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今日から世界は君のもの【映画】

2017/08/26


 小さな町工場で働いていた小沼真実は、手に怪我をしてアルバイトをクビになり、ニートに戻って家に引きこもってしまいますが、父親の勧めでゲーム製作会社のバグさがしのバイトを始めます。学生時代の引きこもり生活のうちにゲームだけは得意になっていました。ある時職場で、ゲームのキャラクターの原画を拾い、それを自分なりにアレンジしてみると製作部の矢部遼太郎に気に入られてしまい、ゲームのデザイナーとして抜擢されることに。
 ところが、1から自分でキャラを起こそうとすると何も出てこず、真実は自分の絵の才能が他人の真似事だったことを思い知ります。仕事や矢部から身を隠すために家を出た彼女は、ひょんなことで矢部の元カノ安藤恵利香の家に居候することになります。そこで真実は恵利香に説得されて自分の絵を描きはじめます。真実は公演に出て目にする光景を、自分のイメージする絵に変えて行きますが、そのひじょうに個性的な絵に恵利香は感銘を受け、知り合いのデザイナーに彼女を紹介しようとします。ところが、真実のスケッチブックが忽然と消えてしまいます。

 幼い頃から真実は一風変わった子供で、ゴミをあさって見つけた小物を蒐集したりしていました。周りの子供たちも彼女を気味悪がり、母は彼女の集めた宝ものを捨ててしまいます。彼女は徐々に人間社会から疎遠になり、やがて引きこもりになってしまいます。
 両親は離婚し、母は自立してブティックを開き、彼女は父と同居していましたが、父は腫れ物に触るように真実に接し、母は別居していても子離れができず、真実のやろうとすることを全て否定し、あなたは母がいないと何もできないと言い聞かせます。

 若い人の引きこもりは社会問題として小さくありませんが、子離れできない親の存在がひじょうに深刻なように思えます。親は他の優れた(ように見える)家庭の子供と自分の子を比較し、子供の才能を認めようとせず、無難に生きること、冒険しないことを望み、子供の思いをことごとく否定します。子供の人生にすべて責任を持てるわけでもないのに、親は子の人格を認めず、所有物のように考え、独断で管理してしまうことが教育だと勘ちがいしてしまいます。
 筆者にも息子がいますが、親子の関係なんて子が成人するまでのつかの間の縁だと考えています。なので親は信用するに足りない、困ったこと、やりたいことがあれば身近な友人に相談しろと息子に言っています。古い言葉に「可愛い子には旅をさせろ」というのがありますが、それは子供に旅行させろということではなく、子の経験を疎外するな、子が可愛ければ子離れしろ、ということだと思います。

 門脇麦は筆者がたいへん好きな女優ですが、この作品のヒロインに彼女を起用したのは成功ですね。彼女以上に真実を演じられる女優はいないと思います。無口で無表情で頼りなげな動作、自己主張ができず、降りかかる火の粉を払うこともできません。周りに押し切られてサバイバルゲームに参加させられるも、それを拒むこともすっぽかすこともできない。見ていてイライラしますね。こんな女の子を演じ切れる女優は少なくないと思います。
 もちろん、映像の中の真実を見ていてイライラしませんよ。観客は彼女の目線で映像を観ていますから。イライラすべきは、彼女に親の自我を押しつける母親と、彼女の隠れた才能に驚愕する父親です。

 引きこもりの間に、ずっと絵を描き続けていた彼女にとって、ゲーム製作会社は活躍の場になるのでしょうか。そこで得た出会いは彼女の人生を変えるのでしょうか。彼女に新たな挑戦の場を与えることができたという点で、父親の娘のためのバイト探しは成功だったようです。うちの子はダメだとあきらめず、旅をさせたことが功を奏したと言えますね。
 映画のタイトルはこの世界が彼女を欲しているように見えますが、そうなったらいいですね。
 ひじょうに考えさせられると共に、とても心温まる作品でした。

2017年、106分。
監督、脚本:尾崎将也。
出演:門脇麦、三浦貴大、比留川游 、マキタスポーツ、YOU、岡本拓朗、安井順平、駒木根隆介ほか。

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