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ヒメアノ〜ル【映画】

2019/05/06


 ビルの清掃のアルバイトをしている岡田進は、先輩の安藤勇次に頼まれてカフェでウエイトレスをしている阿部ユカに近づきます。彼女に安藤の思いを告げるはずが、彼女の方から告白されてしまい、岡田は安藤に内緒でユカと付き合うことになります。ユカはストーカーに付きまとわれていて、それがあろうことか岡田が高校時代に親友だった森田正一だったのです。
 岡田は森田と話し合いの場を持ちます。高校時代に森田がひどいいじめに遇うと、それに巻き込まれるのが怖くて彼を見捨ててしまった岡田には、森田に対する負い目がありましたが、現在の森田は死んだような目をしており、職にも就かず、生きる活力がまったく感じられませんでした。
 そして森田は次々と人を殺し始めます。

 森田が最初に殺した相手は、高校時代に自分をいじめた級友でした。彼が非情な殺人鬼と化してしまったのは、いじめによって性格がゆがめられてしまったからなのでしょうか。彼がどんなにひどい目に遇っても級友も先生もみんな無関心で、社会に出でてからも彼を受け入れてくれる場所はありませんでした。生きることに希望を持っちゃいけない、それは彼が岡田にも話していることでした。
 彼にとっては人間社会こそが非情で慈悲のない世界だったにちがいありません。そんな理不尽な世界で、凶行に及んでしまった彼を責めるのは、それこそ非情なような気がしました。
 映画では森田は、きわめて残忍で冷徹な殺人鬼として描かれており、彼に同情心を抱く観客はいないでしょう。彼が高校時代に死ぬほど恐ろしい目に遇い、さらし者にされ、苦痛と屈辱の中で絶望している際に周りの人間はそれを見て見ぬふりをしていました。
 これも競争社会の弊害なのかなぁ、なんて考えるのは穿ちすぎでしょうか。人は社会の中で序列を作り、自分より下の人間を見て安心するものなのでしょうか。

 これに対して岡田は、同じように社会的に低い位置にいながら、他人をうらやんだり見下したり、害をなすこともありません。ちょっとした失敗をかばってくれた安藤先輩の言いなりになってユカに接近し、ユカに告白されるとそれを受け入れます。彼にもささやかな幸せが訪れるわけですが、いつまでも安藤にそれを黙っていられないほどに正直者でもありました。
 そして森田の出現。岡田は降りかかる運命に翻弄されるばかりです。森田は異常ですが、安藤もなかなか奇妙な男で、ユカへの執着はほとんどストーカーです。それでも岡田は彼を責めようとはしません。
 森田は自ら破滅に向かってどんどん暴走してゆきますが、その魔手はやがて岡田にも迫ってきます。それは彼が高校時代に森田を裏切ったからといった根拠に裏打ちされたものではなく、もっと衝動的なものでした。なんとも理不尽な行動ですが、理不尽と言えば森田がいじめに遇っていたことも極めて理不尽で残酷です。

 ひじょうに生々しい殺戮シーンを含むホラーですが、この作品の真の恐ろしさは、理不尽な猟奇殺人が我々の見慣れた日常に迫っており、そうした凶行を産む体質を社会が内在しているというところにあります。
 背筋の寒くなる作品でした。

2016年、99分、R15+。
原作:古谷実。
監督、脚本:吉田恵輔。
出演:森田剛、濱田岳、佐津川愛美、ムロツヨシ、駒木根隆介、山田真歩、大竹まこと、栄信、山中聡、信江勇、鈴木卓爾、土居志央梨ほか。

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