kepopput.jpg

クワイエット・プレイス【映画】

2018/11/21


 2020年、宇宙から飛来した獰猛な生物により人類は滅亡を迎えようとしていました。侵略者は視力を持たず代わりに鋭い聴覚を有していました。わずかに生き残った人々は、物音を立てず会話は手話で行ないながら静寂の中で暮らしていました。
 人気のない山間の村で、アボット家の人々は手話で会話しながらひっそりと暮らしていました。食料や暮らしに必要なものを調達しに外出する時には、足音を立てないように裸足で歩きました。
 ある時、父親のリーは息子のマーカスを連れて釣りに出かけます。轟々水音のする渓流では声を出しても侵略者に気づかれることはなく、2人は肉声で会話をすることができました。
 1年前、娘のリーガンは、末っ子のビューに音のする玩具をあてがいビューを死なせてしまいました。そのことを気に病んでいる彼女は家族から孤立しがちで、釣りに連れて行ってもらえないのも父親が自分を恨んでいるからだと思っていました。リーガンはこっそりと家を出て孤独に浸っていました。
 リーにしてみれは妊娠して臨月に入った妻のイヴリンをひとりにしたくなかったわけですが、それがリーガンには伝わらなかったようです。
 独りで家に取り残されることになったイブリンのところへ、おぞましい容姿の侵略者が近づいてきます。さらに間が悪いことに彼女は産気づいてしまいます。恐ろしい悪魔が間近に迫る状況で激しい陣痛が彼女を襲います。

 予告編を観た時「イット・フォローズ」を思い出しました。幽霊でも宇宙人でもない正体不明の“それ”につきまとわれるというシチュエーションホラーです。“音を立てたら即死”そんなキャッチフレーズが、得体のしれない恐怖を彷彿させました。
 ところが実際に本編を観ると、ホラーにはちがいないのですがこれは明らかにSFでした。視力を持たず聴覚だけが異常に発達した獰猛な生き物が宇宙から飛来し、そのせいで人類は滅亡に瀕してしまったというのです。そしてわずかに生き残った人たちが、一切音を立てず常に緊張感に身を置いた状態で暮らしているのです。
 イブリンはそんな状況の中で身ごもり、出産を間近に控えていました。末っ子のビューは1年前に音の出る玩具のせいで怪物の餌食になっていましたから、一家にとっては4人目の子供なのですが、こんな異常な状況の中で妊娠するような行為をいたすなよ、そう思ってしまいました。

 「イット・フォローズ」のようなまったくつかみどころのない恐怖ではなく、SF怪物ものとなると、途端にあれこれ欠点が見えてしまいました。まず、怪物についてですが、視覚を持たず聴覚が異常に発達しているというのは、彼が光のない深海や洞窟の中のような世界の出身なら理解できます。しかし音を立てなければ間近にいても見つからないというのは馬鹿げています。音だけを頼りに狩りをする生物なんて生きて行けるはずがありません。熱や匂いといった感覚を動員して音の発生源が獲物なのか、それとも危険なのかを判断できなければ、彼らは効率的に獲物を見つけることはできないでしょう。
 川の激しい流れや滝の近くだと声を上げても平気ということですが、連続的に大きな音を立てているような環境では、この生物は獲物の声を聞き分けられないというわけです。であれば人間は滝のそばで暮らせば安全にリラックスして暮らすことができるはずです。物静かな場所に居を構えるアボット一家はわざわざ危険に飛び込んで行っているようなものです。
 音しか知覚しない、しかも大きな音の中では獲物を見つけられないような生き物に、人類が滅ぼされてしまったというのも変な話しです。絶体絶命の危機に瀕したイブリンは、怪物と死闘を繰り広げることになりますが、相手は銃があれば容易に倒せる生き物でした。そんなものに強力な火器を有する70億の人類がやすやすと滅ぼされてしまったというのはあまりにも現実味がありません。
 最初の内は正体の判らぬ脅威に多くの犠牲者を出すかもしれませんが、人類は状況を学習し対処法を見つけることができるはずです。静かな場所で人の気配のような音を発生させ、そこに怪物たちを呼び込んで大きな火力で殲滅してしまう、そんな罠を張ることは難しいことではないはずです。映画を観ていれば誰でも気づくでしょう。
 短期間で人類を滅びに追いやってしまった貪食な生き物が、その後もご健在というのもちょっとおかしな話しです。とにかく音を立てたらたちどころに馳せ参じるほどわらわらいる彼らの胃を満たすほど、今の寂れた地球には食料資源が残っていないはずです。映画にはわらわら登場したわけではありませんが、人類を短期間で滅ぼすには大群で攻める必要があったでしょう。人類を食い滅ぼしたあとは急に小食になってしまったのでしょうか。
 それにあれほどのサイズの生き物がどうやって宇宙から飛来したのでしょう。強固な卵の形で隕石にでも乗って飛来し、地球全土で一斉に孵化したのでしょうか。銃でなんとかなるていどの生物が地球のどこかにひっそりと飛来し、破竹の快進撃で地球全土に拡散し人類に圧勝してしまうというのも考えにくいです。

 リーは何やら補聴器みたいな装置で、怪物の耳をあざむいて通信する手段を研究していたようです。娘のリーガンがそれを身に着け、図らずも怪物が嫌う音波を発生させることに成功します。これさえあればもう怪物なんか怖くない、そう思いきや、その装置が活かされることはありませんでした。残念です。
 絶望的な世界に、また新たな命が産声を上げます。どんなに優れた胎教をほどこしたとしても、泣くのが仕事の赤ん坊を黙らせる手立てはありません。これに対して一家は絶妙な策を講じますが、一時しのぎに過ぎないようです。赤ん坊の誕生は新たな危険を一家にもたらしてしまいました。
 滝の近くに引っ越すことをお勧めします。

原題:A Quiet Place。
2018年アメリカ、95分、同年日本公開。
監督、脚本:ジョン・クラシンスキー。
脚本:スコット・ベック、ブライアン・ウッズ。
出演:エミリー・ブラント、ジョン・クラシンスキー、ミリセント・シモンズ、ノア・ジュープ、レオン・ラッサムほか。

コメント
コメントする








   
この記事のトラックバックURL
トラックバック

目 次
能書き

思うこと全般

けぽっぷ体験

アイドルのこと

韓流映画

番外編


索引 韓流映画&番外編





      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     
<< December 2018 >>

サイト内検索

NEW ENTRIES










recent comment

links

プロフィール

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM