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殿、利息でござる!【映画】

2017/10/26


 明和3年(1766年)仙台藩吉岡宿でのお話し。表通りは宿場街でも人々の暮らしを支えているのは農業。お上による厳しい年貢の取り立てに加え、宿から宿へ殿さまの物資を運ぶ伝馬役を強要され、しかもその費用も農民たちでまかなわなければならず、人々は疲弊し、借金で首が回らなくなって夜逃げをする家族も後を絶ちませんでした。
 造り酒屋の当主穀田屋十三郎は町の窮状を訴えるために代官に訴状を渡そうとしますが、それは命と引き換えの向う見ずな行為でした。京都から戻り町で新婚生活を送ることになった菅原屋篤平治の取り繕いで十三郎は危機を脱しますが、しかしこのままでは貧困は悪化するばかり、訴状以外に妙案はあるのかと篤平治に言い募ります。知恵者として知られる篤平治は、思わず"お上に銭を貸して利息をいただく"という案を口にします。篤平治にしてみれば冗談半分に発した言動でしたが、十三郎はこの案に感銘を受け、街の実力者を募って金策を始めます。
 言い出した篤平治も引くに引けず、町は百姓が殿さまに銭を貸すという前代未聞の計画の実施に向けて動き出すことになります。
 町の三役のひとつである肝煎(きもいり)にこの計画を相談したところ、肝煎遠藤幾右衛門もこれに賛同、ここは大肝煎にも相談しようということになりました。さすがに大肝煎は納得しないだろうと踏んでいた篤平治ですが、大肝煎もこれを快諾、計画はいよいよ現実味を帯びて行きました。
 十三郎の弟で、先代の造り酒屋兼両替商を継いだ浅野屋甚内はけちな金貸しで名が通っていましたが、計画を話したところ高額の寄付を申し出ました。
 お上に貸すには千両を集めなければなりません。しかしこの特殊な計画を公にするわけにもゆかない。彼らは自らの功績を公言せず、秘密裏に計画を推し進めました。それは無欲で高潔な行ないでした。しかし話しはどこからともなく町に漏れ、百姓たちまでなけなしの銭を差し出し始めるのでした。小料理屋の女将ときもつけを回収し、それを差し出します。
 数年を経てようやく千両を集めますが、仙台藩の財務担当の萱場杢は、それを論外として却下してしまいます。

 阿部サダヲ主演の痛快人情時代劇です。笑いと感動の人間ドラマ、いいですよね。泣いて笑ってこそは映画の醍醐味です。こういうの邦画は優れた作品がたくさんありますね。かつて昭和の時代劇と言えば、将軍様やお代官様やお奉行(ぶぎょう)様が悪人をビシッと懲らしめる勧善懲悪もののテレビシリーズが盛んでしたが、刑事サスペンスに次第に置き換えられ、最近は人気時代劇というものが影をひそめてしまいました。
 そうしたなか、「超高速!参勤交代」や「信長協奏曲」「忍びの国」といった劇場版の痛快時代劇は今も健在で人気を博しています。
 時代劇のメイン舞台はやはり江戸時代ですが、今のような科学技術のない時代に、手工業による文化で人々の暮らしが彩られていたことに驚かされます。

 高い年貢と伝馬役の強要で農民たちを苦しめていた藩主も、軍備や参勤交代、かつまた殿さまの野心により、お金に困っており、そのことを見ぬき、お上が金に困っているなら俺たちで用立てようという発想を農民たちが実現させたというのがすごいですね。これは実話なのだそうですよ。
 武士と百姓は相互に意思の疎通など叶わぬ異なる種類の生き物のように思われがちですが、巧妙に策を弄し百姓が藩主に対して金貸しを行なうという奇想天外なアイディアを実現させてしまうなんて、しかもこれが史実だとすると、江戸時代の武家社会もなかなか人間臭いではありませんが。
 テレビもインターネットもない時代に、農民が藩主の金欠を察し、そこに付け入って大金を用立てようと考えるなど、平民の中にもすごい知恵者がいたものです。しかもその計画を知ったお上が、無礼千万と激怒されることなく、一度は断ったものの結果的に平民の提案に乗ってしまうところが驚きです。

 最初は無下に却下した財政担当官ですが、その計画が一時の思い付きではなく、世代を超えた長きに及ぶ計画であったことに感銘を受け「利息を取られるのではなく、取る側に回れ」という持論をくつがえし、前代未聞の計画に乗ります。いい話しですね。また、藩にしても財政難を藩の中で処理できるのは悪い話しではなかったのかもしれません。
 それにしても千両とは、藩の財政を潤すほどの大金だったんですね。かくして仙台藩は、農民から年貢を徴用する代わりに、毎年年利を支払うことになり、これにより農民たちは伝馬役の経費をまかえることになりました。お上から頂戴した年利は農民たちにきちんと分配されました。
 で、藩主伊達重村はこれをどう思ったかということですが、これまたいたく感動し、計画に携わった人たちに報奨金を出し、家財を投げ出して金を用立てた重三郎やその弟に対し、造り酒屋を倒産させないよう画策し、自らも倹約に務めることを約束します。いや、本当にいい話しですね。

2016年、129分。
原作:磯田道史。
監督、脚本:中村義洋。
脚本:鈴木謙一。
出演:阿部サダヲ、瑛太、妻夫木聡、竹内結子、寺脇康文、きたろう、千葉雄大、橋本一郎、中本賢、西村雅彦、山本舞香、岩田華怜、重岡大毅、松田龍平、草笛光子 、山崎努、堀部圭亮、斉藤歩、芦川誠 、中村ゆうじ、上田耕一、羽生結弦ほか。

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