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だからダイビングはやめられない10:バリカサグ編
【随筆】

2019/04/15


 24年間で900本以上のダイビングを経験したベテランダイバー海河童氏によるダイビングガイドブック第10弾です。アマゾンの内容紹介ではガイドブックと銘打っておられますが、筆者のようなスキューバダイビングと宇宙遊泳のちがいも解らぬような者にも楽しめる体験記になっています。
 むかしカレイを追って水深2m以内で溺れそうになった筆者にしてみれば、海底のサンゴ礁に到達するだの、魚群に取り巻かれるだのといったことがらは、成層圏の外で太陽を見るときの注意や、異星人と遭遇した際の対処法といった話しとあまり差異がありません。将来、月へ向かう旅客機が就航し、末期高齢者の自分がそれに搭乗させてもらうこともあるかもしれない、その方がまだ身近な話しです。日本は海に囲まれた国で、筆者の両親や嫁さんは海から遠からぬところに育ち、おかげで筆者も幼いころから浅海で波と戯れたり磯に生息する小動物を観察する機会に恵まれていたにも関わらず、筆者にとって海は火星ほどに遠いところです。
 そんな未知の宇宙にシリンダー担いでスイスイ潜ってゆくダイバーとは、なんとも恐ろしい存在です。スポーツカーの0.3Gほどの加速度で背中を蹴られたほどの衝撃を受けている筆者は、竜宮城に着く前に体が木っ端みじんに砕けてしまうことでしょう。ちなみにシリンダーとはワラワラが酸素ボンベと称しているものの正しい用語で、このことは著者のダイビング入門編で知りました。
 子供の頃「クストー船長航海記」と筆者が記憶しているテレビ番組を毎週楽しみに見ていた筆者は、海のなんたるかは皆目理解いたしませんでしたが、さまざまな海洋生物の奇態については熱心に瞠目したものです。それをテレビ画面を通じてではなく実際に海中に身を投じ生で見るような人とメールのやり取りていどでも交友できるなどとは、じつに貴重な経験です。そう、筆者は著者とメール交換の経験があります、自慢。

 今回の舞台はバリカサグ島。ちょっと京都まで行ってくるわ、のノリで筆者の知らぬ世界へホイコラ出かけてしまう海河童という人はいったい何者なのでしょう。まずバリカサグとは銀河のどこにあるのでしょう。ネットで検索してみますと、フィリピンという国にあるようです。本著の内容紹介にもありますようにダイバーのメッカともありました。ほう。
 本著はガイドブックとありますが、フィリピンへの入国に関することにはあまり触れられていません。そのあたりは著者にとっては解説するのも無駄な基本中の基本なのでしょう。ただ、機内預け入れ荷物23kgまで無料という情報が記載されてあり、これを読んで実際にバリカサグへ行こうという方には大いに役立つと思われます。ダイビング目的でバリカサグ行きを具体的に考えている読者なら、筆者が見落としている情報がもっとあれこれ記述されているかもしれません。

 今回の主役は何といってもギンガメアジと BIDR ですね。ギンガメアジは日本近海でも見られる大型の魚で食用利用もされています。魚屋さんにホイホイ並ぶ種でもありませんけど。トルネードとも称される見事な魚群を形成することでも知られています。BIDR すなわちバリカサグ・アイランド・ダイブ・リゾートというダイビングを主目的としたリゾート施設を訪れるダイバーたちのお目当てもギンガメアジの群れであるようです。
 バリカサグでのダイビングのクライマックスは、ギンガメアジの群れとの接近遭遇、観察、群れへの突入です。作中何度もギンガメアジの名が登場しますし、本著の表紙にもその様子を撮ったベストショットが載っています。
 筆者はむかし無謀にもパスポートを取得し、家族とオーストラリアのグリーン島を目指したことがありました。その際に浅瀬でのシュノーケリングで魚群(なんの魚かは不明)に囲まれたことがありますが、ギンガメアジの群れに突入するとは、その何倍もスケールの大きな経験なのでしょうね。読んでいて目が回りました。うつろな意識の中で、群れの渦中で釣り糸をたなびかせたら1尾くらい釣れるかな、などと思った筆者は、海河童氏にしかられそうですね。
 BIDR は公営の施設だそうで、高級リゾートではないそうです。上級の部屋でないと冷蔵庫もつかないとか。シャワーもちょろちょろしか出ないことを、著者は「ダイバーたるものふんだんな水と石鹸で体を洗って海を汚すなど言語道断であるとの教訓」と表現しています。自然と親しむことの達人は、環境保護の達人でもあります。
 BIDR で食事をオーダーするとかなり待たされ、悪くすると次のダイビングに間に合わなくなるそうです。なので早めのオーダーをとのアドバイスがありました。食事に時間をかけるのは怠け者のすることだ、とむかし人間の筆者は先人より教わりましたが、そうした日本の慣習は外国では通用しないようですね。
 現地は外国人観光客が当然ながら多いわけですが、現地の人はアジア人を見つけると、中国人、韓国人、日本人の順に国籍を尋ねるそうです。これは怒る順番なんですと。すなわち、他国の人間に間違えられて最も怒るのが中国人、次いで韓国人、とくに腹を立てないのが日本人とのことです。日本人のおくゆかしさには好感が持てますね。
 ダイビングと言えば、宇宙遊泳や飛行機からのパラシュート降下とも区別がつかぬレベルの筆者でも、楽しく読め、いろいろ勉強になります。最近、YouTube 動画を漁って国内外を旅した気分になっているうちの嫁さんじゃないけれど、文化事情の異なる異国の島に赴き、紺碧の海に身を投じた気分にさせられます。

 著者は、同行者や旅先で出会った人たちにことごとくあだ名をつけます。彼の得意技でもあります。工藤静香嬢やキムタク、アンガールズといった面々が道連れとして登場し、独特のユーモアあふれる筆致と相まってとても楽しい気分にさせてくれます。
 ちなみに著者の長年のバディ(ダイバーでいう同伴者)は、彼の奥様でもある"こざる"さんで、言葉尻にムキー!とかつけるのは、おそらく著者の創作です。"こざる"さんは、著者のダイビング旅行はもとより体力作りのための登山にも同行するレギュラーキャストです。海河童氏の著書にはもれなく付いてきます(失礼しました)。

 本著は、ダイビングの楽しさを紹介するだけではありません。その危険性と対策についても記述しています。本文中にもわずかの油断で自分の位置を見失い、何も見えない海中で迷子になる恐ろしいシーンがありますが、巻末には安全装備やその有用性、必要性について説明があります。ベテランならではの配慮ですね。安全と環境保護の精神が続輩にきちんと受け継がれなければ文化は途絶えてしまいます。
 海河童氏は日に5回もダイビングしていたそうですが、その後当地のひとりあたりの回数が制限されてしまったそうです。それだけ人気だってことですね。
 ということで、本著のおかげでバリカサグ島のギンガメアジは制覇しました。よかった、よかった。

 余談ですが、ギンガメアジ(銀甕鯵)はところによりギンガミアジ(銀紙鯵)とも呼ばれているそうですよ。

2019年、amazon Kindle。
著者:海河童。

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