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グリーンブック【映画】

2019/03/07


 1962年、ニューヨークでナイトクラブの用心棒をしていたトニー・バレロンガは、クラブが改装工事で休業になり失業してしまいます。がさつで腕っぷしが強く、口先三寸で人を利用することから、周りからはトニー・リップと呼ばれており、彼自身もそれを快く思っていました。イタリア系移民の保守的な家庭で育った彼は、黒人に対する偏見を持っていましたが、黒人ピアニストの運転士を務めることになります。
 カーネギーホールの上階に居を構えるドクター・ドナルド・シャーリーは、黒人差別の激しいアメリカ南部でのツアーを敢行するにあたり、屈強な男を必要としていたのでした。
 上流社会に生きるドナルドにとって、トニーの無学で礼節のない性格には目に余るものがありましたが、彼のトラブルを解決する腕前には頼れるものがありました。南部でも黒人が利用できる施設を記載したグリーンブックを頼りに、相反する2人の車の旅が始まります。同行する車にはトリオバンドの仲間でドイツ人のアミットとジョニーが乗っています。
 ドナルドの演奏は、招待客を大いに魅了しますが、ホテルやレストランの彼に対する扱いはひどく、町に出ても黒人はバカにされたり冷遇されたりします。それに耐えながら毅然とした態度でツアーを続ける彼にトニーは心を動かされるのでした。

 無学でがさつで、大食いでギャンブル好きのトニーですがとても家族思いで友人付き合いも良く、隣人からは愛されていました。対するドナルドは、天才的なピアノ演奏で多くの人々を魅了し、地位も財産もあり大統領とも知り合いでしたが、その優雅な暮らしの中で常に孤独でした。彼はいかなる差別や暴力にも毅然と立ち向かい、黒人の地位向上に努めていました。
 これまでの暮らしの中で黒人に対する偏見が染みついていたトニーにとってドナルドとの仕事は本意ではありませんでしたが、家族を養うために彼は家を離れて8ヶ月間の旅に出る決意をします。彼は雇い主に対して敬意を払わず、運転し宿泊先を見つけて手配する仕事を淡々と続けていました。運転中の彼は何か食っているか煙草を吸っているか、無駄話をしているかで、ドナルドにとっては不快極まりないものでした。彼は辛抱強くそれに耐え、目にあまる行為に対しては毅然と注意や指示を与えました。トニーは、仕事以外のことをあれこれ言われたくありませんでしたが、ドナルドの一歩も譲らない態度に折れるしかありませんでした。

 トニーは妻のドロレスの希望もあり頻繁に彼女に手紙を書いていましたが、ドナルドはそれにも干渉し、手直しどころかほぼ全文を書き直させるしまつ、ところが以外にもトニーはそれを受け入れ、彼の文章力も上達してゆきます。
 トニーはドナルドの演奏に心を奪われ、差別や暴力に耐え続ける彼を尊敬するようになります。ケンタッキー州では、名物フライド・チキンをトニーに強引に勧められ、しぶしぶそれを手に取るのですが、その味に感動します。そしていつしか2人の間には信頼関係と熱い友情が育まれているのでした。

 1960年代、アメリカではとくに南部を中心に激しい人種差別が根強く残っていました。そんな差別に対して毅然と挑んだ黒人ピアニスト ドクター・ドナルド・シャーリーと、彼を補佐して8ヶ月間のツアーをやり遂げたトニー・バレロンガの実話です。このツアーのあと2人は生涯熱い友情で結ばれていたそうです。つい先ごろアカデミー作品賞、主演男優賞、助演男優賞の受賞が決まりました。
 まじめな人間ドラマです。仕事明けの非番で観に行った筆者は、眠気覚ましのポップコーンとコーヒーで武装して観賞に臨んだのですが、武装は無用でした。とにかくおもしろい。退屈や睡魔と闘っている暇はありません。コメディではないので大笑いすることはありませんし、客席も静かなままでしたが、筆者には笑わない観客がむしろ不思議でした。
 そして泣きました,、悲しいことなんてひとつもないのに。ドン(ドナルド)とリップの友情に感動せずにはおれません。
 ドンとの旅で、リップは視野が大きくなり、人として大きく成長することができました。偏見や差別に対しても考え方が変わり、それは彼の仲間たちにもしっかりと伝わりました。彼の仲間たちもドンを仲間として歓迎するようになります。一方、孤独だったドンには仲間ができ、その大切さを知ることになります。ツアーを終えて帰路についた際、吹雪のせいで車の走行が困難になった際、疲労のせいで睡魔に抗えなくなったリップに代わってハンドルを握ります。クリスマスの夜には絶対にリップを家族の元へ帰らせる、それはドンにとってリップ自身よりも強い思いになっていたのです。

 リップの幼い子供たちは、筆者と同年代の人間です。彼らの親世代の白人は黒人を蔑視する風潮が当たり前でした。しかし彼らにはそれは受け継がれませんでした。現在は黒人の大統領に多くの期待が集まる時代です。そして筆者の親たちの世代は、在日朝鮮人に対する差別的な概念を持っていました。筆者も子供の頃にはそのような話しを聞かされました。しかし現在は、韓国は韓流ドラマやK-POPが日本でも大流行しています。朝鮮人に対して差別的な言動をとっていた親世代の人間自らが、韓ドラにハマっています。
 文化的には世界はひとつになりつつありますが、政治経済のレベルでは相手国を敵視し蔑視し武装を強化する風潮がなくなる気配がありません。金の亡者とは恐ろしいものです。

原題:Green Book。
2018年アメリカ、130分、翌年日本公開。
監督、脚本:ピーター・ファレリー。
脚本:ニック・バレロンガ、ブライアン・ヘインズ・クリー。
出演:ヴィゴ・モーテンセン、マハーシャラ・アリ、リンダ・カーデリーニ、ディメター・マリノフ、マイク・ハットン、イクバル・セバ、セバスティアン・マニスカルコほか。

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