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カルテット【TVドラマ】

2018/03/29


 カラオケボックスで偶然知り合った巻真紀、世吹すずめ、家森諭高、別府司の4人は、奇遇にも全員音楽家を目指しており、管弦楽四重奏(カルテット)を組むことになります。別府の祖父が所有する軽井沢の別荘に住み込みで練習を始めた4人ですが、自分たちの音楽を発表する機会になかなか恵まれず、からくもライブレストラン・ノクターンとの契約が決まり、そこで演奏を続けることになりました。
 しかし4人にはそれぞれ秘密がありました。真紀は夫の幹生の失踪を機に軽井沢を訪れており、すずめは、じつは失踪した幹生の母から真紀の身辺調査を依頼されているのでした。また諭高は怪しい男たちに追われており、司は自分たちが使っている別荘が売りに出されようとしていることを皆に話せないでいました。
 幹生の母は、息子が真紀に殺されたと信じていましたが、真紀と接するうちに すずめは真紀が人殺しをするような人間ではないと確信するようになります。一途で誠意のある真紀に すずめは次第に惹かれて行くのでした。そして すずめに父の危篤の報せが届きます。彼女は子供の頃、詐欺師の父に超能力少女に仕立て上げられ、その嘘が世間にばれるという苦い経験を持っており、以来父とは疎遠になっていたのでした。
 諭高につきまとう怪しい男たちを追及すると、失踪した富豪の息子を探しているとのことで、その失踪人はじつは諭高の別れた妻と付き合っているのでした。諭高は問題を解決するために、わずかの手がかりから妻の居所を突き止め、会いに行きます。
 カルテットの中で唯一無職でない、司は勤めている会社の同僚の女性から、近く結婚することを打ち明けられます。それを仲間に話すと、それは司へのプロポーズであり、不本意な結婚を止めてほしいというメッセージであるとアドバイスされます。

 さっそうと弦楽器を奏でる4人の姿がじつに素晴らしいです。役者さんってほんと何でもできるんだなぁ、そう感心してしまいます。彼らが実際に楽器をマスターしているのかどうかは存じませんが、素人目には本当に弾いているようにしか見えません。しかも熟練の奏者です。
 あんなに美しい音楽を奏でる人たちなのに、彼らは自分たちのことを落伍者と自嘲しています。夢を趣味にできたら素晴らしいけれど、夢を見続けるのは地獄だ。好きなことで生きられない人は、選ぶしかない。それを趣味にした人はアリだけど、夢にした人はキリギリスだ。世の中には夢を抱いている人がたくさんいると思いますが、そういう人たちには胸に深く突き刺さる言葉ですね。好きなことで食べて行くことを夢見る、そのための労苦は努力などではなく道楽でしかありません。親や周りの人たちに心配をかけ、自らにも悲惨な人生が待っています。
 やりたいことは、仕事して稼いで、お金を払ってやってください。やりたいことで稼ぐなんてこと絶対に実現しません。ひとにぎりの成功者になる条件は、才能や努力ではなく、宝くじに何度も当たるほどの確率がほとんど0に近い幸運です。それでも宝くじに当たる人は実在します。買わなければ当たらないように、努力しなければ成功者への道は閉ざされたままです。ジレンマですね。

 カルテット・ドーナツホールを結成した4人、真紀さん、すずめちゃん、諭高君、司君は、それまでの人生で辛酸を舐め、人間不審に陥り、独りでこっそり楽器を奏でていました。そうして4人は出会ったのです、信頼し合える素敵な仲間に。諭高君はどちらかと言うとアリです。音楽で成功できない自分をけっこうシビアに見つめています。でも職がありません。反対にサラリーマンをやりながら音楽を続ける司君が意外にもキリギリスなんですよね。
 みんな少しずつ何かを間違って生きてきました。でも出会えた。出会いは彼らの生涯の宝となりました。みんな音楽をやってて本当に良かったですね。
 努力が報われることは少ないけれど、夢を見ることは地獄だけど、人間はそれでも夢を見ます。それは人間だからです。類は友を呼ぶという古い言葉がありますが、夢に向かって生きていると、そのことが大切な出会いにつながります。大切な人や出来事や、場合によってはチャンスを引き寄せます。皆さんも経験あるでしょう? 何かに打ち込んでいると、それが波動となって拡がってゆき、その波動は大切な誰かのアンテナに引っかかります。
 夢は夢でしかないけれど、夢見ることは地獄だけど、投げ出してしまえば、地獄しか残りません。前言と矛盾していますが、この矛盾こそが人生です。

 この作品は本当に考えさせられる名作です。感動の人間ドラマにして、心から笑えるコメディでもあります。たっぷりとミステリーを味わうサスペンスでもあります。なんか恐ろしいほど多くの要素を濃縮させたドラマの集大成です。
 人生の機微や教訓や、思わず使ってみたくなる名ゼリフがてんこ盛りです。真紀さんや諭高君が話し出すと、一句も聞き逃すまいと耳をそばだててしまいます。すずめちゃんや司君の一挙手一投足を見逃すまいと目を見開いてしまいます。
 いろんな作品を観てまいりますと、中には何度でも繰り返し観たい、シーンやセリフを暗記するほど観たい、そんな作品に出会ったりしますが、また一つそうした名作が増えました。

2017年、TVシリーズ10話。
演出:土井裕泰、金子文紀、坪井敏雄。
脚本:坂元裕二。
出演:松たか子、満島ひかり、高橋一生、松田龍平、吉岡里帆、富澤たけし、八木亜希子、宮藤官九郎、もたいまさこ、遠藤璃菜、イッセー尾形、菊池亜希子、高橋メアリージュン、大倉孝二、ミッキー・カーチスほか。

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