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目撃者

2019/04/17


 会社の帰りに同僚と飲んで深夜に帰宅したサンフンは、マンションのエレベーターで一緒になった女性に、今悲鳴が聞こえなかったかと尋ねられますが、彼は気づかなかったと答えて自室に入ります。家族が寝静まった静かな部屋で、今度は明らかに若い女性の悲鳴が聞こえます。彼がベランダ越しに外を見ると、マンションのすぐ下で男が大きなハンマーで少女を殴りつけているところでした。しかも犯人と目が合ってしまいます。慌てて部屋の電気を消しますが、男の冷酷な表情が忘れられず、玄関でバットを持って陣取ることになります。
 翌朝マンション前は騒然としていました。おびただしい血の跡の周りには非常線が張られ、多数の警察官が現場を調べています。捜査を担当したジェヨブ刑事は、マンションの住民に対する聞き込みを開始しますがなかなか協力が得られません。自治会は住民が事件に関与してマンションの値が下がることを警戒し、住民に対してマスコミや警察に協力しないよう要請し、同意書にサインさせます。
 サンフンはこの同意書にサインする気にはなれませんでしたが、かといって警察にも協力できません。凶悪な犯人の報復を恐れたからです。犯人に狙われた場合、妻や幼い娘を守れなくなってしまいます。やがてジェヨブ刑事の追及はサンフンにも及びますが、彼は白を切るしかありませんでした。
 事件の夜にエレベーターで出会った女性がサンフンを訪ねてきて、無言電話に悩まされていることを告げます。一緒に省察に行こうと言われますがサンフンは応じません。じつは彼の家でも無言電話が続いており、彼はますます犯人に対する警戒心が強くなっていました。
 そのうち警察は、前歴のある男を犯人に認定し、その男を追いますが、男は自殺してしまいます。事件はそれで解決したかに見えたのですが、ジェヨブ刑事は真犯人は別にいると確信しており、独自の捜査を続けます。そうして絞り込んだ男の写真を持って再びサンフンの許を訪れるのですが、その時には犯人の魔手がすぐそこまで迫っていました。

 少女を生きたままハンマーで殴り殺すという凶悪な犯行を、深夜とはいえ大勢の人が住むマンションの前で行なうという異常者、それを目撃していながら警察に協力できないサンフン。これはひじょうに難しい問題ですね。サンフンが犯行を目撃したのは自宅です。昼間自分が働きに出ている間は妻と娘が自宅にいます。サンフンにしてみれば犯人に追い込まれたような状態なのです。そして無言電話は犯人に自宅を突き止められたことを意味します。それは警察に協力すれば、家族がどうなるか解っているな、という犯人からの無言の圧力です。
 ジェヨブ刑事は独自の捜査で犯人を特定しますが、目撃者の証言が得られないので犯人を逮捕できません。そうする間にサンフンがエレベーターで出会った女性が失踪してしまいます。ジェヨブは懸命にサンフンの証言を請いますが、サンフンは拒み続けます。2人が言い合っているのを、いつの間にか忍び寄ってきた男が物陰から見ています。サンフンと目が合います。彼は大声で何も知らないと叫ぶしかありませんでした。
 もしもあなたが、自宅の窓から凶悪犯罪を目撃し、犯人と目が合ってしまったらどうします? 犯人に自宅を覚えられてしまったとしたら。それでも警察に証言する勇気がありますが? かといって証言しなくても犯人に狙われる可能性はあります。サンフンは警察の追及をかたくなに拒絶しますが、無言電話が繰り返され、飼っている犬のピピがいなくなります。同じマンションに住む別の目撃者の女性が失踪してしまいます。
 警察は別の男を犯人と決めつけ、その男が自殺したことで事件が解決したとマスコミに発表しています。その状況で犯人に狙われていると届け出ても警察は動いてくれないでしょう。

 一緒に観に行った嫁さんは、推理劇だと思っていたようですが、これはどちらかと言うとスリラーです。ジェヨブ刑事が犯人にたどり着くのにはそれほど苦労しません。それに犯人は映画を観ている者の前には堂々と姿を現しており、犯人捜しは完結しています。あとは警察がどうやって犯人を見つけるのか、犯人がどのような行動に出るのか、目撃者はどうやって身を守るのか、それをハラハラしながら見守ることになります。
 冒頭からいきなり残忍な殺人シーンになります。その後もかなりショッキングなシーンが続き、嫁さんは「韓流映画は容赦がない」と半ば嘆いていました。スリラーと知っていたら観なかったとも。
 韓流作品では、テレビ放映されるドラマであっても車の激しいクラッシュシーンや、人が跳ね飛ばされるシーンは当たり前なので、これがスリラー映画となれば、血なまぐさいシーンはさらに濃厚になり、幼い子供さえも凄惨な殺戮に巻き込まれます。筆者のようなスプラッターが好物な人間でなければ、この作品はキツいかもしれませんね。
 しかしながら、これは残酷シーンを目玉にした内容ではありません。猟奇殺人の目撃者となってしまった男が経験する心理的な恐怖を描いた作品です。血まみれがお目当ての人には物足りないものがあるでしょう。

 サンフンを演じたイ・ソンミンと、ジェヨブ刑事役のキム・サンホのやり取りが見どころです。キム・サンホはベテラン刑事としてはかなり異色な雰囲気があり、観客によって当たり役だったか、違和感を覚えた方賛否の別れるところでしょう。筆者は大賛成派です。優しく気のいいおじさんという雰囲気の中に、鋭い鷹の目を持つジェヨブ刑事はなかなかです。かっこいいです。主演のイ・ソンミンは、テレビドラマ「ミセン -未生-」で熱血ビジネスマンを演じましたが、本作では最初は気弱な感じのサラリーマンなのですが、後に妻に「パパかっこいいね」と言わしめる活躍をします。
 同行した嫁さんは、あまりの生々しい描写にびっくり、筆者は予想外のハイテンションな展開と考えさせられる内容に感銘いたしました。
 ありふれた日常において、唐突に重大事件の目撃者になり、家族や自身の安全を脅かされることになる、それはそうそうありそうもない出来事でありながら、いつあってもおかしくないと思える事柄でもあります。

2018年、111分、翌年日本公開。
監督:チョ・ギュジャン。
脚本:イ・ヨンジョン。
出演:イ・ソンミン、キム・サンホ、チン・ギョン、パク・ボム、クァク・シヤンほか。

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