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ウトヤ島、7月22日【映画】

2019/04/22


 2011年7月22日、ノルウェーの首都オスロで政府庁舎に対する爆破テロが発生し8人が犠牲になります。それから2時間後の17時過ぎ、オスロから約40キロ離れたウトヤ島で銃乱射事件が発生し、労働党青年部のサマーキャンプに参加していた十代の若者たち77人が犠牲になります。犯人は1時間以上に渡って無差別殺人を続けました。
 キャンプに参加していたカヤは、携帯電話で母親からオスロのテロを聞き慄然としますが、現場から遠く離れしかも海に隔てられたウトヤ島は安全だと思われました。しかし、突如として銃声が響き渡り、キャンプの参加者たちが逃げまどい始めたのです。
 延々と続く銃声、携帯で警察に連絡しても助けが来ない、そんな状況の中でカヤは仲間と共に逃げまどい、姿が見えなくなった妹を探すのでした。

 本編97分のうち72分をワンカットで撮り続けた臨場感のある映像はたいへん話題になりました。犯人の姿は見えず、ただ銃声だけが鳴り響き人々が逃げまどいます。何が起きているのかも分らず、カヤと行動を共にした者の中には、何かの訓練ではないかという意見もありましたが、やがて怪我人や死人を目撃するに至り、銃乱射事件が現実味を帯びてきます。
 銃声は一定の方向から断続的に続き、人々も同じような方向から逃げてきます。犯人が接近しつつあるのかそうでないのか、まったく判りません。いつ銃弾が飛んでくるか分からないという恐怖が切実に伝わってきます。
 カヤたちは、本部の建物を出て林の中に身を潜めますが、山の斜面に身を伏せるくらいしか隠れる方法がなく、いつ見つかってもおかしくない状況です。
 銃声は突き刺さるように鋭く、クライムアクションの壮絶な銃撃戦をイヤというほど観ている筆者にもひじょうに生々しく恐ろしいものでした。
 やがてカヤたちは、逃げまどう人々と共に駆け出し、彼女自身は仲間とはぐれ、多数のテントを張った野営地に妹を求めて紛れ込みます。そこでも銃声が鳴り響きます。いったい犯人はどこから撃っているのでしょう。犯人が複数いる、あるいは警察官が銃を乱射している、そんな情報が飛び交います。

 遅々として進展しない状況が、しまいにはいらだたしく思えてきました。犯人はいったい何発撃っているのだろう。これほど延々と発砲し続けることが銃の性能的に可能なのだろうか、これほどの銃弾をどうやって携行しているのか、そんな疑問が湧いてきて、段々リアリティが感じられなくなってきました。銃声がずっと同じ方向からしていて、犯人が近づいてこないのも奇妙でした。それに、どれだけ通報しても警察が来ません。事件を知った報道ヘリが上空を飛びますが、それでも警察は来ません。オスロのテロで大変なのは解りますが、銃乱射の通報を受けて1時間以上も動けないほど手一杯ということはないでしょう。現場は首都からずいぶん離れているわけですし。
 後半は、なんだか我慢して観ていたような感じでした。最後もうやむやで、カヤがどうなったのかも不明のままでした。

 この映画は実際の事件を再現したものです。映画では描かれませんが、犯人は32歳の男で単独犯、警察官の格好で島に上陸し、キャンプの参加者を整列させ、いきなり発砲を始めたそうです。カヤたちはその整列には参加していなかったようです。警察の初動の遅れが被害を拡大させたと大きな問題になったようですが、地元警察はSWATの到着を待っていた、所持しているヘリの航続距離に問題があったといった理由から、通報を受けてから1時間以上も出動しなかったことに落ち度はなかったと発表したそうです。警察より早くヘリを島の上空に飛ばしたテレビ局も警察の出動の遅さを批判しています。
 犯人は捕獲され、その裁判と並行して調査委員会が招集され、現地がくまなく調査され、1年後には、事件の防止が可能であったことが指摘され、警察のトップが辞任しています。
 事件当時の警察にしてみれば、ウトヤ島のテロがどれほどの規模なのかも不明ですし、SWATの出動要請を行なったことも当然だったのでしょう。初動の遅れが被害を拡大した事実は否めないとは言え、調査委員会の発表は、国民感情に配慮したもので、警察のトップが責任を取らされたのは、それで世論を抑えることを狙ったのでしょうね。
 キャンプには700人もの参加者があったそうです。警察を批判するよりも、そのような大規模な集会に対して、これを警備するものがいなかったこと、警備し的確な状況を地元警察に報告する体制がなかったことの方が大きな問題だった気がします。

原題:UTOYA 22. JULI。
2018年ノルウェイ、97分、翌年日本公開。
監督:ギスラ・トヴェイト。
出演:インゲボルグ・エネス、ソロシュ・サダット、ブレーデ・フリスタード、アーダ・アイド、カロリーヌ・シャウ、タマンナ・アグニホートリ、トルケル・ドンマースネス・ソルダル、マグヌス・モエン、マリアンヌ・グジェルスバック、ダニエル・サン・トラン、ソルベイ・コルエン・ビルクランほか。

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