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ガールズ・ステップ【映画】

2018/01/30


 西原あずさ、片瀬愛海、小沢葉月、岸本環、貴島美香の5人は、高校の体育の必須課題であるダンスの試験を受けなかったため職員室に呼び出され、ダンスで町内会の小さな催しに出場することを指示されます。単位をもらうためとは言え、自分たちでなんとかしろと言われてもどうにもなりません。そこで近くでダンススクールを開いているケニー長尾がコーチとして呼ばれます。ケニーは5人をJKたちと呼ぶひじょうに軽いノリの男で、レッスンもラフで軽い感じでした。
 5人はそれぞれ問題を抱えていました。あずさは子供の頃にハブられた経験があり、そんな思いを繰り返したくないという恐れから、チアリーディング部のぱしりとしてくっついています。愛海はクラスの誰とも打ち解けず学校ではいつも独りでした。葉月は家が貧しいうえに幼い兄弟を抱え、それで弱音を吐きたくなくて見栄ばかり張っていました。環は兄弟が優秀なのに勉強も運動も駄目で母親に愛想を尽かされていました。ヤンキーの美香はクラスの嫌われ者で、彼女自身学校なんかどうでもいいと考えていました。
 町の商業スペースで開催された催しのステージに立った5人は、たどたどしいダンスを体操服で披露するというダメダメぶりで、さらに葉月がステージから点灯するというハプニングまで追加して会場の笑いをとりました。それでも最後まで演じ切ると、会場は徐々に応援ムードに転じ、喝采と声援が飛び交い、5人の顔にも笑顔が浮かびました。
 ダンスって楽しい。ヤンキー美香のヤンキーの彼氏のスイーツショップに集った5人は、このまま終われないと思いつき、ダンス部を結成しそれを学校に受理させます。そして「全日本高校生ダンス選手権」への出場を目指します。

 典型的な高校生スポ根群像劇で、主演が E-girls の石井杏奈ということで話題になりましたし、文部価格省とのタイアップ企画でスポーツ庁発足のPRポスターも作成され、多くの中高校やダンス教室等に配布され、話題作りには事欠かなかったようですが、なぜかあまりヒットしなかったようです。ネット上の評価も揮わず、酷評も目立ちました。いったいなにがいけなかったのでしょう。
 それぞれに問題を抱えた女子高校生たちが、今は落ちぶれていますがかつてはユーヨークでトップダンサーとして輝いていたケニー長尾の指導で徐々に腕を上げ、5人で大きな大会に臨むというお話しです。ケニーは過去の暗い思い出を完全に切り捨てた様子で、ひじょうに明るく陽気に振る舞い、JKたちに不審がられるほど。楽しく自由に踊ればいい。ラフなスタイルでとにかく楽しいダンスを目指そうと教える彼は、けっして強要せず、JKたちの意思にすべてをゆだねます。
 おかげで苦しかった学校生活も楽しいものに転じるわけですが、話しはそう単純にはゆかないわけで、成績が落ちてきている環が抜け、SNSで知り合った男に騙された愛海が登校しなくなり、キャプテンのあずさもチアリーディング部の仲間たちにハブられるのが怖くて練習をさぼるようになります。それに失望した葉月もあきらめて家の商売の手伝いを始めます。
 しかし愛海が男に騙されてひどい目に遇っていると聞いて、みんな黙っていられなくなります。美香は金属バットを担いで彼氏のバイクを奪って出陣します。
 親に失望され小言を言われてばかりの環も、自分で決めてダンス部に戻ってきます。
 愛海の事件は、バラバラになりかけたみんなの気持ちをひとつにしました。みんなそれぞれに隠していた自分の弱みを打ち明け、泣いて海に飛び込んで青春します。
 情熱的に練習に精を出すダンス部に、最初は彼女たちを毛嫌いしていたチアリーディング部も共感を覚え、大会が近付くと、彼女たちのために体育館を譲ります。
 クラスからジミーズ(地味s)とバカにされていた彼女たちは、それを自分たちのチーム名にし、大会に臨みます。
 そして、彼女たちのひた向きな努力を目の当たりにして、ケニー長尾の心の中でも何かが動きます。自分がなんでダンスに情熱を傾けていたのか、その本当のところを思い出します。

 ひじょにいい話しですよね。泣きどころも笑いどころもちゃんとおさえてるし、ジミーズのメンバーが抱える問題もお話しによく反映されていて共感できます。最初はチャラ男にしか見えなかったケニーも彼独特のやり方で包容力を発揮し、ジミーズを導いてゆきます。前に進むのも辞めてしまうのも、彼はすべてJKたちに委ねけっして強要しません。でも彼女たちを見つめる彼の瞳に死んでいません。おして指導する立場である彼自身が、JKたちに感化され、もう1度前へ進もうと決意します。
 それぞれの少女たちのキャラはたいへん良かった思います。彼女たちの苦悩が反映されたストーリー展開も悪くなかった。男に騙された愛海の件で5人が集結するシーンはひとつのクライマックスだと思いますが、海辺での彼女たちの感情の発露も大いに盛り上がりましたよね。みんな隠していたものをさらけ出して解り合えてよかったですよね。

 こんな良い話しなのに、映画はヒットせず、ネット上には酷評が目立ったのはなぜでしょう。
 この作品で、残念ながらキャラが今イチ立っていなかったのは、じつは主人公のあずだだった、そんな気がします。キレッキレのダンスパフォーマンスが売りの E-girls のメンバーである石井杏奈は、早々にダンスのセンスをケニーに見いだされ、キャプテン(じゃんけんで決めた)としてみんなをリードして行くかと思いきや、前々から付き合いのあったチアリーディング部の仲間にハブられるのが怖いという理由でジミーズに背を向けてしまうわけです。チアリーディング部とつるんだところで、彼女は反分ぱしりをやらされてるだけです。共に汗を流し共に感動を覚えた仲間よりも、チアリーディングのぱしりがいいという彼女の思いは、観る者の共感を呼ぶにはあまりにも意味不明です。
 ケニーに才能を認められた彼女は、周りが呆れるくらいにダンスにのめり込み、優等生のチアリーダーたちを鼻で笑うくらいになってしかるべきではないでしょうか。それではお話しに起伏がなくなっておもしろくないと考えたのかもしれませんが、彼女の態度はあまりにも意味不明です。ダンスよりぱしりがいいってどういいうこと? それはもちろん彼女にとっては小さくない悩みだとは思いますが、ならば最初からダンス部を作ろうなんて言わないでしょう。ジミーズの面々はダンス初心者であるばかりか、クラスでも浮いた(あるいは沈んだ)存在なわけです。そんな仲間に所属したらどうなるか、彼女がいちばん恐れていた結果になることは最初から解っていたはずです。
 ジミーズ5人にケニーを紹介し、彼女たちに輝ける青春の1ページを与えることになった体育教師の藤原涼子先生の影も薄すぎます。それぞれに事情を抱え、てんでバラバラの5人にコーチまでつけて町内会のイベントに出ろなんていう無茶ぶりをした彼女には、そっけなくきつい態度とは裏腹になにか思うところがあったはずです。後ろ向きの5人に前を向かせる特効薬を投じるような炯眼の持ち主が、生徒たちとほとんど接点がなく、ここ一番という時の相談相手にもならない、生徒たちとの関わりが希薄すぎます。最初に一石を投じておしまい、あとは時々陰から様子を見てるだけ。クールすぎでしょう。
 藤原先生とケニーとのつながりも何だか希薄ですね。学校に似つかわしくないファッションを決め、軽いノリでJKたちぃ、なんて呼ばわるケニーに、女子高生たちは最初は大いに戸惑ったはずです。でも藤原先生に疑問もぶつけないし相談もしない。藤原先生は完全に蚊帳の外です。
 以上のような、生徒と先生の人間関係のリアリティのなさ、あずさのあまりにも不自然な身の振り方、それらが惜しくも敗因になってしまったのかもしれませんね。

2015年、115分。
原作:宇山佳佑。
監督:川村泰祐。
脚本:江頭美智留。
出演:石井杏奈、小芝風花、小野花梨、秋月三佳、上原実矩、磯村勇斗、山本裕典、塚本高史、松浦雅、音月桂、大東駿介、玉木瑛美、遊馬萌弥、大坂美優、安保彩世、音月桂、柳ゆり菜ほか。

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