kepopput.jpg

名もなき復讐

2018/03/20


 不良学生たちのバイクによる暴走で、家族と共に乗っていた車が事故に遇い、ジウンは両親を失い自らも精神的ショックで言語障害を来してしまいます。得意の射撃で大会に出場する夢も断たれ、高校を出てからは小さな町工場で働きながら空虚な暮らしを送っていました。そんな彼女を再び暴漢が襲い、彼女は廃屋に連れ込まれ強姦されます。
 傷ついた体を引きずって警察に駆け込みますが、担当したパク刑事はまともに取り合ってくれません。帰宅すると、そこに先刻の暴漢のひとりが待ち受けており彼女に襲いかかります。抵抗した際にガラス片で男の首を刺してしまい殺してしまいます。
 女性警官のカン刑事は、ジウンが心無い男性刑事によって適当にあしらわれてしまったことを知って激昂し、ジウンの家に向かいますが、彼女の態度は一変し訴えることを拒否しています。カン刑事は妹が強姦され口が利けなくなり入院していることもあり、懸命にジウンを助けようとし、ジウンも心を開きかけますが、後刻再会したパク刑事に言いがかりをつけられます。
 パク刑事はたまたまジウンの留守中に彼女を訪れた際、隣室の女性からジウンが強姦されたという直後に部屋に男を連れ込んでいたという証言を得ていたことから、ジウンの強姦被害の訴えが嘘だったと決めつけたからです。パク刑事と再会した際、ジウンは誤って殺した男の死体を処分しようとしていたところでした。追いつめられたジウンは、抵抗を試み、パク刑事が取り落とした銃を手にします。
 ジウンの射撃の腕は確かでした。

 韓国映画には猟奇殺人やドロドロの復讐劇を描いたものがひじょうに多いです。筆者がそういうのを好んで観ていることがそう感じさせているのでしょうが。この映画のヒロイン ジウンには女性や弱者を弄ぶ卑怯で薄汚いクズ野郎どもが次々と襲いかかります。クズ野郎のせいで両親も射撃で大会に出る夢も、自由にしゃべることも失ってしまった彼女に、また新手のクズ集団が襲いかかります。
 集団で暴行を加えられたあと、警察に駆け込んだ時にカン刑事が不在でなかったら、彼女の運命も変わっていたかもしれません。しかし署にいたのはヤクザやチンピラから違法行為を黙認することで賄賂を巻き上げる悪徳刑事パクでした。強姦被害のほとんどは狂言だ、被害者を前にしてぬけぬけと主張します。カン刑事に言われて仕方なくジウンを訪れた彼が得た収穫は、隣室の住人のジウンが男を連れ込んでいたという証言。男を連れ込んでいたのではなく、2度目の強姦に遭遇していたのを壁越しに聞きつけた、そういうことだったんですね。
 カン刑事の説得で、一度は警察を信じようとしますが、刑事の説明では正当防衛は、過剰な抵抗や凶器の使用があった場合は認められないとのこと。ジウンが誤って殺してしまった暴漢の件では、彼女は殺人罪を問われる可能性があるということです。「さすが韓国の法律、強い者の味方よね」カン刑事もそう批判しています。
 ジウンは、隠していた死体をバラバラにして少しずつ処分することを選択します。それを運悪く、彼女に悪意を持つパク刑事に見つかってしまうんですね。

 クズ野郎の集団に襲われる前、彼女の描いたイラストがゲーム会社に認められ、彼女は虐げられた町工場勤めから解放されるはずでした。しかしそれも悪鬼どもの非道によって阻まれてしまいます。そして警察さえも彼女の味方ではありませんでした。
 パク刑事から銃を奪ったジウンは、復讐の鬼と化すしかありませんでした。
 ジウンは、カン刑事から入院中の妹の話しを聞いており、彼女を応援するために自分が描いたイラストを贈っています。それが彼女の最後の優しさとなりました。

 じつに哀しいお話しです。これでもかと言うほど次から次へとジウンを襲う人間のクズどもと、悲運に観ている方も怒り心頭に達します。本当なら、射撃競技の代表選手として各種大会に出場し、華やかなヒロインになるはずだった彼女が、復讐の鬼というダークヒロインに転じてしまいます。
 これほどまでに怒れる映画を作った製作者や監督の思いは、現代社会で大きな問題になっている社会悪への憤りなのかもしれません。それはクズのような犯罪者たちへ向けられるのみならず、警察や法に対する痛烈な批判でもあります。
 こうした映画を製作する、大勢の人に見せるという行為は、娯楽作品としてのクライムサスペンスを提供することのみならず、市民の社会問題に対する意識を喚起することへもつながっています。芸術は社会運動でもあり、そうした要素が映像芸術の重要な役割でもあります。

2015年、109分、翌年日本公開。
監督、脚本:アン・ヨンフン。
出演:シン・ヒョンビン、ユン・ソイ、キム・ヒョク、アン・ハセほか。

コメント
コメントする








   
この記事のトラックバックURL
トラックバック

目 次
能書き

思うこと全般

けぽっぷ体験

アイドルのこと

韓流映画

番外編


索引 韓流映画&番外編





  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
<< October 2019 >>

サイト内検索

NEW ENTRIES










recent comment

links

プロフィール

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM