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メイド産業に内包された性風俗

 かつて、多くのオタク男子とオタク女子の出会いを取り持ち、オタク文化を健全でより明るい雰囲気に導くことに貢献したメイドさんですが、メイド店と風俗店との類似性については、初期の頃からしばしば問題になっていました。オタクたちにしてみれば、メイドさんはメイドさん以外の何者でもなく、ウェイトレスがメイドのコスプレをしたものなどではあろうはずもないのですが、世間一般の定義は、メイドのコスプレをしたコンセプトショップということになります。それはしばしば、風俗店におけるコンセプトと同一視され、けっきょくは可愛いメイドが目当ての風俗店代行なんじゃねぇのか、そんな懸念を抱く人は少なくありませんでした。社会の風紀を取り締まる警察関係者も、ウェイトレスは注文を取って商品を届けるという給仕をするスタッフであって、接待業はしてはならねぇ、コーヒー混ぜ混ぜし、オムライスにお絵描きだのは、ウェイトレスの本分を越えているのではないかと目を光らせていました。
 やったもん勝ちで通ってしまった、混ぜ混ぜやお絵描きも、それにとどまっている内はまだしも、ご一緒にラブ注入とかっていかがなものだろう。客とのオタトークにしても、喫茶店のウェイトレスが常連客に世間話の一言も語るの延長と思えば認めざるをえないが、そのまま行き過ぎたことになっちまわないのか。あるいはメイドさんとチェキって、ふつうの喫茶店のウェイトレスはしないだろう。このように濃密なコミュニケーションは、客の勘違いを招き、延いては店側も過剰なサービスを提供することになりかねない。ましてリフレ店ともなると、客との一時的接触が濃厚すぎて、高校生可の仕事としてどうなんだろう……。
 メイド店では、客の誤解を招かないために、当店は風俗店ではないという文言を掲出し、風営法に抵触するようなサービスの強要があれば警察に通報するとも表記して自己防衛していました。
 実際、メイドさんのお店と風俗店のちがいについて、どう思うよ? 筆者はオタク仲間とそういう議論をしたことがあります。そんなこと言ったら、メイドさんも真っ青な超可愛い制服を着用した某ファミレスはどうなのさ? ナースだって、フライトアテンダントだって、中華料理店のチャイナ服だって、婦警さんでさえ、萌え要素たっぷりなんじゃねぇの? そんな意見が飛び交いました。確かにむかしから看板娘という言葉もあるように、可愛い女子店員の存在は、接客力アップの重要アイテムであると共に、女性ならではのソフトな対応が、顧客に安心と信頼を与え、そのことと風俗店とを業種混同するのは、よほどの変態でないと思いもつかないことでした。
 余談になりますが、筆者の勤める鉄道会社でも最近では女性スタッフを雇用するようになり、彼女たちの女子力が鉄道の雰囲気を塗り替えました。同時に男性スタッフならではの安全に対する安心感信頼感も再認識していただけることとなり、女性スタッフ導入は、大変に良かったんじゃね? 男女雇用機会均等法万歳ということに相成ったとわけです。女性鉄道員を“萌え”の対象にするなんて変わり者は、さすがにいないだろうと思っていましたが、鉄道各社に女性スタッフが充実してくると、鉄道娘なんてフィギュアが大ブレークし、筆者は驚きのあまり口が菱形になっちまいました。……鉄道娘アニメ化希望。
 メイドさんのお店は、言わば看板娘だらけで、それが飲食店の本分を越えちまってるってわけ。越えちまっていたとしても、それで店の風紀を乱していなければまったく問題ないわけです。日本橋のメイド店では、メイドさんをどんなにたくさんやとっても、人件費分だけ商品のコストを下げると、客は納得しません。関西人はお得感がないお店には来店しません。秋葉の関東人のように「メイド店は、女の子雇うのに経費かかるから、レトルトカレー1杯2000円でも仕方ないよね」なんて言ってはくれないのです。
 こんな状況では、オタク客だけを当て込んでいたんでは商売あがったりだぜ、というわけで、メイドさんのお店は、アニメに詳しくない一般の方でもお帰りできますのよ、という方針を掲げ、一般人の集客にも早くから成功しました。メイド店の前身とも言えるアニメ系コスプレカフェが、繁栄に至らなかったのは一般人を寄せつけないという悲しい性のせいでしょう。  少しばかりリッチな壮年層中年層の集客に味をしめたメイド店のオーナーは、いつしかメイドさんの原点がオタク文化であることを忘れ、オタク女子の採用よりも、ルックスの良い女子の採用に重きを置くようになり、やがてオタクなメイドさんはどんどん姿を消して行きました。メイドさんにアニトークを振ってもついて来ないし、フィギュアを見せると引きつり笑いされるしで、オタクたちの足はメイド店から遠のき、おっさん客が増えて行きました。
 そして、長引く不況。メイド店のオーナーたちは、思うように集客できないことを、不況とメイドブームの終焉のせいにし、不運を呪いました。オタク不在のメイド店のスタッフ募集に応じる女子も様変わりし「メイドの格好したら、時給いいんですよね?」なんて娘ばかりが来店するようになり、過剰なサービスも厭わないという勇猛な女子が増えていったわけです。  そして2012年あたりから、風俗店まがいのサービスを提供する店が急増し、とうとう警察から、売春斡旋の出会い系の店としてメイド系のコンセプト店が査察を受けたり、摘発されたりするようになってしまったわけです。優良店を貫いてきたメイド店までもが、風営法の営業許可を取得するようになり、今では、メイド店は高校生が安心して働けるお店とは言いがたい、と言わざるをえない状況にまで成り下がってしまいました。
 メイド店で行なわれているサービスの数々が接待に当たる可能性もある、多くのメイド店が脱法風俗店であると言われても仕方ない。だからメイド店は摘発を受ける前に風営法の営業許可を取りましょう、法律事務所もそんな提案をメイド店に持ちかけるようになりました。  風営法の営業許可を取ると、未成年者は就業できませんし、未成年の客も来店できません。メイド店はパチンコ店と同じような大人の持ち物ということになります。
 メイド店で長く勤めたある女性が、筆者に以下のように話してくれました、メイド店が高校生の求人を打ち切ると、家庭の事情で働かざるをえない娘たちまで職を失う、格差社会と不況が、未成年者の就職の増加を余儀なくしているというのに。また、べつのメイドさんは、オタロードで客引きしている厚化粧のギャルメイドを、人々が非難の目で見ていると、自分たちもメイド服を着ているということで同様に見られているのかもと思ってしまうと嘆いていました。
 今後、メイド店の風俗店化は進んでゆくのでしょうか。風営法の営業許可を取るメイド店の他にも、チェーン店に経営権を譲渡するお店、業種替えするお店もチラホラ。そしてメイド店イコール風俗店という認識が広まれば、電気街としてはメイドさんにそばにいて欲しいと思わなくなるでしょうし、商工会もストリートフェスタでのメイドパレードを取りやめようかと思うかもしれません。
 メイドさんがオタロードから姿を消す日が来るのでしょうか。そうなれば、電気街での待ち合わせや飲食、トイレはどこに頼ればよいのでしょう。メイドさんがオタク事情の情報整理役を果たさなくなった昨今、筆者もわざわざ電気街に出向く必要性を感じなくなりつつあります。オタクアイテムも電化製品も、通販や梅田の大型店で事足りるし。

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