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あさひなぐ【映画】

2017/11/05


 二ツ坂高校の新入生東島旭は、運痴なドジっ娘でしたが、ひょんなことから薙刀(なぎなた)部に入部してしまいます。一緒に入部した、というかするハメになった八十村将子は剣道経験者ですがなかなか反抗的で、紺野さくらはのん気で脳天気なお嬢さん。3人の新入部員は、部活紹介で見たミヤビな舞いとは裏腹なスパルタなしごきに悲鳴を上げる毎日でした。それでも熱血部長の野上えりや、卓越した技の持ち主宮地真春に引っ張られ、薙刀のおもしろさを見出してゆきます。
 そしてインターハイ予選大会。順調に勝ち進んだ二ツ坂高校ですが、國陵高校一年のエース一堂寧々に宮地真春がまさかの敗退を来し、インターハイ出場の夢を破られます。無念の涙を呑んで3年生は退部、真春は自分が強くならなければと焦って孤立し、部はバラバラになってゆきます。
 そんな折り、名ばかり顧問の小林先生が、冗談か本気か解らない口調で合宿を提案します。しぶしぶそれに参加した部員達でしたが、彼女らを待っていたのは、白滝院という尼寺での寿慶という尼僧による地獄の特訓でした。寿慶と対峙しただけで腰が引けてしまう旭は、練習もさせてもらえず、水汲みの仕事を命じられます。井戸から桶をかついで急な石段を登る作業を、旭はくじけずに繰り返すのでした。
 合宿も終わり、秋の大会で二ツ坂高校は再び國陵高校と刀を交えることになりますが、真春はいまだに孤立したままでした。

 乃木坂46出演による青春スポ根グラフィティです。人気アイドルの起用で集客効果を狙ったバラエティまがいのドラマなんじゃね? なんて思っていると、そのクォリティの高さにびっくりします。乃木坂使わなくても、この内容ならヒットしたと思うんですけど。
 原作コミックをアニメ化したスポ根もの(かつてアニメはテレビ漫画といいました)の歴史は半世紀以上におよび、いまだに優れた新作がどんどん輩出され、多くのファンを魅了しているのですが、最近はスポーツに加えて、吹奏楽や囲碁や書道、カルタといった文化部もひじょうに活躍しています。この作品もそうした流れをくむ青春ドラマの秀作で、原作コミックは20冊を越えており、これまでアニメ化の企画がなかったのが不思議です。まぁ、薙刀ですからね。素材的にちとマイナーなので……。お話しの中でも薙刀人口は多くないからインターハイ目指しやすいというネタがあったくらいですし。でも、内容がおもしろければ囲碁やカルタだって大ヒットするわけで、薙刀を笑っちゃいけません。
 アニメ化はございませんが、映画に先駆けて今年の5〜6月に舞台化が実現しています。大衆文化としては舞台は、アニメや映画ほどにはメジャーではありませんが、舞台人口はひじょうに多く、マイナー演劇で活躍されている俳優さんの数はすさまじいです。そしてそうした劇団からメジャーデビューあるいは映画俳優デビューされる方もたくさんいます。演劇はあらゆる見世物の基本を成す芸能ですから、より多くの人たちに関心を持っていただきたいものです。コミックの舞台化は喜ばしい流れですね、たいへんですけどね。
 そして舞台版「あさひなぐ」も、乃木坂46のメンバーが演じていたそうです。ももクロの「幕が上がる」を思い出しますが、乃木坂はなにしろメンバーがたくさんいますから、舞台版と今回の映画版とでは出演者が完全に刷新されています。
 ということで「あさひなぐ」は目下のところ乃木坂のドラマ化プロジェクトみたいなことになっているようですね。映画のヒットに応えて(ヒットしましたよね)舞台プロジェクトが再始動するといいですね。

 原作コミックはひじょうに長く続いていますから、お話しも紆余曲折していることでしょうが、今回映画で描かれたお話しは、直線的で寄り道があまりありません。スポ根とは縁遠い東島旭という女の子が、いつもながらのドジで薙刀部に入部することになるのですが、そこで目覚めた彼女が大躍進するという単純明快なストーリーです。予選を勝ち抜いて高校最後となる3年生たちをインターハイに出場させることができなかったという苦渋をなめた薙刀部が、尼寺で猛特訓して一皮むけて帰って来て、宿敵國陵との雪辱戦に挑むというのがストーリーのすべてで、誰が裏切ったとか、誰が怪我したとか、唐突に引っ越しちまったとか、クセのある新人が入って来たとか、そんな分岐や曲がり道はありません。
 逆に言うと単純明快な一本道を105分もよく保たせたなぁと、乃木坂の名演に拍手を送りたくなります。実際、みんな素晴らしい演技でした。最近のアイドルはすごいですね。
 映画「ちはやふる」で競技カルタは個人戦にして団体戦であるというテーマがありましたが、薙刀もしかりで、大将の宮地真春が個人的に技術を磨いてもそれだけではダメなんだという、仲間の団結の大切さを語る内容がありましたが、資本主義の腐敗した競争社会に毒された学校教育がそれを語れない現在、アニメや映画で大いに団結やチームワーク、友情について語って欲しいですね。人は独りで生きるにあらずです。
 真春は薙刀では優れた技術を持っているもののチームワークという点では難がありました。これは宿敵の一堂寧々でさらに顕著で、彼女は誰とも相容れない薙刀の化身で、その性格を國陵高校の仲間さえもが持て余しており、和気あいあいとした二ツ坂の薙刀部を、國陵の部員が羨ましがる一幕がありました。

 部活を通じて自分を磨き、協調性を磨き、人と人との関係を学ぶ、それは乃木坂の娘たちがアイドル活動で日々経験していることでもあるのでしょう。この最も大切な要素が、日本のような現代社会では欠落しています。人間性という点ではあまりにも貧困な企業のお歴々が、社員をふるいにかけて競わせ孤立させ、隷属させる。無能な経営者はそれで楽かもしれませんが、このあさましい格差社会のおかげで、経済も人間社会も低迷して行きました。
 孤立した人間の集合体は脆弱です。縦割り社会は脅迫関係で取り繕っている形骸です。友情ごっこなんて甘いなんていう勝ち組ラッキーちゃんの詭弁を信じてはいけません。良質の人間ドラマを観て、泣いて笑って、人として大切なことを学びましょう。

2017年、105分。
原作:こざき亜衣。
監督、脚本:英勉。
出演:西野七瀬 、白石麻衣、桜井玲香、松村沙友理、伊藤万理華、富田望生、生田絵梨花 、松本妃代、岡野真也、江田友莉亜、紀咲凪、北原帆夏、樋口柚子、緒方もも、宮田祐奈、松田佳央理、中田花奈、斉藤優里、吉川靖子、藤谷理子、池田夏希 、加賀成一、飯野智司、中村倫也、森永悠希、角替和枝、江口のりこ ほか。

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