kepopput.jpg

カメラを止めるな!【映画】

2018/08/21


 古い工場のような廃墟で映画の撮影が行なわれています。ゾンビ映画の撮影がクライマックスを迎え、青白い顔をした青年ゾンビが若い女性に迫ります。女性はついさっきまで恋人だった彼の名を呼びながら、目を覚ませと懇願しますが、手には斧を持ち後ずさりながらも応戦する構えです。
 ゾンビがいよいよ女性に迫ったところで「カット」の声がかかり、監督が乱入します。ひげ面の監督は、鬼の形相で女優に詰め寄り、死が迫ってる本物の恐怖はあったか、出したらウソになる、出すんじゃない!出るものだ、もっと本物をくれよ! と怒鳴りつけます。加えて、お前の人生がウソばっかりだから本物の演技ができないとののしります。
 ゾンビ役の男優が、言い過ぎだと仲裁に入ると、監督の怒りの矛先が今度は男優に向けられます。これは俺の映画だ、だいたいお前はリハの時からグダグダいいやがる。
 見かねたメイク担当の女性が、休憩入れようと一喝、監督もようやく引き下がり建物の外に出て行きます。
 このシーンはこれで42テイク目。廃墟に残った俳優2人とメイク担当は、小声で監督をののしり、それから世間話を始めます。それにしても、よくこんな場所見つけましたね。監督、必死で探したらしいよ。それよりもここ、妙なうわさがあるんですって。ここは戦時中軍の実験施設で、死体を蘇らせる実験をしてたらしいのよ。それって、まんま今撮ってる映画じゃないっすか。
 そして、うわさを裏づけるように、外にいたカメラマンが青白い顔をして助監督を襲い、食いちぎられた腕が廃墟の中に飛んできます。廃墟の中の3人は最初は冗談かと思っていましたが、どうやらそうではなさそうです。本物のゾンビに襲われ、逃げ惑う俳優とスタッフ。そこへ騒ぎを聞きつけた監督が現れます。恐怖に怯える女優の顔に自らカメラを向け、監督は嬉々として叫びます。これが映画だ!撮影は続ける!カメラは止めない!

 ゾンビが出るといううわさの廃墟で、ゾンビ映画を撮っていたら、本物のゾンビが出た! そんなお話しです。で、この作品にすべてを賭けていた監督は、ゾンビに襲われる俳優の迫真の演技に狂喜し、カメラを回し続けろと絶叫します。作品を成功させたい監督には、もはやゾンビなんて見えていません。ゾンビよりも恐ろしい監督です。しかし女優もいつまでもピーピー泣いているわけにはゆきません。メイク担当だって日頃護身術を習っています。ここで、みすみすゾンビに食われてたまるかと、反撃に打って出ます。
 携帯もつながらない辺ぴな廃墟では、助けを呼ぶこともできません。果たして彼らは、無事に脱出することができるのでしょうか。

 上述の説明だけでは、この映画の面白さはあまり伝わらないでしょう。万が一にも、面白そうだと思った読者はあまいです、あまあまです。この映画はゾンビ取りがゾンビになったというパニック映画ではありません。監督の作品に対するほとばしる情熱、俳優の映画へのこだわり、そんなものがあふれでているのです。一度は女優を辞めたものの、映画の現場に居続けるスタッフの思い、酒で失敗し愛する家族と別れてしまった男の悲哀、それぞれの思いがこの映画には集結しています。
 監督の娘も映画人ですが、父親譲りの情熱から現場で暴走しがちになり周りからうとまれています。否、普段はいたって温厚な仕事ぶりの父親の方が娘の情熱をもらったのかも。
 上述のストーリーのどこに、そうした群像劇が盛り込まれているのかと疑問を持たれたら、とにかく作品を観てください。そして笑って泣いてください。

 無名の俳優をオーディションで起用した低予算作品でありながら、公開されるやいなや口コミで絶賛の声が広がり、上映館がどんどん増えました。
 筆者がここに記する感想は、いつも時期外れで、これを読んで映画を観に行こうと思った時にはすでに遅く、ビデオを発売を待たねばならないといったありさまです。こんなブログろくに読む奴いねえだろう、そんなノリで半分自分のために書いているようなところがあるのですが、この作品に関しては、今後もぞろぞろと上映館が増えて行くことまちがいなしです。来月以降も上映スケジュールを調整してこの作品の公開をねじ込んでくる映画館がどんどん出現します。なのでネットを見て探せば、今からでも映画館で観賞することができます。
 ほんとすごい映画です。多くの映画ファンがリピーターになります。映画なんかほとんど観ねぇ人が映画のとりこになります。製作サイドは興行収入がどんどん増えて、DVDもどんどん売れます。
 ネットで映画情報を調べていて、なんかおもしろいらしい、その程度の興味で観に行きました。映画が始まっても最初のうちは、とりたてておもしろいとは思いませんでした。ところがじゃ……。

 恐怖映画が苦手という人は少なくなく、ゾンビが出てくるというだけで観賞対象外になるかもですが、冒頭からいきなり登場するゾンビをとりあえず我慢して観てください。あなたの心臓をえぐるような恐怖シーンはありませんから。怖いよりも笑えますから。ゾンビが登場しますが、これはそもそも恐怖映画ではありません。人間愛にあふれ、達成感を満喫できる熱血青春映画です。
 ゾンビのどこか、青春映画なんだって? 筆者も観ていて最初のうちはそう思いました。

2017年、96分。
監督、脚本:上田慎一郎。
出演:濱津隆之、真魚、しゅはまはるみ、長屋和彰、細井学、市原洋、山俊太郎、大沢真一郎、竹原芳子、吉田美紀、合田純奈、浅森咲希奈、秋山ゆずきほか。

コメント
コメントする








   
この記事のトラックバックURL
トラックバック

目 次
能書き

思うこと全般

けぽっぷ体験

アイドルのこと

韓流映画

番外編


索引 韓流映画&番外編





    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930 
<< November 2018 >>

サイト内検索

NEW ENTRIES










recent comment

links

プロフィール

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM