kepopput.jpg

オーヴァーロード【映画】

2019/05/22


 1944年6月、連合軍はドイツに占領されたフランスを奪還するためにコードネーム:オーヴァーロード作戦を敢行します。その最初の攻撃となったネプチューン作戦は、Dディあるいはノルマンディ上陸作戦として知られる史上最大規模の物量戦ですが、敵味方共に多大な犠牲を出す悲惨な戦いとなりました。6日に強行された上陸作戦では空挺部隊1,200人、強襲揚陸に使用された船5,000隻が導入されましたが、ドイツ軍の抵抗は思いのほか執拗で、8月に作戦が集結するまでに200万人以上の連合軍兵士がフランスへ進攻しました。
 Dディ直後、第101空挺師団は、連合軍の通信を妨害しているドイツ軍の電波塔を破壊するために夜陰にまぎれてフランス上空に到達しますが、激しい対空砲火に遇い多くの機を失います。
 ルイス・フォード伍長、エド・ボイス二等兵らは仲間のほとんどと隊長を失いながらも、シエルブラン村の教会を目指します。ドイツ軍は教会を要塞に変えそこに電波塔を設営していたのです。連合軍の次の作戦まであまり時間がありません。しかし生き残って村にたどり着いたのはわずか数名、40人以上の衛兵のいる要塞を落とすのは不可能でした。
 森で偶然出会ったクロエという女性の案内で彼女の家にかくまってもらうことになった一行は、敵地に進入して施設を破壊する機をうかがいます。多くの死体を積んだトラックに忍び込んで敵の施設に進入することに成功したエドは、ドイツ軍がそこで恐ろしい人体実験をしていることを目の当たりにします。
 かろうじて脱出に成功したエドはフォード伍長に状況を伝えますが、そこへ巡回中の敵将校ローゼンフェルドがやって来ます。彼の目的はクロエの体でした。彼女が凌辱されるのを阻もうとしたエドのおかげで存在を知られてしまった一行は、ローゼンフェルドを捕虜にします。
 一行は、エドが持ち帰った情報を頼りに、敵地への進攻を強行し、残された時間内の施設破壊を目指します。

 要塞には40人以上の衛兵がいますが、味方はたったの4人、しかも連合軍の次の作戦までもうあまり時間がありません。おまけに捕虜のローゼンフェルドに逃げられ、さらにはクロエの幼い弟が彼に連れ去られてしまいます。銃を構えて弟を助け出すと言うクロエに、フォード伍長はそれは不可能だと突っぱねます。しかし正義感に燃える新兵エドが、クロエに味方し譲ろうとしません。電波塔を破壊することさえ望みが薄いのに、クロエの弟探しまで手が回らないし、さらなる危険を冒し作戦を失敗へ導くことになってしまいます。それでもエドは譲りません。
 けっきょくフォード伍長が折れ、2人は気丈なクロエを伴って敵地への侵入を試みます。侵入を成功させるためにティベットとポールが敵兵の気を引くための陽動を実行します、たった2人で。まったく命知らずですね。

 ナチスというと非人道的で猟奇的なイメージがりますが、この作品でも神聖な教会を要塞にしてしまうという暴挙を実行していますし、その中では恐ろしい人体実験が行なわれており、村人たちがそのためにさらわれてゆくらしいのです。クロエには弟のほかに病気の叔母がいますが、その叔母が実験の犠牲者らしくグロテスクな容姿をしています。
 ナチスはいったい何をやっているのでしょう。ゾンビ戦士でも作っているのでしょうか。敵地に侵入したフォードとエドは、その実態を目の当たりにするわけですが、フォード曰く、それはナチスのものにしておくことはもとより、味方であっても手に入れるべきではないものでした。

 「ミッション:インポッシブル」「スター・トレック」「スター・ウォーズ」といった大型シリーズで監督や脚本を務めているJ・J・エイブラムスが製作陣に名を連ねていますが、そのわりには事前告知は消極的だったような気がします。先日観た「移動都市モータル・エンジン」もそうでしたが、よほど有名な作品でない限りプロモーションにお金をかけない傾向があるのでしょうか。SNS の充実により、宣伝を素人評論家にゆだねる傾向が最近は強い気がします。観客の口コミが興行成績を大きく左右することも少なくありませんし。

 冒頭の空挺作戦のシーンはひじょうに規模が大きく壮大なスペクタクルでした。いきなり手に汗握りました。その後は物量戦ではなく少数精鋭による作戦にシフトし、クライマックスではナチスのとんでもない秘密が登場し、戦争映画然とした作品をまた別なものへ変貌させます。そうした意味でひじょうに多角的な内容であると言えるのですが、観客がどこに重きを置くかによって、戦争アクションにもなり、ホラーにもなるといった異色作です。
 批判好きの向きは、アクションとホラーのどっちつかずなどと評するかもしれませんが、そんな理屈抜きにたいへんおもしろい作品です。スリル満点です。筆者はアクションとホラーの両方を堪能できるおいしい作品と評しておきます。どちらかと言うと戦争アクションの要素が強かったかな。

 この作品のタイトル「オーヴァーロード」は、冒頭にも書きましたように有名なノルマンディ上陸作戦に始まるフランスにおけるドイツ軍制圧作戦のコードネームです。その名を冠するとは、同様の作戦が実際にあったってことでしょうか。ナチスは実際に悪魔の実験をやっていたのでしょうか。よくウワサになりますけど。

原題:OVERLORD。
2018年アメリカ/カナダ、109分、翌年日本公開。
監督:ジュリアス・エイヴァリー。
脚本:ビリー・レイ、マーク・L・スミス。
出演:ジョヴァン・アデポ、ワイアット・ラッセル、マティルド・オリヴィエ、ジョン・マガロ、ジャニー・タウファー、ピルー・アスベック、ジェイコブ・アンダーソン、ドミニク・アップルホワイト、イアン・デ・カーステッカー、ボキーム・ウッドバイン、エヴァ・マジャルほか。

コメント
コメントする








   
この記事のトラックバックURL
トラックバック

目 次
能書き

思うこと全般

けぽっぷ体験

アイドルのこと

韓流映画

番外編


索引 韓流映画&番外編



     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      
<< March 2024 >>

サイト内検索

NEW ENTRIES










recent comment

links

プロフィール

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM