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銃夢【コミック】

2019/05/17


 未来の地球。空中都市ザレムの直下に広がるクズ鉄町でサイバー・ドクターをしているイド・ダイスケは、ザレムから落下してくる廃棄物の山を物色しているうちに上半身だけのサイボーグ少女を発見します。ずいぶん古い時代のものにも関わらず少女の脳は生きており、イドはサイバー技術で彼女を再生し体を与えます。イドによってガリィと名づけられた少女は、過去の記憶を持たず、荒廃し無法地帯と化した町を散策し、ならず者たちと接触するうちに自分が卓越した武術の使い手であることを知ります。
 時折蘇る記憶の断片から、彼女は過去に兵士であったこと、名を陽子と言い火星の機甲術パンツァークンストの使い手であることが判ってきます。
 クズ鉄町では多くの人々がサイボーグ化されており、体や脊髄を盗んで売買する犯罪が横行していました。警察はなく治安を維持しているのはハンターウォリアーと呼ばれる賞金稼ぎでした。
 数少ない生身の少年ユーゴに出会ったガリィはほのかな恋心を抱きますが、ユーゴは悪徳ブローカーのベクターに騙されて金を貯めてザレムへ行くために脊髄泥棒に手を染めていました。それがばれて賞金首になってしまいます。自らの才能を活かしてハンターウォーリアーに登録していたガリィは、ユーゴを狩る立場でしたが、彼をかばったためにハンター仲間から指弾されることになり、腕利きハンターのザパンと対決します。ザパンはガリィに敗退して町を去りますが、後にマッドサイエンティストのディスティ・ノヴァ教授に怪物に改造されて帰ってきます。
 ユーゴの夢は潰え、失意のガリィはモーターボールの世界に身を投じ、その勝者としてザレムを目指します。帝王ジャシュガンを破っり殺戮の天使(キリング・エンジェル)の異名を轟かせますが、すぐに引退してしまいます。
 その後ザレムの目に留まり、ビゴット・アイゼンバーグによって TUNED となり、彼のためにノヴァ教授を追うことになります。

 ガリィが自立して自分の許を離れてゆくと、イドは、ジャシュガンのセコンドとして彼女と敵対する立場になります。その目的は彼女を敗北させ、帰って来させることにありましたが、彼の思惑ははずれてしまいます。ひじょうに温厚な性格のイドですが、じつは裏でハンターをしていたり、過去はザレム市民であったりと、意外な隠れた側面を持ちます。その後1度はガリィの体となった太古の戦士ボディ・バーサーカーボディを巡ってノヴァ教授の許を訪れますが、ノヴァがザパンを怪物に改造する際の事故に巻き込まれて命を落とします。ノヴァはイドを生き返らせるのですが、過去の記憶をなくし別人として新たな人生を歩みます。

 ザレムの道具 TUNED となったガリィは、地上監察局のオペレーターのルゥ・コリンズと組み、ノヴァを追って殺伐とした戦いの世界に身を委ねますが、クズ鉄町にいた頃バー・カンザスでであったオーナーの娘コヨミと再会します。当時まだ幼かったコヨミはザパンの暴走で父を失い、自立して旅をしていました。彼女は海賊ラジオで理想を訴えるケイオスに憧れていました。
 生計を立てるために傭兵をしていたフォギア・フォアは、ガリィに出会って恋に落ち、彼女もまたフォギアに心惹かれるようになります。
 サイコメトリー能力によって過去の遺物に触れることで情報を読み取ることができるケイオスは、世直しを唱えてバージャックを率いる電(デン)と敵対する立場にありましたが、電と遭遇した際に彼の理想に感動したコヨミはバージャックに参加することにします。
 電は重厚な装甲と巨人のような体を持つ、それ自体が要塞のような存在で、世界が地上とザレムに分かれて荒廃していることを正すためにザレムを落とそうとしていました。

 一旦故郷に帰ることになったフォギアと別れ、電に着いて行ったコヨミとも別れたガリィは、ケイオスと共にノヴァと対峙します。しかし狡猾なノヴァは、ガリィを対自核夢(ウロボロス)の中に取り込んでしまいます。仮想現実の中で少女アリタとなった彼女は何も知らず平穏な暮らしを送ることになります。

 この作品を読むのは、確かこれで3度目です。20年以上も前の作品ですが、いまだに色あせないのはさすがです。未来の地球、人々は空中都市ザレムと荒廃した地上に分かれて住んでいて、ザレム人は自由平等の理想郷を実現しています。地上はその犠牲となり、ザレム人が豊かに暮らすための犠牲になっています。地上人たちは貧困と犯罪にあえぎ、何も知らないザレム人たちは地上から搾取した物資や資源、ときには地上人の臓器やパーツを消費し、至福を謳歌しています。
 この超絶格差社会の構図は、SFによく見られる世界観ですが、銃夢の場合、富裕層であるザレム人の住む世界は地球の軌道上の構造物からぶら下がっており、地上からはあまりにも遠い世界です。しかしまれにザレムから人が地上へ降りてくることがあるようです。イドやノヴァ教授がそれです。
 ガリィもまたザレムから地上へ落ちてきた少女ですが、彼女は世の中が今のような構造になる前、その原因となる大きな戦争の時代に生きていた人間で、ザレム人というわけではありません。彼女は火星出身のようです。未来の地球人は太陽系の星々を植民地にしていたようです。
 ザレムは高度なシステムによって支えられた世界ですが、時代が逆行して人は空を飛ぶこともできません。しかしサイボーグ技術が地上にも残っていて、多くの人々が改造人間として暮らしています。
 未来の科学技術を描いたSFは時の流れと共に古びたものになってゆくものですが、この作品にはそれが感じられません。今読んでもひじょうに新鮮なのです。これってすごくないですか?

 腐敗混濁した地上世界で、ガリィは様々な出会いを経験しながら、天才にして狂気のサイエンティスト ディスティ・ノヴァとの対決を迎えます。
 筆者が初めてコミックを読んだ時には、結末は世界を救うためにガリィが犠牲になって終わっていました。ザレムを支える電子頭脳メルキゼデクが異常を来し、ザレムが落ちてくることになったのです。それを阻止するためにガリィはノヴァ教授の技術を借り、ザレムを支えるスカイフックへと向かい、自らそれを固定する接着剤となるのです。
 でも、この結末は後に変更になり、ガリィがザレムへ向かう続編「銃夢 LastOrder」へと続くことになります。

 この作品は「アリータ:バトル・エンジェル」のタイトルでジェームズ・キャメロン製作脚本によりハリウッド映画化されていますが、アリータの名はガリィがウロボロスに閉じ込められた時の名前アリタからの引用でしょう。映画版ではアリータがモーターボールの覇者になるところまでが描かれています。TUNED としてノヴァ教授を追うエピソードは次回作のお話しということになりますね。しかしジェームズ・キャメロンは「アバター」の続編の製作を先行させ「バトル・エンジェル」の続きについては未定としているようです。「バトル・エンジェル」のシリーズ化にはまだまだ時間がかかりそうですが、原作の方もいまだに新シリーズが終わってないので、この作品が過去のものになるのは、まだまだ遠い未来のことです。

1991〜1995年、集英社ヤングジャンプコミックスBJ、全9巻。
著者:木城ゆきと。

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