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スイス・アーミー・マン【映画】

2017/10/28


 無人島で遭難した青年ハンクは、絶望の果てに自殺を考えますが、首に縄をかけたとたん、浜辺に打ち上げられた男の姿が目にとまります。しかし彼の足は台を蹴っており、縄はグイグイ首を締め上げます。もはやこれまでという時に縄が切れてハンクは一命を取りとめ、男のところへ駆け寄りますがそれは動かぬ死体でした。
 ハンクが虚しく死体を弄んでいると、死体はブリブリと屁をひり、それは次第に勢いを増しました。体内のガスが膨張して放出されるのだと知りつつも、ハンクはおもしろがって死体と戯れました。死体の体はパンパンに張り、海で充分な浮力を発揮し、勢いよく放たれる屁がジェット推進力になり、死体はハンクを乗せたまま素晴らしい速度で海上を突き進みます。
 再び海に飲み込まれてしまうハンクですが、気づけば陸地に流れ着いており、彼は見事に無人島を脱出できたのでした。自分を助けてくれた死体をそのままにしておくのに忍びず、ハンクは死体を引きずって歩きはじめます。陸地にたどり着いたものの目前に広がるのはうっそうとした森で、奇妙な2人の冒険は、これからが始まりなのでした。

 いちおうコメディ作品なんでしょうね。でもなんだか笑えないコメディです。死体と共に密林の道なき道を延々と進むお話しです。半目を開き、ブリブリと屁を漏らし続ける死体は不気味ですよ。そりゃ命の恩人かもしれないけれど、これをズリズリ引きずって歩かなくてもいいじゃないですか。気になるならとにかく自分が無事に人里にたどり着いてから、警察にでも連絡すればいい。
 しかしハンクは、死体を手放しません。雨が降り、それを吸いこんだ死体は口から勢いよく水を噴出し、それがハンクの渇きを癒してくれました。捨てられたゴミの中で見つけたポルノ雑誌を見せると、死体のペニスが勃起し、それがコンパス代わりになりました。
 死体と虚しい会話を続けるうちに、彼はメニーと名乗り、ハンクは人としての記憶を持たないメニーにいろんなことを話します。そうしてメニーは次第に人間らしさを取り戻してゆきます。ハンクのスマホの画面の女性を見つけたメニーは、彼女のことが気になり出し、ハンクは捨てられた家具や廃材を集めて毎朝バスの中で出会うけれどなかなか声をかけられない女性サラの話しを演出します。メニーはラブストーリーに夢中になりますが、それは実はハンク自身の片思いを再現したものでした。

 メニーは自分では動けない青白い死体ですが、水筒になったり、ジェット噴射で魚を仕留めたり、まるで7つ道具のように役に立ちます。そしてハンクの妄想だか何だか、よき話し相手にもなってくれます。最初は不気味な死体でしかなかった彼が、次第に死体ってこういうふうに使えるんだ、と真剣に思えるようになってきます。それどころか彼と会話できることも不自然じゃなくなってゆきます。
 じつに不思議な映画ですね。死体が主演の映画なんて、前代未聞です。いや「ジェーン・ドゥの解剖」も主人公は死体でしたっけ。あの映画も素晴らしかった。最近、死体が人気なんですかねぇ。

 この映画はもちろんホラーじゃありません。死後の世界を描いたファンタジーでもありません。メニーとの会話はあくまでリアルで、彼とハンクの友情に胸が熱くなります。
 小心者のハンクはいつも独りで、毎朝バスの中で出会うサラにも声をかけられなかった。一人旅をしてみれば遭難して無人島で孤立し、けっきょく死を選ぶ。しかしメニーに出会った彼は、力を合せて度重なる危機を脱し、厳しいサバイバルを生き残ります。友人と人生について話し合います。

 しかし、死体の友情なんて、世間はどう捉えるでしょう。それはお話しの結末に描かれます。……心配ご無用です。とても温かくて感動的なラストが待っています。

 サンダス映画祭で公開された時には、その奇抜なアイディアについてゆけず途中退出する観客もあったそうですが、最後まで観た人たちからは高い評価を得たそうです。その後評価は徐々に高くなり、サンダンス映画祭・米国ドラマ映画部門最優秀監督賞、シッチェス・カタロニア国際映画祭・主演男優賞および作品賞を受賞するほか、数々の映画賞を獲得するに至り、翌年、日本でも一流館で公開されることになりました。

原題:SWISS ARMY MAN。
2016年アメリカ、97分、翌年日本公開。
監督、脚本:ダニエル・シャイナート 、 ダニエル・クワン。
出演:ダニエル・ラドクリフ、ポール・ダノ、メアリー・エリザベス・ウィンステッド、アントニア・リベロ、ティモシー・ユーリック、リチャード・グロス、マリカ・キャスティール 、アンディー・ハル、アーロン・マーシャル、シェイン・キャルースほか。

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