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ダウンサイズ【映画】

2018/04/14


 ノルウェーの科学者チームが開発した人間を十数センチのミニサイズに変えてしまう技術は、人口増加に伴う食糧やエネルギー資源の枯渇を一挙に解決できる方法として注目されました。この技術を開発した博士自らが縮小した体で会見に臨み、その安全性を証明すると、人類を少しずつ縮小して行き、長い歳月をかけてすべての人類を小さくしてしまう計画が実行に移されることになります。
 計画の初期段階、実際に体を縮小した人々はまだ全人類のほんの一部で、彼らは外界から隔離された専用のコロニーで暮らしていました。そのコロニーはTV等で宣伝されるほか、実際に縮小処置を行なう施設から現物を展望することもできました。
 一度体を縮小すると元へは戻れませんが、資産は数十倍に膨れ上がり、コロニーの中で豪邸に住んでゴージャスな暮らしを送ることができます。
 サラリーマンのポールは、苦しい家系と将来不安を解消するために、妻のオードリーと共にダウンサイズ計画に応募することにします。

 子供の頃に見たTVシリーズウルトラQに「1/8計画」というエピソードがありましたが、それも確か環境問題を解決するためのアイディアだったと思います。この映画のでは身長約13cmに縮めてしまいますからさらに小さく、ご飯粒数粒も食べれば満腹、ボトルキャップ1杯の水も飲めないでしょう。これはすごい資源の節約になりますね。衣服を作るのも生地が小さくて済みますし、家を建てるのにも微量の木材で豪邸が建ちます。
 でもミニチュアハウスや人形の洋服を作るというのはなかなか大変なことで、最初のコロニー造りは困難を極めたと思います。コロニーの住人が増えれば、自分たちの手で自分たちのサイズに合ったものを作れるようになるので、製造の効率化も進みますが。それとも人間以外の物体もダウンサイズできるのでしょうか。
 ダウンサイズ処理を受ける人間は、体にいくつかの薬剤を注入され、毛という毛をすべて剃られます。歯も治療され、差し歯や詰めものは除去されます。ということは生きた細胞しか縮小できないのでしょうか。そうするとミニ人間たちが用いる身の回りのものはすべて小さく作り直すことになります。
 でも、ミニ人間のコロニーは、通常サイズの社会と完全に同じで、ネジがやたら大きいとか、服の生地がやたら糸が太いとか、そういった違和感がまったくありません。
 砂粒もやたらデカいでしょうし、まぎれ込んだ微生物たちも巨大なはずです。コロニー内の動植物はすべてミニ人間に合わせて縮小されていますが、土や水滴の縮小化は不自然です。
 体が小さくなると、重力の影響もずいぶん小さくなり摩擦力が大きくなります。歩いたり跳んだり跳ねたりもこれまで通りではなくなるはずですし、長期的にコロニーで暮らすとプロポーションも変わってくるでしょう。手足は針のように細くなり、昆虫のような姿に近づくかもしれません。
 へ理屈をこねてしまいましたが、ダウンサイズの世界が通常世界と何一つ変わっていないというのには、ちょっとがっかりしました。

 さて、ポールは新しい町で夢の豪邸マンション生活を始めるわけですが、屋敷の清掃に来てくれる女性ノク・ランに着いて彼女の家を訪れてみると、それはコロニーの壁の外の荒廃したダウンタウンにありました。そこは常人の世界のスラム街とまったく同じで、飢餓や病に苦しむ貧しい人たちであふれていたのです。
 各国の政府は、犯罪者や疑わしき者をどんどんダウンサイズしてしまい、ノク・ランもその被害者でした。
 しかし物語は社会批判や科学技術批判に移行することなく、思いもよらない方向へと向かってゆきます。以下はネタバレになりますので、映画をご覧になっていない方は読まないでください。
 同じマンションで貿易商を営む男と共に、ポールとノク・ランは北欧を訪れます。そこにはダウンサイズの開発者ユルゲン・アスビョルンセンが待っていました。そして彼は、食料や資源の危機よりももっと深刻な人類の危機が間近に迫っていることを告げます。
 全人類を救済するダウンサイズ計画は、水面下でノアの方舟計画として進められていたのでした。しかし、ポールたちを北欧に案内したドゥシャン・ミルコヴィッチは、それを狂信であると否定します。ノク・ランもこれに同意、ノアの方舟計画に感動し、自らも計画の一翼を担おうと考えるのはポールだけでした。
 そして不思議なことに、観ていて主人公のポールの判断がまちがっていると思えてくるのです。破局を回避して生き残り、人類の子孫を未来につなぐために、計画実行者たちは地下施設へ自分たちを隔離し、ポールもそれについてゆきます。
 果たして、地球はどうなるのでしょう。

 この顛末は、ユーモラスな予告編からはまったく予想できませんでした。それにしてもダウンサイズ技術を開発し、今度は間近に迫る人類絶滅の危機を見つけるなんて、ユルゲン・アスビョルンセン博士はいったい何者? ノク・ランは、彼のことを心から慕っていましたが、ノアも方舟計画には賛同しません。天才科学者よるも聡明な女性の意見の方が正しいと思えてくるから不思議です。
 けっきょくこの映画が語りたかったテーマはなんだったのでしょう。全人類の運命を左右する壮大な計画よりも、ノク・ランの貧しい人たちの力になってたくましく生きている姿の方がずっと現実味があります。このあたりのことを描きたかったのでしょうか。人類を救うのは大規模な計画よりも大勢の人々の努力の積み重ねである、そういうことを言いたかったのかもしれませんね。

原題:DOWNSIZING。
2017年アメリカ、135分、翌年日本公開。
監督、脚本:アレクサンダー・ペイン。
脚本:ジム・テイラー。
出演:マット・デイモン、クリストフ・ヴァルツ、ホン・チャウ、クリステン・ウィグ、ウド・キア、ジェイソン・サダイキス、ニール・パトリック・ハリス、ローラ・ダーンほか。

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