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響 -HIBIKI-【映画】

2018/09/24


 文芸誌「木蓮」の新人賞に手描きの応募作品が届きます。規定では応募はネットのみでしたので、その原稿は破棄されます。編集員の花井ふみが廃棄書類の山からそれを取り上げ、目を通してみたところ、作品に大きな力量が感じられ、彼女はそれをパソコンで打ち直し、応募作品に加えることにします。鮎喰響(あくい ひびき)という署名だけで連絡先もない原稿を、ふみは強引にねじ込みますが、作品は最終選考まで残ることになりました。
 鮎喰響は、じゃっかん15歳の高校生。不良のたまり場になっていた文芸部部室を暴力的なやり方で奪還した彼女は、部長の祖父江凛夏(そふえ りんか)らと、淡々とした部活を開始します。
 ベストセラー作家祖父江秋人の編集担当だった ふみは、作家の家を訪れた際に娘の凛夏と共にいた響に出会い、謎めいた投稿作品「お伽の庭」の作者を直に知ることになります。
 デジタル作品のみ受け付けるという応募規定も読まず、連絡先も記載しない響の行動は常軌を逸していいましたが、それ以上に彼女の人格は異常でした。目上の者に敬意を払わず、気に入らないことがあるとすぐに暴力をふるいます。「木蓮」の新人賞を響と共に受賞することになった田中を「お伽の庭」を読まずに批判したということでパイプ椅子でなぐって負傷させ、それを雑誌記者に動画ですっぱ抜かれてしまいます。
 父の名を借りて作家デビューを果たした凛夏ですが、その作品を響に酷評され、2人は絶好状態になってしまいます。凛夏の作品は芥川賞をのがし、「お伽の庭」は芥川賞・直木賞W受賞という快挙を遂げます。響の素行問題から出版社は彼女の作品を扱うことをためらいますが、絶大な人気に圧されて出版を決断します。
 「お伽の庭」は。初版から100万部を売り上げる人気を博すことになります。

 無表情で行動のまったく読めない天才作家鮎喰響の登場です。思ったことはためらわずに口にし、それで相手を怒らせても意に介さない。目上を敬うこともなく、大先輩の作家の作品を平然と酷評し、相手の言動が気に入らなければ暴力を揮う。ものを投げつけるわ、不意打ちの跳び蹴りをくらわすわ。その結果どうなるかなど何も考えていません。
 しかしなぜか、彼女に暴力をふるわれた人たちは、彼女を責めることなくその作品を絶賛します。パイプ椅子で顔をなぐられた田中も、最近の作品をこき下ろされた鬼島も彼女の味方になってしまいます。文芸部の部室を乗っ取っていた不良のタカヤも部員に納まり共に部活に励むようになります。
 彼女はまた自らの危険にも頓着せず、他人に言われるままに学校の屋上から飛び降りたり、列車の接近する踏切に進入したりして周りを驚かせます。また、新人賞や芥川賞、直木賞の受賞も響にとってはまるで他人事で、彼女はそれを淡々と受け止め、もう次の作品に思いを巡らせています。
 工事現場で汗を流しながら10年も作家活動を続け、いまだに芥川賞をとれない山本春平が列車の踏切前で自殺を考えているところへ響が出くわすシーンも印象的です。処女作が100万部を売り上げてしまう15歳の少女との劇的な出会いは、山本の人生を変えることになったかもしれませんね。

 この作品は何が言いたかったのでしょう。ふとそんなことを考えました。あまりにも傍若無人で尋常でない15歳の少女。天才とはそうしたものなんだよ、変わり者であることが天才の証でもあるんだよ、そんなことを言いたいのだとしたらそれはあまりにも虚しすぎます。天災なんだから、変人でも許してね、そんなこと言われたら凡人の我々は困ってしまいます。
 響の小説が卓越しているのは、彼女の尋常ならぬ行動とは無縁ではないのでしょう。彼女は濁りのない目で物事を直視し、その感性でものを見てものを書いているのでしょう。その姿勢が、周りには奇異なものに映ってしまう、常識や社会通念を学習した人たちにとっては許容しがたい言動や行動だということになってしまうのでしょう。
 でも、これから響も少しは常識を学ぶべきですね。

 エンディングはいささか物足りないものでした。なんだかうやむやの内に終わった感があります。
 日本の名だたる文学賞を総なめにした「お伽の庭」とはどんな作品だったのでしょう。最後にその一節でも公開してもらいたかったものです。
 それと、芥川賞にノミネートされた山本春平の「豚小屋の豚」の内容もひじょうに気になりました。響は、彼の作品を絶賛するかもしれない、根拠はありませんが、ふとそんなことを思いました。

2018年、106分。
原作:柳本光晴。
監督:月川翔。
脚本:西田征史。
出演:平手友梨奈、北川景子、アヤカ・ウィルソン、高嶋政伸、柳楽優弥、野間口徹、小松和重、黒田大輔、板垣瑞生、小栗旬ほか。

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