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フルメタル・パニック! 踊るベリー・メリー ・クリスマス
【小説】

2019/04/01


 クリスマス・イヴのこと、陣代高校の2年生はと三島記念教育財団から豪華客船によるクルーズ旅行の招待を受けます。千鳥かなめは相良宗介が急に参加を取りやめたことに不機嫌になっていました。彼女の影の監視役レイスに確認したところによると、宗介が言っていた作戦活動の予定はミスリルにはないとのことだったのです。
 そしてパシフィック・クリサリス号に乗り込んだ陣代高校の生徒たちを、またしてもテロリストたちが襲います。武装集団を一目見たかなめは、あろうことか犯人の1人に歩み寄り、彼を強引に引っ張ってゆきます。覆面で顔を覆っていても、彼女にはそれが宗介だと判ったからです。かなめの無謀な行動に、同行していたマオやテッサも正体を明かさざるをえませんでした。
 しかし、本当の敵は別にいて、宗介たちのテロ行為はそれに対応するためのものだったのです。ミスリルはかつてガウルンが残した「バダム」という言葉を手がかりに、アマルガムにたどり着こうと海賊が拠点にしていた島を急襲したのですが、それはハズレで、その後その言葉を解析した結果、パシフィック・クリサリス号が浮かび上がったのでした。
 アマルガムの狙いは、前回の陣代高校の修学旅行を狙ったハイジャックに続いて、ウィスパードである千鳥かなめであることが、船長のハリスを締め上げて判明します。静かに進撃を開始したミスリルのSRT用員に対して思わぬ邪魔が入ります。以前にトゥワハー・デ・ダナンと交戦したこともある原潜パサデナの艦長セイラーが何も知らずに客として乗船していたのです。
 洋上で孤立無援とかしたミスリルと陣代高生にアマルガムの秘密兵器アラストルが迫り、艦長不在のダナンに複数の高速潜水艦リヴァイアサンが迫ります。

 強襲揚陸潜水艦トゥワハー・デ・ダナンの発令所で指揮を執っているテレサ・テッサロッサは、若干16歳にして歴戦の指揮官が舌を巻く名将ですが、艦を離れた彼女は丘に上がった河童も同然で、何もないところで転び、部下からも邪魔者扱いされ、居場所がありません。ウィスパードがらみということで、前線に出てきたのはいいけれど、彼女はまったくの役立たず。宗介たちと共にテロ屋に扮するもまったく迫力がありません。
 偶然事件に巻き込まれたセイラー艦長は、今こそヒーローになる好機と大いに張り切り、ミスリルの足を引っ張ります。たまたま彼に出くわしたテッサは、メイドとまちがわれ否応なく彼に助けられ行動を共にすることになります。そこでセイラーのつらい身の上を聞かされます。生粋の海の男である彼に愛想をつかした妻に逃げられたこと、副官のタケナカがまったく自分を敬わないばかりかバカにしていること。テッサはそれを自分の現在の境遇と重ね、2人は図らずも意気投合してしまうのでした。メイドの世界にもいろいろあって大変なのだなぁ、などと同調するセイラーは、目の前の少女が以前苦い敗北を期したトイボックスこと謎の潜水艦の艦長であるとは知る由もありません。
 セイラーの身の上話しを聞くうちに、彼がかつてテッサの父の部下だったことが判明します。父とセイラーが乗った潜水艦が事故に遭遇した時に救ってくれたのが、イギリス海軍のマデューカスで、テッサの父は感謝とジョークを込めて米海軍のキャップをマデューカスに贈ったのだそうです。今はミスリル西太平洋戦隊の副官を務める彼が被っているキャップがそれだったんですね。

 そしてテッサが不在のダナンに、アマルガムの小型潜水艇リヴァイアサン3機が迫ります。リヴァイアサンは水中戦闘機の異名を持つ恐ろしい兵器で、それを指揮するのはイギリス海軍出身の男でした。彼はかつてマデューカスの部下で、その頃に冷遇されたことを恨みに思っていました。
 ソナー音ですさまじい機動力の敵艦の接近を知ったダナンの発令所は慄然とします。頼みの艦長は不在、しかも3隻の敵艦から魚雷の発射が確認されます。かつてデュークの異名で海軍にその名を轟かせたマデューカス副官は、ここ一番という時にデュークが見せるクセ、すなわち帽子を後ろ向きに被るという動作をします。テッサ自身もうわさでしか聞いたことがないそのクセをダナンの発令所に残されたクルーたちは見ることになります。
 今回は丘に上がった河童と化したテッサに対して、マデューカス中佐が素晴らしい働きをします。普段は口うるさい世話女房のような彼が、歴戦の名称デュークに変身するシーンは見ものです。かっこよすぎて心が震えます。
 
 アラストルが、そしてリヴァイアサンが放った魚雷が迫るパシフィック・クリサリス号の船上で、クルーゾー中尉率いるSRT用員は絶体絶命の危機を迎えますが、我らがヒーロー相良宗介、マオやクルツは、音を上げることもなく淡々と対抗手段を考えて実行します。さすがですね、そしてアーバレストも大活躍。あたかも人格があるようなAIアルに手を焼いていた宗介との間に友情のような関係が芽生えます。
 レイスも巧妙に船に乗っていますよ。どのシーンの誰が彼女なのか、注意深く読んでいないと見逃してしまいます。

 それにしても、アマルガムは恐ろしい組織ですね。明確な縦割り構造を持たず、ネットワークでつながった様々な人間がいろんな方法でテロを仕掛けてくるので、しっぽをつかむのが容易ではありません。しかもラムダ・ドライバ搭載機や、ベヘモスのような超大型ASといった様々な驚異的な兵器を有しています。今回登場したアラストルは等身大の完全自立型ASです。恐ろしいですね。
 劇場版にしてもいいような素晴らしい内容の本作は、残念ながらテレビシリーズにもならず、新作シリーズ「Invisible Victory」のDVDまたはBD購入特典のオーディオドラマに忠実に再現されています。でも、声だけでも迫力満点の名作になっているので、ぜひ聞いてほしいです。

2003年、富士見ファンタジア文庫。
著者:賀東招二。

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