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オズランド 笑顔の魔法おしえます。【映画】

2018/11/16


 一流大学を出て大手ホテルチェーンに就職した波平久瑠美は、東京で企画の仕事がしたかったのですが、いきなり熊本のグリーンランドという遊園地に赴任させられてしまいます。理想とはあまりにもかけ離れた職場に意気消沈する久瑠美ですが、それに追い打ちをかけるように、任される仕事と言えば園内のゴミ収集、動物の糞の相似と雑用ばかり。彼女の教育係の小塚慶彦に不満をぶつけたり、あれこれ企画書を提出したりするのですが、ぬかに釘で、まったくとりあってもらえません。おまけに波平(なみひら)を読み違えられ、制服の刺繍は“なみへい”になっており、園内での彼女の呼び名は なみへい です。
 ひょうひょうと笑い、仕事も適当に見える小塚は、オズの魔法使いの異名を持つ企画の天才で、その企画はことごとく成功させ、主客率も大幅アップさせた伝説的な社員なのだともっぱらのうわさでしたが、久瑠美にはのん気な普通のおじさんにしか見えません。日々課せられる不毛な雑用もいじめに見えてきます。
 彼女の夢は、MVP社員に選出され、東京の本社に返り咲くことでした。ところが、陽気で和気あいあいとしたスタッフたちと仕事をしているうちに、彼女は自分の情熱と能力を開花させてくれる職場はここ以外にないと確信するようになるのでした。
 ある時、東京在住の久瑠美の恋人が訪ねて来て言います。ここはダメだな、集客力も弱いし広大な敷地も生かされていない。でもその頃には、久瑠美の思いはここにしかありませんでした。

 原作の小森陽一は、グリーランドに勤務したことのある知人から聞かされた遊園地の舞台裏の話しから、この物語を思いついたのだそうです。また主人公の波平久瑠美は女優の波瑠をイメージしており、波瑠を主役に映画化されたことは、原作者にとっては理想だったわけです。この小説はまた「ふしぎの国の波平さん」のタイトルで映画化に先んじて漫画化もされています。

 華やかに見える遊園地も、その舞台裏では日々ハプニングやトラブルとの戦いです。お客様の前では常に笑顔、けっして走らない、その鉄則を遵守しつつ迅速に問題を解決して行かねばなりません。普段は容器に冗談を飛ばしているスタッフたちのプロとしての手腕が光ります。
 園長はゴミの片づけが大好き、新人スタッフには園内のゴミの回収をさせる、その意味を知った時、久瑠美は
自分が携わっている仕事の素晴らしさに気づくのでした。小塚もいじわるで久瑠美の企画書を無視していたわけではありませんでした。

 それにしても、この作品に描かれたグリーンランドのような職場が、現在の日本に実在するのでしょうか。グリーンランドは実在し、ここに描かれたお話しも実際に起こったことをモデルにしているそうなのですが、もしも実際のグリーンランドの職場の実態が、映画の内容と変わらぬならば、それは驚異的なことです。
 現在の日本の企業は、大株主と経営者(これも株主)がマフィア化し、業績争いと社員を使役して搾取することしか能がなく、現場や社員の意思を尊重し評価することはありません。現場を尊重しないということは顧客をも軽視すると言うことですが、それが日本の企業の体質です。従業員は少なく、仕事は増やし給料は下げる、水揚げは経営者のもの、従業員の生産性など評価に値せず、すべては経営の手腕、社員はその恩恵にあやかっているに過ぎない、それが経営の考え方です。
 聞いた話しなのですが、あの東京ディズニーランドさえもが顧客満足度の低下に悩み、経営は最近は魔法にかかった社員が減ったと嘆いているそうです。日本のトップダウン方針で社員を魔法にかけられるはずもありません。むかし読んだディズニーの経営に関する本では、優れた現場主義について書かれてあり感心させられたものですが、今は経営者自身が魔法を失っているのでしょう。

 日本は世界に例を見ないほどの高齢化社会で、それをどう乗り切るのか、世界が注目しているそうですが、経営者の思惑のみで社員を競わせ、格差をつけ、国もそれを支援して弱者を切り捨て、富の正しい分配をしない社会制度が長続きするわけがありません。
 現在まともな収入を得ている日本人は、まもなく定年を迎えようとしている旧時代の生き残りか、投資等で一時的な不労所得で潤っている一握りの人たちだけです。そしてさらにその中の一握りが富のほとんどを独占し、使う術もなく蔵の中で眠らせ、経済を停滞に導いています。不平等を絶対に認めないとは申しませんが、現状のような富の分配では遠くない将来国の経済は破綻します。
 そんな現代日本で、このような作品が造られ上映されることは、明るい未来に対する一縷の望みですね。国民の皆さん、もっと頑張りましょう。恐ろしいのは悪しき経営者や政治家ではありません、国民の無関心です。無関心は悪意や敵意よりもはるかに質の悪い罪悪です。

2018年、106分。
原作:小森陽一。
監督:波多野貴文。
脚本:吉田恵里香。
出演:波瑠、西島秀俊、岡山天音、深水元基、戸田昌宏、朝倉えりか、久保酎吉、コング桑田、中村倫也、濱田マリ、橋本愛、柄本明ほか。

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