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俺俺【映画】

2019/01/07


 水野均は、ハンバーガー店で食事している際、隣に割り込んできたウザい男の携帯が自分のトレーの置かれたのを気づいていながらそのまま持ち去ってしまいます。そのうち携帯が鳴り持ち主の母親らしい女の声がしますが、均は携帯の持ち主大樹になりすまします。魔が差して俺俺詐欺を企みまんまと成功するのですが、それからというもの均の身に異変が起こります。
 彼のアパートを訪ねてきた大樹の母は均を大樹だと疑わず、逆に実家の母を訪ねると、そこには彼と同じ顔の均がいて、彼を追い出します。
 しばらくすると実家にいた俺から連絡が来て、公務員の彼はなぜか均の母に息子だと信じられているとのこと、そこへさらに大学生の俺が現れ、3人になった俺たちは小さなアパートを借りて楽園を築きます。
 世の中が俺だけになれば、人間関係の気苦労もなくなる、3人はそう考えますが、やがてそこら中に俺が増殖し始めます。
 均は家電量販店に勤めていますが、そこへ客として来店したサヤカは、均が写真に詳しいと知るととある家の写真を撮ってくる仕事を依頼します。空きビルの一室に設えたサヤカのオフィスに行った均は、彼女の夫から追われることになってしまいます。
 俺たちの楽園に帰り着くと、そこには様々な俺がひしめき合っていました。仕事も人相も性別すらも異なるけれどみんな均と同じ顔をしています。均と公務員の俺は、嬉々として俺を集めてくる大学生の俺に、こんなのは楽園じゃないと諭します。
 すると大学生の俺は、今度はじゃまな俺を殺し始めるのでした。そして世間ではどんどん増殖してゆく俺の削除が始まっていました。

 ゆるいタッチと小さな笑いを散りばめた三木聡作品としては異例の、笑えない奇妙な映画です。彼の作品をあれこれ見ている人にとっては笑える小ネタも随所に用意されているのですが、全体的な雰囲気は心理サスペンスですし、かなりホラーな一幕もあります。
 ホラーなのに、登場キャラはいずれも変てこで笑いを誘います。でも笑えません。面白いと感じるよりもやはり怖さが先に立ちます。
 家電量販店で口うるさい先輩に毎日のように怒鳴られながら淡々とその日その日をやりすごし、均は次第に世間から孤立してゆきます。物理的には孤立していなくて、ごく普通の暮らしを営んでいるのですが、心は現実から離れてゆきます。ただ、これを見ても観客はあまり考えさせられないでしょう。現代社会の大部分の人々が均と似たような境遇にあるか、同じようなことを経験しているでしょうから。現代社会は、独りぼっちがいっぱいなのです。
 むしゃくしゃした思いをぶつける場所もなく、少ない選択肢からハンバーガーを選んでテーブルに着くと、狭いスペースにウザい客が割り込んできて、ウザいしゃべり方で連れと話しだします。うっとおしい限りですが、そいつの携帯が自分のトレイに転がり込み、均はそのままそれを持ち去ってしまいます。これで小さな非日常が手に入りました。
 ところが、それが彼の世界を変えてゆくことになるんですね。何が何だか分からない奇妙な作品ですが、現代社会を象徴しているような内容がとっても恐ろしいのです。
 とにかく、やたらと想像力を駆り立てられる作品でした。

2012年、119分。
原作:星野智幸。
監督、脚本:三木聡。
出演:亀梨和也、内田有紀、加瀬亮、中谷竜、小林きな子、渋川清彦、少路勇介、岡野真也、町田マリー、ふせえり、岩松了、森下能幸、佐津川愛美、松重豊、松尾スズキ、キムラ緑子、高橋惠子ほか。

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