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二癈人【小説】

2018/07/07


 湯治場で出会った2人の老人井原と斎藤は、意気投合して語り合いますが、そのうち井原の数奇な身の上話になります。彼は幼い頃より夢遊癖があったのですが、それが大学時代に再発し、彼はとんでもない事件を起こしてしまうことになります。下宿生活の間に、同僚たちのものがなくなったり、見知らぬ物が自分の部屋にあったりすることを、井原は自分の夢遊病のせいにちがいないと思っていました。彼は親友の木村にその苦しい胸の内を打ち明けていましたが、ある時ついに、井原の夢遊病がどんでもない事件になってしまいます。
 下宿内でものがなくなったり、夜中に怪しい人影を目撃したりという例は、すでに学生たちの間でも評判になっていたのですが、下宿のオーナーの老人が強盗に遇って殺され、金庫の中身が盗まれたのです。そして盗品の債権や株券が井原の部屋から出てきました。
 井原は速やかに自首しますが、この事件で彼の人生は台無しになってしまいました。大学を中退したあとは結婚もせず廃人同様の暮らしを続けてきたのです。
 井原の話しを聞いた斎藤は、もしかしたら井原は犯人ではないかもしれないと奇妙なことを言います。彼が夢遊病持ちであることを知っていた友人の木村が、井原の部屋に同僚の持ち物や遠隔地の品物を持ち込んだり、夜中にさまよう不審者を演じたりして、あたかも井原の病癖が再発したように見せかけ、自ら犯した強盗殺人の罪を井原に着せたのではないかというのです。
 そう言えば、それを境に夢遊病はまったく出なくなっていました。斎藤の推論はつじつまが合う、井原はそんな気がして来るのでした。

 江戸川乱歩のアイディアが冴える秀作短編のひとつです。井原は、木村に利用され強盗殺人の罪を着せられて一生を棒に振ってしまったのでしょうか。彼の話しを聞いて、あたかも名探偵のような推理を働かせた斎藤とはいったい何者なのでしょう。彼は戦争で負傷し、顔に大きな傷を負っています。その傷の下に持っている顔とは…。斎藤の推理でこのお話しは完結ではありません。さらに驚くべき結末が最後にひかえています。

1924年、「新青年」掲載
著作:江戸川乱歩。

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