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スリー・ビルボード【映画】

2018/04/10


 ミズーリ州の田舎町で、ひとりの少女が強姦されて殺されたうえ、死体を焼かれるという残忍な事件が発生しました。半年以上経っても警察は犯人の手がかりをつかめず、捜査は難航していました。
 これを警察の怠慢であると決めつけた被害者の母親ミルドレッドは、車通りの少ない道端に放逐された3枚の看板を利用して、警察に対する批判を掲げました。看板の中にはウィロビー署長を名指しで批判するものもありました。
 住人たちは必ずしもミルドレッドの味方ではありませんでした。それにウィロビー署長は町の人々から慕われており、彼女の行動を非難する人も少なくありませんでした。
 ウィロビー署長を敬愛するロックウェル巡査は、ミルドレッドの広告を引き受けた業者に言いがかりをつけ、彼を2階の事務所の窓から突き落とす始末。テレビ取材も訪れ、看板事件は大きな騒動に膨れ上がってゆきました。
 それでもミルドレッドは一歩も引こうとしません。ウィロビーは腎臓癌が進行しており余命宣告を受けていました。彼はミルドレッドに犯人を挙げられないことを詫び、病床に伏して家族に迷惑をかける前に自殺しました。やがて広告の掲出期限が切れますが、こっそりと延長料金を支払ったのはウィロビー署長でした。

 どれほど非難や攻撃を受けても動じることなく警察に敵対し続けるミルドレッドの姿勢が強烈です。彼女のかたくなな態度は町の多くの人々の反感を買います。しかし人々の関心が高まれば娘を殺した犯人を見つけ出すことにつながると信じています。本来なら被害者の遺族である彼女に同情票が集まるところなのでしょうが、ウィロビー署長を尊敬している多くの町の人々が、ミルドレッドを非難しはじめ、彼女はどんどん孤立してゆきます。そんな彼女の行動を唯一理解したのが、あろうことかウィロビー署長その人だったのです。彼は広告業者にひそかに延長料金を送り、ミルドレッドの看板が掲出され続けるようにしました。
 ミルドレッドを猛然と非難するロックウェル巡査は、広告業者に暴行を加え、事務所を損壊させるという暴挙に出て警察をクビになってしまいますが、警察署が放火される事件で巻き添えになり、それからミルドレッドに対する姿勢が変化します。

 登場人物の心境や行動が、ことごとく観る者の想像を裏切ってゆくところがひじょうに特徴的です。娘を惨殺されたミルドレッドは、人々の同情を引くどころか、頑固な嫌われ者になってゆきます。彼女がやり玉に挙げるウィロビー署長はじつは唯一の彼女の理解者だったりします。ミルドレッドをあからさまに嫌悪するロックウェル巡査は、敬愛する署長を失い、ミルドレッドのせいで警官をクビになりますが、その悲運の中で次第にミルドレッドに同情を覚えるようになります。
 これらの意外性がリアルに感じられるから不思議です。人間の行動や心境の変化というものは、セオリー通りにはゆかないものだと、つくづく感じさせられます。奇妙なストーリーを見ているうちに観客である私たちにも思いも及ばぬ心境の変化が訪れます。
 じつに奇妙で不思議な映画です。目の前で起きているドラマは、ひじょうにリアリティのある愛憎劇で、異色を意図して作られたようには見えないのに、なぜか普通でない、とらえどころのない作品に思えてしまうのです。ラストシーンもバッドやグッドとはくくれないものですし、それなのに何となく心に響くものがあるのです。
 この映画を観てどのような感想を抱くのか、大勢の意見を聞いてみたいものです。

原題:THREE BILLBOARDS OUTSIDE EBBING, MISSOURI。
2017年イギリス、アメリカ、116分、翌年日本公開。
監督、脚本:マーティン・マクドナー。
出演:フランシス・マクドーマンド、ウディ・ハレルソン、サム・ロックウェル、アビー・コーニッシュ 、ジョン・ホークス、ピーター・ディンクレイジ、ルーカス・ヘッジズ、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、ケリー・コンドンほか。

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