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猿の惑星:聖戦記【映画】

2017/11/16


 アルツハイマーの新薬を研究する施設で実験動物にされていたチンパンジーのシーザーは、薬の投与によって驚くべき知性を発揮し、人間の言葉を話すようになりますが、人間の愚行に失望した彼は、仲間を率いて森の中に猿の楽園を築いていました。一方人類は、薬の研究を進めるうちに自らを程母子てしまう恐ろしいウィルスを拡散させてしまい、絶滅の危機に瀕していました。
 シーザーが反乱を起こしてから10年後、人類はその90%が失われ、残党と化した彼らは、猿たちとの戦争か共存かを迫られていましたが、人類の中にも、猿たちの中にも平和共存を望むものと、戦いを望むものが出てきました。猿たちと残された人類は、否応なく戦いの渦にのみ込まれてゆきます。

 それからさらに2年、シーザーたちは屈強な軍隊を組織する人類から逃れて森の奥地に身を潜めていましたが、マッククロウ大佐の奇襲により、シーザーは妻と遠征から帰ったばかりの息子を失います。息子の持ち帰った情報をもとに、群れを安住できる地へ逃れさせ、シーザー自身は復讐のためにマッククロウ大佐の軍隊が向かった元収容施設へ向かいます。そこはかつてウィルスに冒された人間たちを収容していましたが、今は廃墟となっており、情報では軍隊はそこで別の部隊と合流するはずでした。
 かつては敵対していたロケット、心優しいオランウータンのロケットらと雪深い山を越える途中、一向は口の利けない少女と遭遇します。それは残された人類の退化の兆しでした。
 そしてようやく目的地にたどり着いた彼らが目にしたものは、逃がしたはずの仲間たちが捕らえられ強制労働を強いられている姿でした。激昂したシーザーは冷静さを失い、不覚にも自らも囚われの身になってしまいます。
 マッククロウ大佐は、じつはここで他の部隊と合流するのではなく、過激な彼の行動を阻止するために送られた部隊を迎え撃つための要塞を築いているのでした。

 2011年に公開された「猿の惑星:創世記」2014年の「猿の惑星:新世紀」に続く"猿の惑星"新シリーズ3部作の完結編です。旧シリーズは1968年に公開された「猿の惑星」とそれに続く5部作です。筆者はもちろん旧シリーズ世代です。当時はCG技術がなかったので、特殊メイクを施した俳優たちが猿を演じていました。そのメイク技術に観客は大いに驚かされたものです。
 旧シリーズでは、猿たちに支配された惑星に迷い込んだ宇宙飛行士が、それが未来の地球だったことを知るというお話しから、なぜ猿たちが高度な知性を身につけ、文明を築いていったのかということが描かれてゆきますが、今回の新シリーズでは、猿たちが話しをするようになり人間社会からの自立を目指す姿を、より克明に学術的に描いています。
 アルツハイマーの新薬の研究の実験に供されたチンパンジーのシーザーに、急激に知性を発達させ人と同じように話せるようになるといった異変が生じます。新薬は最初は人に対して素晴らしい効果を発揮したかに見えましたが、やがてそれは人類に滅びをもたらすウィルスの出現をもたらしてしまいます。一方、猿たちの方は知性を発達させる仲間を徐々に増やしてゆき、危機感を覚えた人間たちは猿たちとの共存を拒み、彼らを迫害し始めたことから、人と猿との戦いが始まります。
 旧シリーズでは、訓練によって高い知性を得た猿たちを、人間が家畜労力として利用するうちに、能ある猿の反乱によって革命が起きるという内容でしたから、新シリーズの設定はまったく新しいものです。
 新薬の開発は、人類に滅びをもたらし、猿たちに知性を繁栄をもたらしますが、さらに残された人類に退化をもたらします。やがて人類は口の利けない低能な動物と化し、猿の文明に家畜として隷属するようになるのでしょう。旧シリーズの猿の惑星のできあがりです。

 猿の惑星といっても、Ape は Monkey とはちがって類人猿のことですから、ヒヒやニホンザルは含まれず、チンパンジー、ゴリラ、オランウータンのことを言います。分類学的にはテナガザルも類人猿の仲間ですが、ここでは上述の3種の類人猿たちが物語の主人公になります。

 現在はCG技術が発達しているので、役者が演じたものにCGの猿を被せるという方法で、リアルな知的猿たちを再現していますが、それに加え、猿と人間の知能が逆転してしまう原因がより学術的な設定で蘇りました。アルツハイマーの新薬が、類人猿には人間並みの知性を与えてしまうけれど、人間に対しては滅びと退化をもたらすウィルスに変じるとは、なんとも皮肉な話しです。皮肉ではあるけれど、化学の発達がいずれ人間に牙をむくということを示唆していて恐ろしいです。
 人類の文明は戦争と競争の中で培われたとも言われていますが、他企業を出しぬくために、他より先んじるために結果を出すことを焦って、致命的な失敗をしてほしくないものです。科学技術が高度になればなるほど、そこに潜む危険も大きくなるでしょうし、今後は競争ではなくより多くの人々との情報共有により技術開発を進めて行くようになって欲しいものです。かつて宇宙人の探索を目的とした SETI 計画や、人類の遺伝子ゲノムを解読しようとした計画は、情報が広く公開され一般人を含むひじょうに多くの人々が計画に携わりました。こうした試みから、未来型の技術開発を模索していってほしいものです。競争や争いは未来型とは言えません。

 設定内容はひじょうに恐ろしいですが、このシリーズは人間ドラマとしてもたいへん素晴らしかったです。仲間意識や対立、人と猿を越えた友情。シーザーは、平和を望む指導者として猿たちを導き、過激派のコバを退けますが(前作でのエピソード)マッククロウ大佐に妻子を殺され、復讐に燃える彼は自らの中にコバを見出して愕然とします。そしてコバや大佐の気持ちをも理解します。終盤で、大佐を追いつめたシーザーは、銃の引き金を引くことをためらいます。
 旧シリーズでは、人と猿の立場が逆転した世界が描かれ、おごれる支配者に対する警鐘を鳴らしていましたが、新シリーズの行方はそれほど単純なものではなさそうです。しかしながら、これで完結編なので、今後がどうなるかは想像を巡らせるしかありません。

原題:WAR FOR THE PLANET OF THE APES
2017年アメリカ、140分、同年日本公開。
原作:ピエール・ブウル。
監督、脚本:マット・リーヴス。
脚本:マーク・ボンバック。
出演:アンディ・サーキス 、ウディ・ハレルソン、スティーヴ・ザーン、カリン・コノヴァル、アミア・ミラー、テリー・ノタリー、タイ・オルソン、マイケル・アダムズウェイト、トビー・ケベル、ガブリエル・チャバリア、ジュディ・グリアほか。

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