくできたストーリーで、奇病と記憶喪失であることは最後にはちょんとつながります。

 男性と過ごした翌朝、わけが判らないまま友人のマーサに電話すると、彼女は「あなたが男と寝るなんて、ありえない」と驚愕します。
 部屋には見知らぬ若い女性がいてすぐにどこかへ行ってしまいます。
 見知らぬ老女たちが訪ねてきますが、居留守を決め込みます。老女たちは「今日は留守かしら」とまるで旧知の仲のようなことを言いながら帰ってゆきます。
 こうしたもろもろの細事が彼女の失われた過去の片鱗のようですね。

 そして殺人鬼と化してしまうキラですが、ソフィアは破滅への道を進むキラを深く愛し、彼女の皮膚がボロボロになっても、犯罪に手を染めても見捨てたりはしません。
 謎を解くカギはクローバーが握っていると察したキラは、深夜の病院に忍び込んで自分を含む患者たちのデータを盗み出すのですが……。

 恐怖と不安のなか謎が深まるばかりの前半パートでは、殺人に手を染めたキラがどんどん深みにはまってゆくさまはなんとも陰鬱で、このまま煮え切らない感じに絶望的なエンディングを迎えたらいやだなぁ、なんて思ってみていましたが、謎の解明が始まってからはスリリングなシーンの連続で、ぐいぐい引き込まれます。キラを襲う奇病と記憶喪失という2つの恐怖が1つにつながり、思いもかけない顛末へと急流のような展開を見せます。
 キラは窮地をどのように潜り抜けるのでしょうか。絶望的な状況の中でも最後の最後まで彼女を愛し続けたソフィアもキラに振り回されているだけではありません。
 もしも愛する人が、キラのような稀有な状況に陥り、人を殺さなければならないようなことになった場合、あなたならどうします? キラの物語をソフィア目線で観るのもおもしろいかもしれませんね。

原題:REPLACE。
2016年ドイツ/カナダ、101分、2018年日本公開。
監督:ノーバート・ケイル。
脚本:ポノーベルト・ケイル、リチャード・スタンリー。
出演:レベッカ・フォーサイス、ルシー・アーロン、バーバラ・クランプトン、シーン・ノップほか。

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