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不能犯【映画】

2018/04/17


 電話ボックスに恨みの相手を書いたメモを残しておくと、依頼人に代わって相手を殺してくれる殺人代行人のうわさがSNS等を通じて拡がっていました。そのうわさを実証するように不可解な変死が相次いで見つかります。
 警察による徹底的な調査にもかかわらず、いずれの事件でも犯人の手がかりが見つかりません。ただ、唯一共通するのが事件現場で目撃される黒スーツの男。
 杉並北署の刑事多田友子と部下の百々瀬麻雄は、この男に目を付け、聞き込みを始めますが、いくつ目かの現場に現れたところを難なく押さえることができます。
 男は任意同行にも素直に応じ、宇相吹正という自らの名も明らかにしますが、彼が取り調べを受けたのには、新たな殺人依頼を実行するという目的があったからでした。多田の上司夜目美冬が取り調べ中に様子がおかしくなり、その夜自宅で自殺してしまいます。じつは以前に鑑識科の河津村の息子が取り調べ中に自殺した際、尋問に当たったのが夜目で、河津村は電話ボックスに殺人依頼を残していました。
 宇相吹は一連の事件との関わりを否定しないどころか、関係していることを示唆しますが、動機も証拠も見つかりません。ただ、多田刑事に対して「あなたなら僕を止められるかもしれない」と謎めいた言葉を残し、署を去ります。

 宇相吹は、相手の目を見つめて暗示にかけて殺してしまう、いわゆる"不能犯"を可能にする男です。要するにマインドコントロールによって相手を自殺に追い込むわけですが、暗示をかけられた相手の見る幻覚がひじょうに生々しく、悪徳金融業の男はスズメバチの群れに襲われる幻覚を見ますが、検死結果もハチに刺されたためのアナフラキーショックという結果が出ます。ストーカー男は毒を飲まされたと思い込んで死に至りますが、死体からは実際に毒物が検出されます。
 宇相吹は、殺しの依頼が来ると、依頼主の前に現れ、殺人の動機が純粋なものかどうかを確認します。不純な動機で人を殺めると災いが依頼主に返って来るからです。
 ストーカー被害で隣人の男の殺人を依頼した女性は、夫の留守中に自宅で麻薬パーティをやっていたところを不意に帰宅した夫に見つかり、身を滅ぼします。因果応報ですね。宇相吹はその様子を傍観し、人間の愚行を嘆きます。

 宇相吹は凶悪な殺人犯ですが、なぜか憎めない存在です。ダークヒーローともいうべき存在です。筆者にはそう感じられました。
 人を恨み殺したいと願い、殺害を宇相吹に依頼することによって、恨みが誤解であったことが判るという皮肉な事例もあります。なんともやりきれない哀しい結末が訪れます。
 幾多の死を傍観し、宇相吹はまったく感情をあらわにしませんが、彼は多田刑事に殺されたいと願っているような言動を何度か吐きます。それは死神のように人の生死を操る業を持ってしまった自分の運命を嘆いているようにも見えます。彼が不能犯になったのは、思いを遂げるために神あるいは悪魔と契約したのかもしれない、ふとそんなことを考えました。

 不能犯事件と並行して、爆弾魔による無差別殺人事件が勃発します。これにも宇相吹は関わってきますが、彼の立場はあきらかに無差別殺人を認めないというものでした。警察に与しないものの、無秩序な殺人者も認めません。
 松坂桃李演じる映画版の宇相吹は、不敵な笑みを浮かべた寡黙な死神で、なかなかハマり役だと思いましたが、原作コミックでは、もう少し人間臭い側面も描かれているそうです。猫を飼っていてその餌代の捻出に苦慮しており、有料で殺しを請け負うこともあるとか。
 コミックは現在も連載中で、映画の興行成績が良ければ続編も製作されるかもしれませんね。筆者としては、思っていたよりずっと良かったので、続編を期待したいところです。

2018年、106分。
原作:宮月新、神崎裕也。
監督、脚本:白石晃士。
脚本:山岡潤平。
出演:松坂桃李、沢尻エリカ、新田真剣佑、間宮祥太朗、テット・ワダ、菅谷哲也、岡崎紗絵、真野恵里菜、忍成修吾、水上剣星、水上京香、今野浩喜、堀田茜、芦名星、矢田亜希子、安田顕、小林稔侍ほか。

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