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人間椅子【映画】

2018/04/05


 出版社で編集担当を務める倉田真理は、新しく担当になった今野佳子を訪ねますが、佳子はろくに作品も書かず、だらだらと暮らしていました。彼女の育ての親である大家 大河内俊作が突然失踪すると、文芸誌の穴埋めの仕事が佳子に回ってくることになり、真理は頻繁に佳子を訪れるようになりますが、独り暮らしのはずの佳子の家に誰かがいる気配を感じとります。

 江戸川乱歩の短編小説をベースに作られたミステリー作品ですが、主人公の佳子以外は原作にはないキャラで、ストーリーもまったく異なるものになっています。
 女流作家今野佳子が愛用する大きな椅子の中に、人のうごめく気配があります。乱歩の原作を読んでいる人は、薄皮1枚隔てた椅子の中の男と佳子の奇妙な情事を想像するわけですが、椅子の中の男は果たして誰なのでしょう。失踪した大河内なのでしょうか。
 編集担当の真理と昵懇になると、佳子は真理が作家デビューできるよう力を貸すと言い出します。真理は社の倉庫からかつて新人賞にもれた自分の原稿をひっぱり出してきて、佳子に見せます。
 これを機に真理は、美人作家佳子と出版社との異常な関係性に巻き込まれてゆくことになります。

 エロチック乱歩と銘打って、江戸川乱歩の名作をどろどろのドラマにしてしまった、奇妙な作品です。知らない人が観たら、江戸川乱歩って官能小説作家だったのかと思ってしまう……なんてことはないか。エロチック乱歩のタイトルは、単なる販売戦略で、佳子が下着姿で椅子の上で少しばかり乱れるくらいしかエロいシーンはありませんから、それを期待していた人は残念でした。
 原作の椅子の中に男がいるという衝撃のシチュエーションは、なんだか副次的なアイテムになっており、あまり重要性はありません。それよりも出版業界の利害関係にまつわる汚れた人間関係がメインになります。業界を汚いものとして描いているのは、あまりいただけませんが、ストーリーの落ちには欠かせない要素でした。

 佳子は、大河内が育てた美人作家という商品価値を高く買われていますが、実際の彼女はすでに才能が枯渇している感じです。そうして人間椅子に耽溺する孤独な変人と化しています。編集担当の真理は常人に見えますが、ちょっとした小物や遺留品を盗んで集めるという性癖をもっており、自宅はゴミ屋敷と化しています。その性癖が何らかの形でストーリーに影響してくればおもしろかったのですが、残念ながらなにもありませんでした。
 美人作家の中に宿る闇や、編集担当の性癖、椅子の中の男といった興味深い要素がたくさんあるのに、乱歩作品の持つ猟奇性や耽美性はあまり感じられない、演出の凡庸さが残念でした。これだけの要素があれば、演出次第でもっと印象的でおもしろい作品になったのではないか、そんな気がします。

2006年、75分。
原作:江戸川乱歩
監督、監督:佐藤圭作。
脚本:武井彩。
出演:宮地真緒、小沢真珠、板尾創路、辻修ほか。

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