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アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅【映画】

2018/07/21


 父から譲り受けたワンダー号で3年に及ぶ航海を終えてロンドンに帰還したアリスは、母が生活苦から自宅の所有権をヘイミッシュに譲渡したことを知ります。アリスの元婚約者のヘイミッシュは、ワンダー号と引き換えに家の所有権を返却し、アリスを自分の会社の事務員として雇うことを提案します。
 そんな折り、蝶のアブソレムがアリスの前に現れ、彼女は再びアンダーランドへと旅立ちます。そこではかつての仲間たちが意気消沈してアリスを迎えます。聞けば帽子屋マッドハッターが生きる気概をなくして自宅に引きこもってると言います。アリスがマッドハッターに会いに行くと、彼は死んだはずの家族が生きている証拠を見つけたことを彼女に告げます。しかしアリスは、亡くなった家族を救う術はないと悲しい顔をします。マッドハッターは彼の言うことを信じない君はアリスじゃないと落胆し、そのまま病床に伏してしまいます。
 白の女王にそのことを相談すると、1つだけ方法があることが分かりました。それは時間をさかのぼり、マッドハッターの家族が失われる事件を阻止すること。アリスは時間を司るタイムの城にあるクロノスフィアを拝借し、過去へ向かおうとします。時間をさかのぼり、過去の自分い出会うと世界は崩壊してしまいます。この冒険はアンダーランドの住人には不可能な、アリスにしかできないものでした。
 タイムの城に忍び込むことに成功したアリスは、クロノスフィアを貸してくれるように頼みますが、タイムはクロノスフィアが大時計を離れると時間の秩序が失われるといってアリスの申し入れを断りますが、城を訪れた赤の女王にタイムが気をとられているすきに、クロノスフィアを奪い、過去へ旅立ちます。
 タイムは、城の機械たちに大時計の制御を命じ、自らアリスを追います。
 マッドハッターの家族は、赤の女王がドラゴンを使って世界を焼き滅ぼそうとした際に、その火災に巻き込まれて亡くなったのですが、そもそも赤の女王がそんなふうになってしまったのには、姉妹の白の女王との幼い頃のエピソードが原因でした。そのことを突き止めたアリスは、姉妹の幼少の頃に飛びますが、けっきょく過ぎ去った歴史は変えられないことを思い知ります。
 タイムによって1度は現実世界へ送り返されてしまうアリスでしたが、マッドハッターの家族がじつは死んでおらず、赤の女王に捕らえられたことに気づくと、再びアンダーランドへ飛び、マッドハッターの元へ急ぎます。

 ルイス・キャロル原作の「不思議の国のアリス」はあまりにも有名ですが、本作はそれを題材に原作のその後の世界を描いたオリジナルストーリーの第2弾です。このシリーズでは、ルイス・キャロルの名は原作ではなくキャラクター原案とされ、「不思議の国のアリス」のキャラクターたちがそのまま登場します。原作のシュールな世界では、キャラたちの描写は表層的なものになっていますが、本作ではマッドハッターや2人の女王たちの過去が明らかになり、キャラたちに命が吹き込まれます。原作ではキャラクターたちはいずれも意味不明な作り物の存在で、アリスはそれに振り回されるわけですが、このシリーズでは、アンダーランドの住人にも過去と経歴があって、とても人間味があります。
 マッドハッターとその家族、女王たちが両親と暮らしていた幼い頃のエピソード、それは原作にはないお話しで、このシリーズに人間的な肉づけを与えています。

 マッドハッターの父は王家御用達の帽子職人で、彼も父とその仕事を誇りに思っていましたが、厳格な父は厳しくて優しい言葉のひとつもありません。それで彼は父が自分のことを嫌っていると思い家を飛び出します。子供の頃のマッドハッターは小さな帽子を自作し、それを父に見せるのですが、父は帽子作りは遊びではないと言ってそれを棄ててしまいます。
 ところが最近になって、マッドはその帽子を見つけます。父が捨ててしまったはずの帽子の発見は、彼に死んだはずの家族の存命を示唆するものでした。しかしそれが家族が生きている証拠にはならないとアリスは最初考え、時間をさかのぼる旅に出るわけですが、その旅で彼女はマッドの家族が死んだのではなく赤の女王に捕らえられたことを知ります。
 僕には解る、家族は生きている。マッドのその言葉を信じられなかったことをアリスは悔い、再び彼を訪れると病床の彼は顔色がなく、まさに息を引き取ろうとしていました。アリスは彼を信じると明言し、家族を救い出そうと勇気づけます。するとマッドの顔色が戻り、やっぱり君はアリスだ、そう言って笑顔を見せるのでした。

 この作品は、豪華絢爛なアンダーランドの冒険を通じて、信じること、あきらめないことの大切さを教えてくれます。過去は変えられない、でも家族が亡くなったわけではないのだとしたら、救う方法があるはずです。肥大化して市民の笑いものになった赤の女王の頭も元には戻らない、それでも希望はあるのです。白の女王を妬み続ける彼女のすさんだ心を氷解させるために、白の女王も勇気を出します。

 前作の冒険で勇気を得たアリスは、現実世界での航海でも、不屈の精神で苦難に挑戦し、無事に帰還を果たしました。はるか中国にまで渡った彼女は、大きなビジネスチャンスをロンドンに持ち帰りますが、母は経済的に貧窮し、元求婚者ヘイミッシュの腹いせに家を取られようとしています。部下を促し危険な航海を乗り越えたアリスの前に、家族問題がさらなる難関として立ちはだかります。そこへ降ってわいた2度目のアンダーランドの冒険、それは彼女に新たな勇気をくれました。そして偉業を達成した娘を、今度は母が信じる番でした。……アリスの冒険は現実世界とアンダーランドの間で、まだまだ続くようです。

原題:ALICE THROUGH THE LOOKING GLASS。
2016年アメリカ、113分、同年日本公開。
監督:ジェームズ・ボビン。
脚本:リンダ・ウールヴァートン。
出演:ミア・ワシコウスカ、ジョニー・デップ、アン・ハサウェイ、ヘレナ・ボナム・カーター、サシャ・バロン・コーエン、リス・エヴァンス、アラン・リックマン、スティーヴン・フライ、マイケル・シーン、ティモシー・スポールほか。

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