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Citrus【コミック】

2018/12/26


 母が名門藍原学院女子高等学校の理事長の息子と再婚したことから、同校に通うことになった茶髪でギャルメイクの柚子(ゆず)は、お嬢様学校では浮いた存在でした。新しい父翔にも芽衣(めい)という娘がいて、彼女はお嬢様然とした清楚な佇まいにまじめで厳格な性格の持ち主でした。芽衣は、自由奔放で海外に行ったきりの父に代わって藍原学園を継ぐ重責を自覚し、模範的な生徒として全校生徒から慕われ、生徒会長を務めていました。
 藍原家の跡取りとして生まれ育った芽衣には、天真爛漫な柚子がまったく理解できません。柚子の方も新しくできた同い年の妹の厳粛な態度を持て余しています。
 ある時、柚子は芽衣の美しい黒髪やたおやかな肢体にときめいている自分に気づき動揺します。芽衣の方も柚子の型破りな生き方をとがめながらも、彼女を拒絶できないでいます。そしていつしか2人は、同性でありながら互いに恋していることに気づくのでした。
 しかし芽衣にとってはそれは近い将来に終わりを迎えるはかない恋であり、いいなずけと結婚して学院を継ぐという定められた道からは逃れられないと知っていました。対する柚子は、周りに認めてもらい2人が別れずに済む方法が何かあるはずだと悪戦苦闘します。

 女性同士の純愛を描いた少女漫画です。でも著者は名前から察するに男性作家です。そういう時代なのかなぁ、なんて感嘆するのは的外れです。じつは日本における少女趣味を題材にした少女小説あるいは少女文学はその起源が明治時代にさかのぼり、文学界の大家が、少女あるいは乙女を題材にした淡くはかない作品を手がけてまいりました。そしてそれが少女漫画やライトノベルへと継承されているわけですね。こんな安易な説明をすると顔をしかめる人もおられるかもですけど。
 現代の少女漫画は、青春ドラマにおいて広くその手法を採用されています。繊細な乙女心を描いたナイーヴな作品にとどまらず、スポーツや音楽等に青春を燃やす学園ドラマに少女漫画のジャンルは拡大されています。さらにはファンタジーやSF作品にも発展しており、少女漫画はひじょうに大きなジャンルになっています。
 少女漫画の手法はまた、少年漫画に影響を与えるようになり、絵のタッチが繊細で柔らかくなったほか、内容も熱血青春ドラマやヒーローアクションものの中にラブコメの要素が幅を利かせるようになりました。少年漫画なのに少女が主人公の作品も少なくありません。
 現在は、少年漫画、少女漫画の線引き自体が無意味な感じですね。とくに少年漫画なんてジャンルは、果たして存在しているのかどうか怪しいほどです。
 少女漫画は、実写ドラマ化や映画化も実現しやすく、ドラマを観て原作漫画に触れてみたという読者も少なくなく、男性にとってもひじょうに敷居の低いジャンルになってまいりました。そうした中で、百合いわゆる女性同士の同性愛を描いたジャンルは、今でも男性には近寄りがたいもの、往年の少女漫画としての垣根を守っているもの、と言えるのではないでしょうか。

 筆者がこれまでに読んできた百合コミックは、「スクール人魚」や「タンデムLOVER」のような男性作家によるファンタジーものが多く、この「Citrus」も絵やタイトルがいかにも百合な感じだが、サブロウタという作家は男性だろうということで手にしました。2013年1月にコミック1巻が出て6年間、長いおつきあいでしたが、けっきょく純愛ものでした。男のくせによくこんなもの書けるなぁと驚嘆させられるほどの純粋無垢な同性愛ものでした。
 現在もう1本読んでいる「やがて君になる」も百合コミックですが、著者の仲谷鳰は、同人活動をしながらプロとしての作家もやっているという方で、性別は判りません。女性だと思いますが。

 ところで本編の感想なのですが、ひじょうに面白いです。女子校でのお話しで、登場キャラがことごとく女性なのですが、いずれも個性豊かで、様々なやり方考え方で柚子と芽衣のラブストリーに関わってきて、話しを意外な方向へ引っ張って行ったり盛り上げたりします。
 柚子の親友の谷口はるみは、学校では成績優秀な優等生ですが校外では露出の高い私服を愛用しています。柚子の年下の幼馴染の水沢まつりは、狡猾な策士で柚子と芽衣の間を攪乱しようとします。野村寧音は柚子の後輩で、柚子の大ファン、柚子を真似て髪を茶髪にします。桃木野姫子は芽衣の幼馴染で、生徒会副会長。芽衣を慕うあまり柚子とは敵対関係になります。白帆鈴蘭先輩は異常な洞察力で人間を観察してしまうちょっぴり不気味な女性ですが、柚子たちのかけがえのない仲間になってゆきます。
 最初なみんなひとくせあるのですが、付き合ってみるとみんなとてもいい娘です。みんなでワイワイじゃれあって、ネガティヴをポジティヴに変えてゆきます。
 6年間で10巻ですから、各巻の発売には半年からそれ以上待たされます。各巻ほんとうに待ち遠しかったです。そして終刊がひじょうに惜しまれました。
 エンディングがちょっと急ぎ足だったところが、残念です。もう1巻引き延ばせる内容だったと思うぞ。

 今年初めにアニメがスタートし、12話が放映されたらしいです。原作はストーリーのおもしろさ、キャラ立て素晴らしさに加えて絵もたいへん綺麗ですからアニメも期待できますね。ぜひチェックしたいです。

2012〜2018年、一迅社 コミック百合姫 連載。
百合姫コミックス 全10巻。
著者:サブロウタ。

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