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フルメタル・パニック! どうにもならない五里霧中?【小説】

2019/01/02/01


 短編集第5弾です。いつも戦場の常識を平和社会に持ち込んで騒動を起こす相良宗介ですが、今回はとくに争いごとをテーマにした作品が多かったです。実際の戦場であるトゥワハー・デ・ダナンを舞台にした「わりとヒマな戦隊長の一日」が逆に平和なエピソードになっていました。この最後のエピソードはOVAにもなり、これがまた傑作でした。筆者のお気に入りの一作です。

 純で不純なグラッパー:陣代高校の空手同好会は、実戦を前提とした過激な武術の鍛錬に明け暮れていましたが、彼らが居座っている旧部室胸は、安全面から取り壊しが決まっていました。生徒会の千鳥かなめと相良宗介が立ち退きを宣告しに行きますが、部員たちは出て行って欲しくば自分たちを倒せとすごみます。宗介は例によって姑息な手段を用いて3人の屈強な部員たちを倒すのですが、最後に現れた部長の椿一成はきゃしゃな体つきからは想像できない使い手でした。
 善意のトレスパス:空手同好会の椿一成は、前回相良宗介に敗退したことを根に持ち、決闘を申し込むのですが、それが器物損壊の騒動となり、林水生徒会長の提案により、用務員の大貫善治の手伝いをすつことで雌雄を決することになります。しかしまともな常識の通用しないのは宗介も一成も変わりなく、また新たな騒動を起こしてしまいます。
 仁義なきファンシー:和風美人で清楚な生徒会書記お蓮さんこと美樹原蓮が、じつは家が暴力団であることが判明します。そして宗介と かなめは組の抗争に関わることになってしまいます。美樹原組七代目組長美樹原寛二(お蓮さんの父)は、助っ人として登場した宗介の自信作人型兵器ボン太君を見て、美樹原組も終わりだと、病床で涙します。
 放課後のピースキーパー:公園の使用権をめぐって対立する2つの小学生の男子グループ。抗争はどんどん激化し、公園を挟んだマンションにアジトを設け、公園に侵入する者を無差別に物を投擲して攻撃するようになりました。宗介とかなめは、林水生徒会長のお墨付きを得て、陣代高校周辺の安全保障問題と称し、事態の収拾に向かいます。こういう場合は忍耐強く交渉にあたるべしという戦場のセオリーを導入し、宗介は双方のマンションを行き来し説得を繰り返すのですが、聞き入れられず宗介はどんどん疲弊してゆきます。屈強な戦士を卓越した技で一網打尽にする彼が、小学生相手に大いに苦戦します。
 迷子のオールド・ドッグ:宗介は、自分を尾行する不審な老人に気づき、彼を問いただしますが、ひじょうに重要なブツを入れた鞄を盗まれたとのこと。宗介は例によって壮大な誤解をし、それが大量殺人を可能にする毒ガス兵器だと思い込み、血眼になって捜索することにあります。結末はちょっぴり、いやかなり良いお話しになります。
 わりとヒマな戦隊長の一日:ミスリル西太平洋地区の戦隊長テレサ・テスタロッサがある朝目を覚ますと、トゥワハー・デ・ダナンの中は静まり返り、発令所にも誰もいません。そこへ相良宗介が現れ、これは夢の続きなのだと思い込んだ彼女は、下着にシャツを羽織ったままの姿で彼に抱き着きます。彼女がようやく現実に気づいたときには、宗介は額に脂汗を浮かべて硬直していました。ダナンの艦内が閑散としていたこと、彼女が珍しく寝ぼけてしまったことの原因は、作戦を終えた艦がメリダ島にドッグインしており搭乗員は休暇で、テッサは昨夜マオに酎ハイを飲まされて寝込んでしまったことにありました。戦隊長にあるまじき失態をおかしてしまったテッサですが、平時になると意外な側面が露呈してしまうのは、彼女だけではなかったのです。有事には一部の隙もない厳格な上官たちの人間らしい可愛い側面が明らかになる貴重な一編です。

2001年、富士見ファンタジア文庫。
著者:賀東招二。

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