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黄金豹【小説】

2018/06/09


 東京の真ん中に出現する黄金に輝く豹、突然の猛獣の出現に人々は動揺し、逃げ惑うばかり。その豹の奇異なところは容姿ばかりでなく、白昼堂々と高価な宝石を盗むのです。けものが黄金に輝き、しかも宝石店から高価な宝石を盗むという、悪い夢のような事件に東京は騒然とします。
 追う警察官たちに対し、豹はあろうことか人間の言葉を話し、財宝の窃盗を予告し、その通りにやってのけます。
 名探偵明智小五郎率いる少年探偵団の面々が警察に協力し、この怪事件に挑みます。

 筆者が幼少の頃、少年探偵団シリーズは人気図書として書店や図書館にずらりと並んでいました。中学生の頃に江戸川乱歩にハマった筆者は、少年探偵団シリーズは未開のままで、江戸川乱歩と言えば成人向け(18禁ではない)の小説ばかり読んでいました。それでも漫画やコミックになったりして少年探偵団や宿敵怪人二十面相については、聞き知っていました。
 古い作家の著書は、今は著作権フリーになっており、ネット上の青空図書や電子書籍では無料で読めるので、映画「人間椅子」を観たのを機に、まだ読んでいない作品をいくつかダウンロードしてみたのですが、挿絵のない表紙の状態では、成人ものか少年探偵団シリーズかはタイトルだけでは区別できず、読んでみて初めて少年向け作品であることが判る次第です。
 むかしの小説はやたら漢字が多く、古い言葉遣いも登場するわけですが、本著は少年向けということで、漢字が少なく丁寧語表記で、父母はお父さんお母さん、帰宅はおうちに帰るというふうに表現されています。
 そして小林少年を団長とした小学生で構成された少年探偵団が、警察と協力して事件を解決したり、怪人二十面相(怪人四十面相の場合もあり)が登場したりするのは、少年向けの少年探偵団シリーズのみです。ですから、江戸川乱歩作品をかなり読んだ筆者ですが、少年探偵団の活躍を見るのは初めてです。私立探偵明智小五郎は成人ものにも登場します。

 江戸川乱歩作品は奇怪で耽美的な内容のものが多く、中学生だった筆者にはかなり刺激がきつかったですが、それがおもしろくて次々と手を出した次第です。これが少年ものになると、黄金豹や黄金仮面、透明人間、魔法博士など、アニメやコミックの悪役のような怪人が登場し、なんとなくファンタジーな様相を呈します。しかしながら現実にはありえないような怪異にはすべて仕掛けがあって、それを明智探偵が解き明かしてしまうのが痛快で、多くの少年読者を魅了したというわけです。
 本作に登場する黄金豹は、黄金に輝く恐ろしい猛獣で、人々を震え上がらせるのですが、金色というだけで不思議なのに、人の言葉を発するわ、煙突を登るわ、密室に出現したかと思うと煙のように消え去ってしまうわ、数々の驚くべき魔法をやってのけます。しかしそれらの魔法にはすべて仕掛けがあって、お話しの後半からようやく姿を現す明智探偵が、鮮やかな手並みで解き明かしてしまうのです。ストーリーも大詰めになって、明智探偵が登場すると、少年読者たちは胸躍らせて読みふけったことでしょう。
 この作品が雑誌「少年クラブ」に連載された時、江戸川乱歩は60歳を越えていました。「怪人二十面相」の連載を始めたのも40歳を越えてからですから、彼は中高年になってから少年ものを書きはじめたことになります。そして老境に至っても少年向け作品を書き続け、作家生活の後半は児童小説作家に転向した感があります。おもしろいですね。

1956年、「少年クラブ」連載。
著者:江戸川乱歩。

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