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万引き家族【映画】

2018/07/19


 再開発が進む東京のとある下町に取り残された古い家に、柴田家の人たちはひっそりと暮らしていました。治は日雇い労働者、妻の信代はクリーニング店でパート、信代の妹亜紀は女子高生専門の風俗店でバイト、息子の祥汰は小学校に通わず、父と共に万引きをして家族に備品を提供していました。そして年金暮らしの初枝。一家は小さな平屋でザコ寝状態の暮らしでしたが、それでも家族仲よくそれなりに幸せでした。
 ある夜、治と祥汰は団地のベランダで独りきりの少女を見つけ、買ったコロッケを与えます。少女が親から虐待を受けていることを悟った治は彼女を連れ帰り、信代はそのことに腹を立てますが、少女が体中傷だらけであるのを見ると、少女を家で面倒みることにします。
 少女ゆり はすぐに家族と溶け込み、明るさを取り戻し、祥汰にくっついて出歩くようになります。ゆりの家族は彼女が行方不明になっても捜索願も出さず、彼女はそのまま柴田家の家族になりました。

 一家を支えているのは、治の日当と信代のパート代、それに初枝の年金ですが、あるとき治は仕事中に足を折ってしまい、信代はリストラされ、初枝は亡くなってしまいます。しかしそれでも家族は少しも悲観的にならず、平然と生きています。じつは一家はわけありで他人同士の寄り合いでした。信代はゆりの火傷の痕に、自分が家族に虐待されていたところを初枝に拾われた過去を思い起こします。亜紀も失踪中の娘ですし、祥汰も治の実の息子ではなく、祥汰は治のことをなかなか父さんと呼べないでいます。
 しかし柴田家の綱渡りのような危うい暮らしが、ずっとこのまま続くわけはありませんでした。祥汰が怪我で病院に搬送されると、家族のことが警察の知るところとなり、たちどころに世間に明るみにされてしまいます。治と信代は子供たちを誘拐した悪人に祭り上げられ、初枝は他殺の疑いが持たれます。子供たちを虐待したり捨てたりした家族は、被害者として同情されることになります。

 ゆりは残忍な虐待者の元へ返され、祥汰は施設へ送られます。治と信代を悪人呼ばわりし、ゆりや祥汰をなだめる警察官たちのおためごかしが、ひじょうに残酷で恐ろしく見えます。冷酷な法のてが入らなければ、一家は貧しいながら幸せに暮らしていたことでしょう。
 治たちのやっている万引きは犯罪ですが、低賃金重労働を強い、現場で怪我しても労災も降りない国のえげつないやり方に問題はないのでしょうか。
 日本は先進国なのだそうですが、それは富裕層や官僚がそうであって、多くの市民が低賃金と重税にあえぎ、高齢者は"将来現役時代"とそそのかされて死ぬまで低賃金で働かされます。株だの為替だの外貨だのといった制度を悪用して資産を貯め込み、経済を停滞させて市民に貧苦を強いる現在の社会制度はきわめて幼稚で悪質ですが、それを国が奨励し官僚自らが大いに利用しているわけですから、人間社会とは本当に恐ろしいものです。
 現代日本はひじょうに住みにくい国になりました。金持ちのためだけの国という恥ずべき国に成り下がりました。
 万引き家族のような暮らしは日本の恥部のように思う人が少なくないと思いますが、それを生み出している原因が、下品であさましいエリート意識です。みなさんやその周りにエリートを称賛し、貧困を蔑視するような風潮があるとしたら、それこそが恥ずべき低俗な考え方です。そしてそれは、この映画が主張するところであると思います。

2018年、120分。
監督、脚本:是枝裕和。
出演:リリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、池松壮亮、城桧吏、佐々木みゆ、緒形直人、森口瑤子、山田裕貴、片山萌美、柄本明、高良健吾、池脇千鶴、樹木希林ほか。

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