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鬼<トッケビ>【TVドラマ】

2017/08/24


 高麗王朝時代、キム・シン将軍は、幾多の戦いをことごとく勝利に導き凱旋しますが、幼い王ワン・ヨは将軍が不敗であることを反逆とみなします。国民は将軍を武神と讃え、そのおかげで王家の信頼が失墜していると側近から吹き込まれたためです。戦地で名誉の死を遂げたという報せを聞かせろという王命に背いた将軍は、目の前で妹をはじめ一族を皆殺しにされ、自らも命を奪われます。
 王命でキム・シンの遺体は野ざらしのまま埋葬もされませんでしたが、彼を慕う民は遺体が朽ち果てても大地に突き立った刀を崇め続けました。
 そしてある時キム・シンは不老不死の命を得て復活し、以来900余年を孤独に生きてきました。
 他人の未来を見ることができる彼は、その能力で多くの善良な人々を不幸な境遇から救って来ましたが、常人は数十年で老化して死に、彼はその死を見送り続ける運命に不毛なものを感じていました。それが戦場で多くの血を流した彼に対する神の罰であり、褒美でもありました。彼は安らかな死を願い、それを叶えてくれるのは"鬼の花嫁"だけでした。
 現代、彼はひき逃げによって命を落とした女性に情けをかけ、尽きようとする命を助けます。その掟破りによって女性は9年間生きながらえ、お腹の子は無事に生まれますが、その子チ・ウンタクは、幽霊が見えました。
 ウンタクの9歳の誕生日に母は事故で死にますが、ウンタク自身も死神に連れて行かれようとします。それを阻んだ彼女の守護神は彼女が苦労すると解っていながら非情な継母の許に彼女を託します。
 ウンタク19歳の誕生日、継母にいじめられながらも高校生になっていた彼女は、海岸で独り誕生日ケーキにろうそくを立てます。ケーキは9歳の誕生日の際に母にねだったものでした。不幸な境遇から逃れたいと願い、ろうそくの火を消した途端、彼女の目前に一人の男性が出現す。
 ウンタクは、彼を幽霊かと思いますが、彼の正体は不老不死の鬼でした。そしてキム・シンにとっても他人に召喚されるのは初めてのことでした。目の前の少女がなぜ自分を呼んだのか、なぜその能力を持っているのか不思議に思いますが、彼女こそは19年前に掟を破って命を救った女性の娘であり、彼に安らかな死をもたらしてくれる鬼の花嫁でした。
 それからウンタクはキム・シンの屋敷に住むことになりますが、そこには彼女が恐れる死神も同居していました。死神は彼女が生まれるはずのなかった子であることを知り、死に誘うことに失敗した"処理漏れ"と呼称しますが、同居中の鬼とも彼女とも親しくなってゆきます。
 前世で大罪を犯したために死神になった彼には、名前も過去の記憶もありませんが、鬼とその花嫁との暮らしは、ひじょうに新鮮で興味深いものでした。それに彼には気になる女性が現れました。それはウンタクがバイトを始めたお店の社長でした。
 不毛な不老不死を終わらせることを願っていた鬼もまた、花嫁に巡り合ってみると、彼女のためにもう少し生きていたいと考えるようになるのでした。

 昨年末に韓国で放映され、大ヒットしたファンタジーラブストーリーです。ラブストーリーは筆者の柄じゃないのですが、鬼や死神が出てくるファンタジーだし、筆者イチオシの女優キム・ゴウンが出ているしということであれば観ないわけにはゆきません。
 キム・シンが将軍として生きた高麗王朝の時代、現代そしてカナダと広大な舞台に渡り物語が繰り広げられます。数十年後の未来にまでお話しは及びます。
 自分と関わった人々の成長と死を見届けながら不老不死の時間を生きながらえることは、キム・シンに与えられた罰で、それを終わらせてくれるのが鬼の花嫁、しかし実際に彼女と出会った彼は、生きて彼女との暮らしを続けたいと願うようになります。でもそれは鬼の花嫁として生まれたウンタクの運命を狂わせることになるのでした。
 一方、ひょんなことから鬼との同居生活を余儀なくされることになった死神は、次第に鬼に友情を抱くようになります。また、橋の上で偶然に出会った女性に恋心を抱いてしまいます。過去の記憶を持たないまま長い歳月を生き、人の死を処理し続けてきた彼にとって、人間との友情と恋愛は、奇妙で不思議な衝動でした。その女性は奇遇にもウンタクがバイトを始めたお店の社長で、死神は錯綜する人間関係に取り込まれ、少しずつ人間らしさを取り戻してゆきます。

 遠い時代を越えた運命にとらえられた鬼、彼の罰に終止符を打つために生まれてきた鬼の花嫁、過去の大罪を背負い、その記憶を消されたまま人の死を処理し続ける死神、そして死神に魅入られた女性、彼女もまた前世から続く運命の輪にとらわれて行きます。
 なんだかドロドロした深刻な内容ですが、ドラマの雰囲気はひじょうに明るくてユーモアにあふれ、観ていて楽しいです。みんな、ひじょうに重くてつらくて切ない運命を引きずっているにもかかわらず、明るく前向きに現在を生きています。
 韓国のドラマは、時空を超えたり、前世と関わったり、死者と会話したりといった内容が頻繁に出てきます。日本の最近のドラマのように特殊能力者を学術的に再現しようというものではなく、霊界や神意の存在が韓ドラでは強いようです。そうした意味でこの作品は、極めて韓国的と言えるのですが、霊能者や神の意思を継ぐものが溶け込んだ日常という内容は、筆者にとってはなかなか新鮮でした。
 運命にとらえられながらも人はどう生きるか、どのように情熱を燃やすのか、そういった宗教観のようなものを感じる反面、おしゃれでユーモラスで、あるいは感傷的で、こういった様々な側面が人間生活というものを構成しているのだなぁ、そんなことを感じました。

 鬼は、他人の未来を覗く能力を持ちます。それゆえに悲運に直面しようとする人を救うことができます。彼はそうやってこれまでに幾多の人の人生を好転させてきました。ドラマの本筋とは直接関係のないそうしたエピソードに登場する人物たちが、お話しが進むと巧妙にからんでくるところは、ひじょうに練られており感動的でもありました。キム・シンの鬼としての側面を特徴づけるこうしたエピソードがもっと多くても良かったかな、とも思いました。
 キム・シンのサイドエピソードとしてあれこれ作れそうです。
 そして彼と、彼にまつわる人間たちの宿敵も登場します。高麗時代に若き王ワン・ヨをたぶらかせた側近が、900余年をさまよい続けた悪霊として登場します。彼は大罪を犯したにもかかわらず死神にもならず、記憶も消えず、むかしのままの姿でさまよい続けています。彼を邪悪な悪霊にしてしまったのは何だったのでしょう。彼もサイドエピソードには欠かせませんね。

 もう1度観てみたい、切実に思いました。そうすれば最初は気づかなかったことや見落としていたこと、理解が及ばなかった点などをたくさん見つけることができるでしょう。でも韓ドラは1話が1時間を超えますから、観るのもなかなか大変です。……時間をください。

2016年、TVシリーズ全16話。
脚本:キム・ウンスク。
演出:イ・ウンボク。
出演:コン・ユ、キム・ゴウン、イ・ドンウク、ユク・ソンジェ、ユ・インナ、キム・ミニョン、ユン・ダヨン、キム・ソヒョン、キム・ミンジェほか。

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