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レプリカズ【映画】

2019/05/24


 とある研究施設に戦死した軍人の遺体が搬入されます。神経科学者のウィリアム・フォスター率いる研究チームは、軍人の精神をデータとして取り出し、それを人工頭脳を搭載したアンドロイドに移植しようとしていました。しかし実験の最終段階で被験者の精神は暴走し、自壊行為に及んでしまい実験は失敗に終わりました。あと少しで死んだ人間を蘇らせることができるのですが、何かが足りず上手くゆきません。上司のジョーンズは成果が得られなければプロジェクトは中止すると厳しい言葉を放ちます。
 休暇で家族旅行をすることになったウィリアムは、妻と3人の子供たちを伴って車で出かけますが、事故に遭遇し家族を失ってしまいます。留守を任せていた友人のエド・ホイットルに連絡を取り、家族の死体を自宅に持ち込んだ彼は、エドと共謀して家族の精神データを取り出そうとします。エドは生物学者でクローンの研究をしており、亡くなったウィリアムの家族のDNAから肉体を蘇らせることができます。
 この極秘の実験を最初は頑なに拒んでいたエドですが、ウィリアムに圧される形で協力することになります。機材がウィリアムの家に持ち込まれ、家族のクローン再生が始まります。しかし要できたタンクは3つ、家族の誰か1人は犠牲にしなければなりません。ウィリアムは胸を引き裂かれる思いで末っ娘のゾーイを犠牲にすることを決めます。
 2週間後、水槽の中で妻のモナ、息子のマット、娘のソフィの肉体の再生に成功します。しかしクローン・ボディに精神を移すにはリスクが高すぎました。ウィリアムは完成した肉体をベッドに横たえたまま意識不明にし、精神を移すのに必要な要素を模索します。それもあまり猶予はありません。無意識のままのクローン・ボディはやがて精神を受け入れなくなり急速に老化してゆきます。それにウィリアムの妻子が不在であることを不審に思った研究所の関係者たちが訪ねてきました。研究も中断したままにはできません。成果が得られず計画が中止になれば、施設の機材がなくなっていることがばれてしまいます。
 窮地に立たされ苦悩するウィリアムがモナの手に触れた時、彼女のクローン・ボディの脳波に反応が現れます。それで精神の移植に足りないものが何かに気づいた彼は、実験を進めます。
 彼はモナたちの記憶を改ざんし、ゾーイの遺品をすべて処分し、意識が回復するのを待ちます。
 家族が死して17日、3人は無事に再生します。人類初の快挙はこうして極秘裏に成功を収めたのでした。
 ところが、食品の賞味期限が切れているのを知ったモナが自らの記憶と境遇に不信感を抱き、ウィリアムはクローン再生のことを彼女に打ち明けます。

 モナは夫が秘密の研究施設でどんな実験に打ち込んでいるかすべてを知っており、ウィリアムもその経緯を妻に話していました。しかしモナはその研究にあまり賛成はしていませんでした。ところが事故があって彼女はクローンとして蘇ることになります。記憶が改ざんされていて事故のことを覚えておらず、末娘のゾーイの存在も知りません。しかし何か違和感を感じずにはおれないのでした。
 そして知らされる真実。彼女はそれを受け入れることができるでしょうか。
 予告編を見た時には、クローン再生された人間(レプリカ)が次第に精神崩壊を来すホラーのような内容を想像しました。しかし精神を移植する先がアンドロイドであるという本編冒頭シーンを見て、アンドロイドが暴走するのかな、なんて思いました。
 これらの筆者の予想はことごとく外れてしまいます。

 研究所の仲間のエドが生物学者で高度なクローン技術を完成させているという事実が、ウィリアムの家族再生計画をアンドロイドではなく生身の肉体へ移すというものに変わります。人のクローン化は法律で禁止されているので、これをやろうとするウィリアムとエドは2人だけの秘密を持つことになります。
 誰にも打ち明けることはできないけれど、この人類初の快挙に2人は大喜びします。でもそれで終わるはずがありません。モナや子供たちがどんなふうになるのか、関心はそこへ集中します。
 人の記憶が造られたものであったとか、改ざんされていたとか、そういったシチュエーションでは未来を描いたSFにはよく登場します。記憶に新しいのは「ブレードランナー 2049」ですか。
 もしも自分の記憶や精神が改ざんされたものあるいは人為的に造られたものであることが判ったら、そんな恐怖を思い起こさせる内容ですが、後半はそれどころではなくなってしまいます。人の精神がどうのと言ってられない新たな危機がウィリアムとその家族に降りかかるのです。それはレプリカズが異常を来すとか、変な能力に目覚めるとか、新境地に達するとか、そういったものとはまったく別の危機です。
 この思わぬ方向転換に唖然としてしまう人もいるでしょうし、ちょっとがっかりしてしまう人もいるかもしれません。筆者としてはちょっと凡庸かなとも思ったのですが、家族が協力して危機を切り抜けてゆくさまが痛快でよかったです。ラストも予想していた寒々としたバッドエンドではなくて、たいへん好感が持てるものでした。

 実際に精神や記憶の移植、クローン技術、人工頭脳やアンドロイドの研究はどこまで進んでいるんでしょう。それらは人々の未来をどのように変えてゆくのでしょう。未来SFではそれらは確立された技術で、私たちの現実とはかけ離れていますが、本作品はそれを現実に近づけたという点で興味深かったです。

原題:Replicas。
2019年アメリカ、107分、同年日本公開。
監督:ジェフリー・ナックマノフ。
脚本:チャド・セント・ジョン。
出演:キアヌ・リーブス、アリス・イヴ、トーマス・ミドルディッチ、ジョン・オーティス、エムジェイ・アンソニー、エミリー・アリン・リンド、アリア・リリック・リーブ、ナシャ・ハテンディほか。

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