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鍵泥棒のメソッド【映画】

2019/05/20


 雑誌社の編集長水嶋香苗は、まだ相手もいないのに結婚の日取りを決め、それに向けて出会いと恋愛を経験しようとします。そんな彼女が出会った男桜井武史は、金もなくビルの屋上のおんぼろの借家に住んでおり、おまけに記憶もなくしていているのでした。
 じつは彼は凄腕の殺し屋山崎信一郎で、仕事のあと銭湯に行ったところ石鹸で滑って失神し、目が覚めてみると記憶喪失になっていたのでした。救急隊員から受け取った所持品から自分を桜井だと思い込み、住所を手がかりに帰って見ると、散らかり放題のゴミ屋敷のような自宅に愕然とします。部屋から遺書とロープが見つかり、自分が自殺しようとしていたことが判ります。
 一方、本物の桜井武史は、首つり自殺を試みるも失敗し、たまたま財布から見つけたタダ券で銭湯に行ったところ、高価なスーツを着た金持ちそうな男屋山崎信一郎に出会います。山崎が石鹸で滑って失神すると、たまたま彼のロッカーの鍵が自分の方に飛んできたので、桜井は出来心から自分の鍵とそれをすり替えてしまいます。
 立派な身なりと高級車を手に入れた桜井は、パンパンにふくらんだ財布から、滞納していた家賃を返金し知人を巡って借金を返します。そのあと改心して山崎の持ち物を返そうと病院を訪れるのですが、山崎は目覚めており返せなくなってしまいます。
 そのまま山崎の自宅へ居座ることになった桜井に、ヤクザから新たな依頼が来ます。ヤクザは彼をコンドウと呼んでいました。しかし標的の女性をかばって逃がそうとしたことがばれ、ヤクザに追われる羽目になります。
 自分を桜井だと思い込んでいる山崎は、部屋をきれいに片付け、自分を取り戻すために几帳面にノートを取り始めます。どうやら記憶を失う前の自分は売れない役者で、臨時のエキストラのバイトをしながら自堕落な暮らしをしていたようです。数々の芝居に関する書物は途中まで読んで投げ出したものばかり、彼は心機一転して芝居に打ち込もうと努力します。そして、前向きに努力しようとする彼に、香苗は結婚を申し込みます。
 病床の香苗の父が死に、2人で父の遺品のレコードを聴いている最中、突如として山崎の記憶が蘇ります。彼は大急ぎで自宅へ行き、自分に成りすましている桜井を見つけ、彼の窮地を知ります。2人はヤクザを欺くために一計を講じようとするのですが、そこへ山崎をつけてきた香苗が乱入してきてしまいます。

 あらすじを書いていて、ひじょうに面白い題材だと改めて感じました。しかしながら演出が全体的にローテンションでストーリーとしては喜劇なのに笑えるところがあまりありません。喜劇として作られていることはまちがいなく、随所にそうした演出がほどこされているのに、テンションが上がっていないせいかあまり笑えません。ストーリーは面白いし各キャラも個性的なのにじつに惜しいところです。
 桜井は役者志望でありながら根気がなく努力が苦手で、いつまで経っても日の目を見ず、ついに死を選ぶ決意をしますが、これに対して山崎はどんな境遇に陥ってもそれを真摯に受け止めて努力します。意識を失う前は優れた仕事人として材を築いており、桜井になってからは香苗と将来を約束します。桜井に対してお前の人生をおれがもらうとまで言っています。
 何をやってもダメな桜井ですが、ヤクザに追われるという窮状を脱するために役者として培ってきたノウハウを活かすのかと思いきや、それも読みが外れました。これは製作側の意図的なもので、ここ一番で桜井が十八番を発揮すると思いきや、観客を裏切るという落ちなのでしょうが、結末はあやふやに終わっています。
 ほかにも注目する点はあれこれありますが、これ以上のネタバレは控えます。
 
 この作品は2016年に「LUCK-KEY/ラッキー」のタイトルで韓国映画としてリメイクされています。それがあまりにも素晴らしかったので原作である本作にも興味を持ったわけですが、ちょっと残念でした。
 とは言え、この作品がおもしろくないわけではありません。トーンの低いコメディは味方によってはあからさまなドタバタよりもセンシブルで味わい深いですし、キャラの個性が見事でした。香川照之演じる山崎の記憶をなくす前後の変わり身の鮮やかさ、堺雅人演じる桜井のダメダメさ、広末涼子が演じた香苗は最高に個性的でした。恋愛から結婚までを期日指定で計画にしてしまうなんて、アンドロイドですか? しかも彼女は予定に間に合わせるために相手さがしを会社の同僚たちに協力させます。こんな人、実在していそうで怖いです。怖いと言えば荒川良々が演じたヤクザ工藤は怖かった。荒川良々tぽ言えばおもしろキャラやおどおどしたキャラが多かったのですが、ギャグが一切なしのシリアスなヤクザのボスを見事に演じていました。
 「LUCK-KEY/ラッキー」を先に観ていなければ、もっと楽しめたのかもしれませんね。「LUCK-KEY/ラッキー」

2012年、128分。
監督、脚本:内田けんじ。
出演:堺雅人、香川照之、広末涼子、荒川良々、森口瑶子、小山田サユリ、木野花、小野武彦、内田慈、三上市朗、林和義、ウダタカキ、池田成志、久野雅弘、本宮泰風、三村恭代、柊瑠美、李千鶴、中谷竜、ムロツヨシ、堺沢隆史、中村無何有、黒田大輔、田中聡元、荒川結奈、中川晴樹、日比大介、原金太郎、松山愛里、安野遥、兒玉宣勝、塚本直毅、溜口佑太朗、鈴木祥二郎、廻飛呂男、小林大介、中道公壱、安蒜太人ほか。

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